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ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険

ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)

ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)

ケルト人というのは昔々に中央アジアから鉄と馬車を率いてヨーロッパを席巻した人々です。しかし、その栄華も長くは続かず、ゲルマン民族やローマ帝国の圧迫を受け、大陸にいたケルト人はフランク人と融合して現在のフランス人の祖先になったようです。また、スコットランドやアイルランドに渡ったケルト人はキリスト教化されたものの、比較的ケルトの文化を保っていたようです。


本書ではそのケルト人たちの歴史を踏まえつつ神話を列記していく形式で展開していきます。非常に興味深かったのは本書のサブタイトルになっている「他界」の話でした。「他界」というのは大雑把に言ってしまえば現実の世界とは少しだけ違う世界です。一年中果物がなっているとか、その世界ではみんな笑っているとか、女性ばかりしかいないとか。そしてこのような世界と現実を生きたまま比較的容易に行き来できる、というものです。

いや、行き来できるというよりはこの世界のどこかに普段は行けないようなそんな世界がある。と表現したほうが適切かもしれません。この世とかあの世のような形ではなくて、どこかにあるかもしれないという憧憬を交えた世界といったところでしょうか。こういう時代の素朴な世界観はどこでも割と似たものですが、キリスト教が入るとやたら禁欲的に話が修正されていく過程などが書かれていて面白いと思いました(後、初期のケルト系キリスト教が東方教会のものだというのも驚き)。そのキリスト教化された後の「他界」が後に中世騎士物語へとつながっていくという言われてみればなるほどという流れ。


これが原因かは知りませんが、スコットランド(グレートブリテン島北部)やアイルランドやウェールズがイングランドとは同じ国内でも議会があったり、別法律ができていたりという元になっているのかなと思いました。サッカーも出場が別ですしね。