∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』1クール総括

 冬休み中に書いていたものを13話を見て加筆したものです。ガンダム関連の話でここに来られる方が多いようなので*1公開。

○ストーリー

 ストーリの流れとしては「ガンダム強奪」→「ボギーワン追跡」→「ユニウス・セブン落下」→「開戦前夜」といった流れ。

1.ガンダム強奪(1〜2話)

 今作もガンダム強奪から始まりました。正直「またか」とも思いましたが、これはもはや「ガンダム」というシリーズの様式美*2だと割り切れば別にどうということはありません。 しかし、インパルスがザクに食われてる感が否めません。*3自分の周囲のレベルですが、1/144HGで比較するとインパルスよりザクが売れてる気がしますが……。まあ、ザク好きな人多いですからね。
 後、1クール通して見て見ると今作は必ずしもガンダム強奪から始まる必要がありません。前作ではガンダムが強奪されたことには必然性があります。*4しかし、今作では両陣営共にMSの製造技術が無いわけではありませんし、連合も前作でガンダムタイプを3機*5作っていたことから見てもガンダムタイプを製造できないわけでもないようですし。製造技術があるなら本体を強奪にかからなくても、設計データを盗めばいいわけですし。富野監督が「ガンダムで電脳戦をやりたい」ともコメントされていましたが、先駆けてやれたかもしれないいい設定だったんですけどね。絵面として地味だからやらなかったというのが実情なのでしょうが。

2.ボギーワン追跡(3〜4話)

 強奪されて、戦力があれば追跡するのはあたりまえのことですが、前作4クールでフリーダムとジャスティスが連合ガンダム3機と延々消耗戦を繰り返していたのが思い出されました。主人公とその周囲の局地的な戦況は分かるのですが、何が起こってるのかは良く分かりません。ですが、淡々と物語は進んでいくのでわけが分からない状況に。
 アスランカガリがザフトの若手にオヤジ狩り(笑)に合ってました。しかし、カガリが言ってるのは単なる感情論だし、アスランは前作3クール後半から続くヘタレ状態なのでいいようにやられていて痛々しい。サドっ娘ルナマリアとのフラグが立ったような立たないようなよく分からない状況。
 主人公のシンは過去の回想とキレてカガリや敵に八つ当たりしています。一番の仲良し(?)はレイ。なんだかシンとルナマリアとレイの立ち位置が『蒼穹のファフナー』の主役格三人*6の関係みたい。いや、単にCD:平井久司つながりなんですが。

3.ユニウス・セブン落下(5〜8話)

 個人的に1クール最大の違和感は「ボギーワン追跡」と「ユニウス・セブン落下」との繋がりの無さだったように思います。前述したように、今作はガンダムを強奪する必然性が無いので、「ガンダム強奪されたからとりあえず追いかけたら大変なことになってた」ように見えました。ユニウス・セブンを地球に落とそうとしている強硬派(旧・ザラ派)の行動が突発的なものに見えます。*7
 実際問題、前作でラクスが追悼のイベントのためにユニウス・セブンに向かっていたということもありましたし、外伝のASTRAYでは地球への衝突軌道を取り始めたユニウス・セブンの軌道を変えるエピソードもあるなど、そうそうテロリスト集団が軌道を変えに来れるようにも思えませんが。落下軌道にした一味がユニウス・セブンを「墓標」と言っていたようにユニウス・セブンはモニュメントなわけでそれの管理はきっちりしているのが普通でしょうし、危ないものなら終戦から2年も経っているんだから取り壊してもいいと思いますが。あくまで外伝*8ですがあの世界にはジャンク屋もいるのですから彼らに依頼してもいいとは思いますが。
 ようやくシンが主人公らしい活躍をしたかと思えばしばらくほとんど登場シーンが無くなっていくという苦難の時代が始まります。ゲスト登場かと思っていたイザークディアッカの再開がユニウス・セブンだけでなく、アスランのザフト復帰のエピソード(このエピソードは好き)にも関わってきて今後出番が増えるとしたらつくづく不憫な子です。

