『アイアンマン:エンター・ザ・マンダリン』
アイアンマン:エンター・ザ・マンダリン (ShoPro Books)
- 作者: ジョー・ケイシー,エリック・カネッティー,柳亨英
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2013/05/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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マンダリン初登場の『Tales of Suspense』#50(1964)の現代版リメイク作品。
『Amazing Fantasy』#15(1962)の一部のリメイクである『スパイダーマン:ウィズ・グレート・パワー』と
- 作者: デビッド・ラッファン,トニー・ハリス,石川裕人,近藤恭佳
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2012/11/10
- メディア: 単行本
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同系列の作品と考えて差し支えないでしょう。
いきなり余談になりますが、アイアンマンの初登場は『Tales of Suspense』誌であり、スパイダーマンの初登場は『Amazing Fantasy』誌です。これらはアンソロジーコミックで、アイアンマンやスパイダーマンは短編の中で人気があったものが後に独立してヒーロー個人の名前を冠した雑誌が出ることになります。読み切りで掲載した作品の人気投票で連載が決まるというイメージです。
他にもソーは『Journey into Mystery』誌、アントマンは『Tales to Astonish』誌、年代と出版社が違いますがスーパーマンは『Action Comics』誌、バットマンは『Detective Comics』誌からそれぞれ出てきたヒーローです。
スパイダーマンが初登場した『Amazing Fantasy』#15に他にどんな読み切りが載っていたかは『スパイダーマン:ウィズ・グレート・パワー』に併載されているので興味のある方は読まれてみるのも良いかと思います。ただ、ヒーローの話ではありません。
余談から本筋に戻ります。映画『アイアンマン3』とは異なり、こっちのマンダリンは本物。魔法の指輪で戦います。本の帯にも
映画『アイアンマン3』でも登場するこの男の本当の姿がここにある
※太字部分は本の帯では傍点
と書いてあります。帯のあおり文句の入稿の締め切りがいつだったのかは分かりませんが、少なくとも映画『アイアンマン3』の内容を知った後に書かれたものでしょう。
あらすじは、トニー・スタークがアイアンマンになってスーツをマーク3まで改良した頃、シールドからアイアンマン向けに中国へ潜入し、マンダリンを監視するという任務が降りる。そしてここからアイアンマンとマンダリンの長きにわたる戦闘が始まったのだった。といったところ。
元々コミック1話分、14Pのストーリーなので再戦や幕間の話、アクションシーンなどが増えている感じです。カートゥーンの趣があるアートで昔のデザインのアイアンマンやマンダリンがところ狭しと戦いに明け暮れます。
目立って映画と違う所で言うと
- トニー・スタークはアーマーを外した状態でも胸部を覆うプレートで心臓を守っている。プレートのバッテリーはソケットから充電式
- アイアンマンは公的にはトニー・スタークのボディーガードが装着していることになっている
- マンダリンも含めヴィランはほぼ共産圏
あたりでしょうか。
アーマー周りは映画がかなりスマートになっています。電磁石およびアーマーの電源は交換式のアーク・リアクターですし、アーマーの脱着も専用のメカがあります。ですが、コミックでは胸部を覆うプレートになっていてソケットから充電式です。これでよくお姉さんたちといちゃこいてるもんだと思いますが、そういうもんでしょう。
アイアンマンがトニー・スタークのボディーガードネタは映画『アイアンマン』でもラストの記者会見でシールドが用意したアリバイの供述書に書いてありましたね。トニーに「嘘くさくないか?」と突っ込まれていましたが、元はといえば本人の発案でした。
マンダリンも含めヴィランがほぼ共産圏なのは元々の作品のご時世でしょうか。ロシアからはクリムゾン・ダイナモ、中国からはマンダリンと、いずれも共産圏の敵が現れています。これが映画では反アメリカのテロリストとそれを裏から操るアメリカという構図になっています。最大の敵は自分自身と書けばそれなりに聞こえもよいですが、自業自得な面もあります。
このあたり映画『アイアンマン3』でいうとハッピーが襲撃されたことにカッとなって別荘の住所をテレビの電波に載せて発表してしまうなど映画のトニー・スタークの気質にも反映されているように思います。
トータルで言うとクラシカルなアイアンマンをカートゥン調な絵で読めるということが響く人にはオススメです。映画の現代風なアイアンマンを期待すると違うものが出てきた印象になるかと思います。