太平記 鎮魂と救済の史書
歴史の知識はほとんど中学校で止まっていますが、小さいころからまんが日本の歴史(石ノ森章太郎のではないやつ)を読んでいて、歴史には興味がありました。自分がそうなだけかもしれませんが、室町時代の知識があまりありません。建武の親政までは後醍醐天皇の動き、建武の親政以降は足利尊氏の動きを大まかにしか知らないので『太平記』(の解説本)を読んでみることにしました。
- 作者: 松尾剛次
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/10
- メディア: 新書
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戦前・戦中に南朝が正統とされ、楠木正成が忠臣としてたたえられたという話から尊氏を評価する話が難しかったなど、やんごとなきお方が話の渦中にいるテーマは日本では何かと難しいようです。あまり知識がなかったのもその影響でしょうか。
足利尊氏が髷を切った理由や、足利尊氏の絵とされていたものが実は違うのではないかなど、知らない事柄が多くありました。そして何より『太平記』が足利側の編集があったものではないかということも知りませんでした。
鎮魂と救済の史書であるということは『平家物語』よりは解説が必要でしたが、ひとまずは納得。歴史は何を史料価値のあるものとして規定し、その記述を元に説を立てているものも多く、必ずしも事実かは分からないものだなぁ、と再認識しました。その意味では設定遊びもこの構造を借りているのだな、と。