4.開戦前夜(9〜13話)

 ブルーコスモスとか関係無しにこの世界の政治家はアホみたいな理由で核弾頭撃って宣戦布告してます。正気の沙汰とは思えませんが、この世界でもそれはおかしいと腹黒議長が宣言(そうなんだ!)
 状況があわただしく動き始めるも、真田技術部長@『宇宙戦艦ヤマト』の殺し文句「こんなこともあろうかと〜」で小型ジェネシスを発動して回避されてしまい、結果として、腹黒議長が世界のほとんどを動かしているようにも見えます。*9流石CV:池田秀一は伊達じゃない。
 そして、

  • ブルーコスモスを更に裏で操る組織の存在
  • 偽ラクスの正体は議長とグルのそっくりさん
  • シンが種割れ
  • アスランinセイバー復活
  • フリーダム再登場
  • カガリがユウナと政略結婚(婚約者を略奪する男*10により妨害)


と続きます。しかし、8話と12話のようにシンが活躍した次の回はかならず旧主人公がそれを上回るとも取れる締めで持っていく*11のでシンのポジションが非常に不安定です。相変わらず旧キャラがでしゃばっている状態で、新キャラが脇役扱い。……今がボトルネックだと信じて2クールに期待といったところでしょうか。
 ここでも個人的に印象に残っているのがシンを始めとした新キャラのエピソードではなく、(シンとキラの対面は意味深な感じはしたが)アスランやキラの復活、アスランイザークディアッカとの交流。といったもので、不安が残ります。(種割れしたものの、同じガンダムタイプ種割れするアスランが同じサイドにいますし)

○キャラクター

 今作でキャラが立っているというか、良くも悪くも一番の存在を誇っているのはデュランダル議長。中の人の存在もあってか出番も多い上に、腹黒キャラで明確に立ってます。
 その他のキャラとしては、旧作からのキャラに食われてます。コンスタントに出番があるミネルバのメンバーも10話まではアスランの引き立て役のような存在ですし、それ以降もそれほど活躍もありません。オーブ脱出には最終的にキラ@フリーダムが出てきましたし。偏見で新キャラを列記してみると

  • シン…一応主役、影薄い。ラッキースケベ*12特徴はシスコンでキレやすい。後、中々20文字以上のセリフが無い。カガリへの反発からかアスランの肩を持つ。*13種割れ
  • レイ…実際のところ、シンより強そう。*14冷静沈着。議長とは関係済み(笑)*15
  • ルナマリア…サドっ娘で一言一言にトゲがあるように聞こえる。アスランとの絡みがあるわりにフラグ未消化。*16
  • メイリン…姉に比べてボケーっっとしている。が、それは演技かもしれない。
  • 整備士たち…その他大勢扱いになってる。割合説明役に回っている。
  • タリア…議長の表向きの愛人(笑)隠遁生活を送っていたアスランに的確な指示を出されるといったヘボさ。
  • アーサー…ヘタレ。艦長にしかられるために存在する(笑)
  • セイラン親子…頭はアズラエルと同程度のレベル。外伝でロンドが「オーブの五氏族はアスハ家とサハク家以外途絶えた」と言っているのに14話でカガリの乳母がカガリとユウナが許婚のような発言をしたのだが、外伝の設定は忘れられている様子。
  • ジブリール…前総帥アズラエルよりもバカで、典型的な悪の総帥の格好(笑)しかもかなり小物。
  • デュランダル…腹黒。仮面は付けていないが一番の変態と思われる。美少年や美少女をかなり食ってそう(笑)
  • ネオ…後半から登場しなかったため影が薄い。中はそのままフラガの様子なので新キャラとも言えなそう。
  • オクレ…新連合3バカのリーダー的存在。
  • アウル…これといった特徴なし。味方にブロックワードを使った。
  • ステラ…鬼畜漫画とかによくいそうな調教されておかしくなったキャラ。それ以上の特徴はあまり見られない。


といった具合。オーブの司令みたく所々で面白い人物が出てくるのですが、基本的には味方が正義の味方と言わないまでも敵は変な人ばかりで扱いも結構なおざりな印象を受けます。

