∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

Netflix『ボクらを作ったオモチャたち』S1


評価

  • 3/5点 (馴染みのあるオモチャだったらもっと楽しめたと思うけど……)

概要

『ボクらを作ったオモチャたち』はNetflixオリジナルのドキュメンタリーで、シーズン1は全4話。

取り上げられているオモチャは

で、基本的にほとんど遊んだことも馴染みもないので、評価があまりよくないという感じです。OPのアニメでトイザらスのような店舗に入っていくのですが、そんな大きいオモチャ屋さんなんて行ってなかったもんなぁ。また、題材の時代的にも概ね私より上の世代なんですよね。バービーなんかは半世紀以上前に母親が遊んでましたし。

面白かったのはクリエーター達の当時のとんでも話。マテル、ハズブロなどのアメリカの大手企業の成り立ちが聞けたり。後、よくある権利問題。だいたい権利問題。ブレイクスルーを達成するときには無理な契約をするもので後々の禍根になります。

印象に残っているところ

スター・ウォーズ

ジョージ・ルーカス監督本人ですらここまで大ヒットすると思ってなかった『スター・ウォーズ』。当然オモチャも大手が契約してくれるはずがなく、地方のオモチャ会社が好条件で契約し、ヒィヒィ言いながら大儲けしていくものの、売れたら売れたでルーカスフィルムは条件の見直しをしたいわけで、最終的には会社ごと大手に買われてしまうという末路を辿ります。

特に初期はキャラクター商品にありがちな既存のオモチャのリペイントでしのいだり、限定販売品が高騰したり。ボバ・フェットがTVスペシャルのアニメが初登場だったというのは初めて知りました。というかそんなのあったんだ……。

バービー

元々ドイツの大人向け漫画のキャラクター商品から着想があった(目がキツくてセクシー体型なのはそのせい)というのは初めて知りました。

初期モデルを作った人がいいところの出で最初に給料が払えなかったので開発品の1.5%のロイヤリティという仰天な契約をして、後に関係が破綻したという大成功したらよくあるパターンもありました。他にも創業者が粉飾決済して会社から追放されたり。

市場シェアで勝てなくなったら金にモノを言わせて裁判でシバくというアメリカらしい話も出てきました。結局売れるトイデザイナーが元マテルや元ハズブロの人なので、在籍中に副業でやってたやつなんかだと訴訟に負けるパターンが。

後、当時他にあまり他の大きなオモチャ会社がないのだと思いますがほとんどのエピソードで元マテル社員が出てきて「マテル古くからある大きい会社なんだなー」と思いました。スター・ウォーズエピソードのケラー社の社長も元マテル社員でしたし。

ヒーマン

アメコミとアニメで存在は知っていましたが、オモチャのバックストーリーがないことを指摘されてその場で口から出まかせで「コミックがあります」「アニメをやりましょう」と言ってできたものというのは驚愕でした。

ここでもヒーマンのオリジナルクリエーターが誰か問題が勃発してました。バービーの時より穏便でしたがはっきりクレジットされない仕事の手柄は難しいですね。

そして現在のヒーマン。完全に大ヒットした時期に遊んでいた大人向けの高価格帯製品になってしまったという。日本でもバンダイが受注限定生産なんかでやってますし。

G.I. ジョー

スネークアイズが黒一色なのはカラーバリエーション使った時のコスト削減目的だというのがオモチャ屋さんらしい事情で面白かったです。

総評

自分が持っていたオモチャ(例えばトランスフォーマーとか)だと思い出があってより興味深く見れたと思うのですが、馴染みがないものが多かったので「へー、そうなのか」といった少し引いた態度で見ていたと思います。日本で同じようなドキュメンタリーあると面白いんですが、できないもんですかね。バービーの回はリカちゃん人形でしょうし、ガンプラの回はありそうな気がしますが。

Netflix『サバイバー 宿命の大統領』(原題:DESIGNATED SURVIVOR) S1


評価

  • 4/5点 (とても面白かったけど、1シーズンで20話越えているので気軽に勧められない)

概要

『サバイバー 宿命の大統領』(原題:DESIGNATED SURVIVOR)はNetflixオリジナルのドラマで、シーズン1は全21話。

ジャンルとしては「例外的な規則が適応される異常事態になるとどうなるのか?」というシミュレーションの話です。

本作の例外的規則は原題の「DESIGNATED SURVIVOR」でアメリカの指定生存者制度です。この制度は一般教書演説のように主要人物が一箇所に集まらざるを得ないケースで、大統領継承権保有者のうち一人を離れた場所に待機させることで、不祥の事態発生時にも大統領の不在を避けるためのものです。