○前作との比較

 前作は必然性は『ファースト』のオマージュ*17で、ナチュラルとコーディネーターという設定も面白そうでした。加えてヒゲではないガンダム*18だったので期待も高かったように覚えています。
 今作1クールは新キャラの説明を割合省いて前作のキャラを使っているので話の進行が早かったり(1クール後半は説明に入り始めて急激にペースが遅くなりましたが)するのですが、代わりに説明を省いている分良く分からないところが多いように感じました。ここのところは2クールに入って新キャラの説明に入りだしたようなので様子見だと思われます。ただ、前作2クールは3週連続総集編というシリーズ通してのボトルネックなので今作ではそうならないように期待したいですね。

○『Ζ』と『21世紀のΖ』との比較

 サンライズかバンダイかは知りませんが、『SEED』を「21世紀のファーストガンダム」というコピーを付けた以上、『SEED DESTINY』は「21世紀のΖガンダム」なわけです(笑)他にも、『語ろう、シャア』において福田監督が「アスランはシャア」だと言っていて、更に今作でサングラスに偽名という『Ζ』のシャアそのものの設定を採用している以上こういう比較の仕方もありでしょう。
 その視点で比較すると『SEED DESTINY』と『Ζ』の1クールでは『Ζ』の方が描写も丁寧ですし、個人的には面白いと思います。具体的に言えば主人公のキャラの立て方が相当に差が有ります。『Ζ』もクワトロ(=シャア)という前作からの主要キャラが登場するわけですが、カミーユのキャラは痛々しいキャラとして充分に存在感を発揮していました。ざっと挙げるだけでも

  • Mrk-Ⅱを奪取した時に自分を取り調べたMPをMSに乗って襲撃して「ざまぁみろ!」の一言
  • 両親がティターンズの人質になったときに、勝手な行動をして母親をジェリドに殺されたのに周りに当り散らすし、自分のせいだとは微塵も感じていない。
  • 自分は軍属ではないとうじうじ言って責任を回避しようとする。自分は子供だからと言い訳を言って(以下同文)
  • ウォンさんに理不尽な修正を受けてふてくされるが、周りの大人が冷たいので更にふてくされる。
  • 自分がMrk-Ⅱを奪取したせいで、幼馴染の家族がティターンズに捕まったのに自分のせいだとは微塵も思っていない。

  

などなど。一方、パイロットとしてもジェリドを何度も撤退させているし、ライラも撃破しているし、クワトロがあせって、メガ・バズーカランチャーを使わなければならないほどの存在感。でしたが、シンは食われっぱなしです。主人公としての活躍らしい活躍をしているのは8話の後半と12話の最後くらいのもので、存在感からすると圧倒的にアスランのほうがあります。まあ、『Ζ』でもエンドクレジットの一番初めは「シャア・アズナブル」でしたし、シャアが主役といってもいいのでしょうけどね。

○漫画(ボンボン)版との比較

 漫画は現在私が把握している範囲では本編*19は『マガジンZ』・『ガンダムエース』・『ボンボン』の三誌で連載されています。内容は以下のような感じ

  • 『マガジンZ』…ほぼアニメ版に沿った内容。前作も同じ人が連載していた。
  • ガンダムエース』…『ジ・エッジ』と銘打ち、アスラン視点からのストーリー。現在プレ連載状態なので何とも言えないが、内容から推測するに2クール以降はアスランが徐々にアニメ本編に登場してこなくなる伏線かとも思われる。個人的には同誌連載の『若き彗星の肖像』のように前作と今作の間で世界情勢がどう変化して言ったかという件は入れて欲しかったと思う。
  • 『ボンボン』…前作でも評判の高かったボンボン版。バルトフェルドが生き残った経緯など補完要素が多い。基本的なストーリーは同じだが、詳細は色々異なる。


今作も1巻が出たので買って読みました。月刊連載という都合上、

  • ストーリーがダイジェスト状になっている
  • 出てくるキャラが少ない(ルナマリアなんかはそんなに出てこないし、アスランの出番も少ない)
  • (これは月刊連載とは関係ないけど)絵は平井絵ではない


という点はありますが、きっちりシンが主人公を張っていますし、ユニウス・セブンで連合3バカvsオヤジ3人組の対戦カードはありませんが、敵にも魅力があるように書かれていてこっちの方が私の好みには合っています。いっそ『GUNDAM SEED THE ORIGIN』でもやって欲しいです。

○結論

 2クールに期待としか言えませんね。まだどうなるか分かりませんし。
 ただ、『SEED』シリーズはあくまで個人の関係性を重視した世界で、あくまでロボットものであるということです。ですから表向きの「21世紀のファーストガンダム」とか「戦争を考える」とかには反応しても無駄なんでしょうね。
 富野監督が毎回終わらせようとしているガンダムシリーズ*20は誰かが(無論自分も含めて)消費し続ける限り、スポンサーやら製作会社の都合で作り続けられることになるんでしょうね。
 別にそれは何も文句を言うべきことではないのですが、淋しくはあります。


誤字訂正と多少追記しました。

*1:見栄張ってます。それ以外で見に来てる人いません 泣。お時間に余裕がある人はコメントいただけると喜びます。

*2:TVシリーズのみで言えばガンダム強奪から始まらないのは『機動武闘伝Gガンダム』・『新機動戦記ガンダムW』・『新機動世紀ガンダムX』・『∀ガンダム』(『ΖΖ』は厳密に言えば1話は『ファースト』〜『Ζ』までの話をまとめた総集編。話はΖ強奪からスタートしているので一応カウント。『V』はシャッコーかゾロを強奪した覚えはあるけどガンダムはどうだったか記憶が曖昧。)と、宇宙世紀は強奪から始まっています。

*3:12話までは特にインパルスが必要でもなかった。特に「ユニウス・セブン落下」もザクで充分だった。

*4:前作開始時、大西洋連合側はMSの製造・運営技術に乏しく、オーブに技術協力を依頼してMSを造り、MSの量産を進めなければならなかった。特に当時のMSはコーディネーターにしか扱えないような代物だったのでナチュラルでも扱えるようにデータを収集する必要があった。そのため、ZAFTとしてはストライクやアークエンジェルを連合の手に渡すわけにはいかなかった。TV版『ファースト』と似た事情。

*5:レイダー・フォビドゥン・カラミティー

*6:一騎・総士・真矢のこと。

*7:伏線なのかどうか分かりませんが強硬派が組織立ったものかは一切語られていません。そのわりにボギーワンの所属はあっさりばらしている。

*8:と、いいつつも本編にもASTRAYのリ・ホームが出ていたりと微妙なバランスがある

*9:裏で旧・ザラ派と通じていますよ、この人。

*10:ヘリオポリスの種馬こと、キラのこと。

*11:9話はアスランが「敵って、誰だよ」といいつつ去っていくところで締め。13話はキラがフリーダムで最新の機体に載ったを暗殺部隊を瞬殺。

*12:一話以来使われていない。

*13:アスランのみになるとそうでもない様子。

*14:ミネルバクルーもそう評価していたことが13話で発覚。

*15:一話の見詰め合う二人や、交戦中に「あれにはギルが載っているんだぞ!」発言。

*16:15話で急接近

*17:人によってはパクリであったりリスペクトであったり色々言い様があるのでしょうけど

*18:こうは言いますが『∀』好きですよ。人間のフォルムに沿っているところとか。しかし、意匠としてのトリコロールとV字ブレードアンテナがあればガンダムに見えるのは意外だった。

*19:ASTRAYではないほう

*20:そもそも2作目の『Ζ』から『ファースト』のプラモなどのヒットで続作のほしいスポンサー側の都合で誕生して、最後は主人公が精神崩壊を起こして終了。その後『逆襲のシャア』ではアムロとシャアを生死不明に追い込み、『V』ではバイク戦艦やネネカ隊のコスチュームなどガンダムが今まで作り上げたものを崩壊させ、『∀』では過去のガンダムは全て黒歴史にした。