日本でもフォーカスは「異常事態」の方でしたが、『シン・ゴジラ

で主要閣僚が乗ったヘリがゴジラの熱線で爆発し、外遊中だった大臣が総理大臣になりました。日本の場合は内閣法第9条と慣習から内閣総理大臣臨時代理の候補を5人選んでおくのですが、指定生存者制度はないはずなので、5人同時に不祥の事態が発生することはあります。その場合は劇中と同じように現役国務大臣から優先して選ぶのでしょうね。


本作の物語はこの制度が連邦議会議事堂がテロリストによって爆破され、閣僚および主要上下院議員の大半が死亡するという最悪のシチュエーションで適応されることから始まります。閣僚は指定生存者に指定された主人公のみが生き残り大統領に。上下院議員もほぼ生き残っておらず、議会も機能しない状態。

印象に残っているところ

キーファ・サザーランドのジャック・バウワーとは違う役柄

主人公は元々誠実さが取り柄の学者で政治家歴の浅い住宅都市開発長官。しかも指定生存者に指定された理由は大統領と政策で割れ、大統領から半ば謹慎処分を言い渡すための処置でした。そして、ここが一番重要なポイントなのですが、誠実さが売りの住宅都市開発長官の役は『24』主人公のジャック・バウワーを演じたキーファー・サザーランド

キーファ・サザーランドというとTVドラマ『24』

CTU(テロ対策部隊)の捜査官ジャック・バウワーを長年演じてきたその人でして、いわゆるタフガイキャラです。また、個人的な印象としてゴシップで私生活でも暴行・傷害などで逮捕されていることも知っていてキツい人という感じでした。それが元学者の気弱なところがある誠実な人というイメージと全くフィットせず、中盤くらいまでは私が一方的に違和感を感じていました。なにせ、プレッシャーのあまりトイレで吐き続けたり、意見の違う人に遠慮がちな発言をしたり、怒鳴ったり、膝を撃ったりしないわけですし(笑)

こういった演者のイメージの特定キャラクターへの固定は古くからある話です。例えば、第二次世界大戦後のTVシリーズ『スーパーマンの冒険』でスーパマンを演じていた俳優ジョージ・リーヴスの死の真相を突き止めるサスペンス映画映画『ハリウッドランド』

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でも描かれていましたが、彼は長年スーパーマンを演じていたせいでそのイメージが強く、シリーズ終了後に他の役がなかなか得られなかったそうです。特にTVシリーズの場合、月1や週1で間が時々開くとはいえ、長いと10年近くはそのキャラクターを見ることになるわけですしね。


『24』と『サバイバー 宿命の大統領』の間にキーファ・サザーランドは『TOUCH/タッチ』でも主演なのですが、残念ながら『TOUCH/タッチ』は見れておらずでして、そこで今回の役柄のような役を演じていたのかもしれません。私にとってはほぼジャック・バウワーからの変化なので驚きが大きいところでした。

ただ、あくまでこれは私の物語外部の情報に根付いた印象の話で、キーファ・サザーランド自身は主人公のトム・カークマンをよく演じていると思います。眼鏡や衣装などの小道具やいかにも神経質そうな仕草など、学識があるかというとよくわからない面はありますが、丁寧な人だということは伝わってきます。

非常事態だからこそまとまるのが難しい

思えば、アメリカは過去の世界大戦で首都機能がある場所を壊滅させられたことがないんですよね。だからこれが初めてのことなのだと思いますが、皆が皆の思惑で動いてまとまらない。

前半は概ね大統領の正当性にケチをつけて皆独自の行動をとりたがり、収束しても非協力的だったり、これまで主人公が積極的でなかった政争に巻き込まれてうまくいかなかったり。後半は一応臨時大統領として認められるものの、次期選挙に向けた調整や、前後半通して核心に近づいて行く連邦議会議事堂爆破の犯人とその動機や過程とがからみあって行きます。

ざっと挙げてみると

  • 大統領の受難
    • 色々ゴネて臨時大統領を認めずに州の戒厳令を発動して半ば独立しようとする州知事
    • 非協力的な軍やNSA
    • 安全でないホワイトハウス(盗聴・内通者)
    • 歴代政権が極秘に進めていた破壊工作が明るみになって対処を迫られる
    • 個人的信条を余所にして利害関係のために信条を曲げないといけない諸問題(銃規制など)への対応
  • 捜査官の受難
    • 連邦議会議事堂爆破の犯人と犯行の解明(ここは物語上のネタバレを多く含むのでこれ以上書きません)

といった感じです。

アメリカにとっての大統領のイメージが想定以上に強い人間であることを期待されているのと、軍部や諜報組織とはうまくやっていくのが難しいという、他の作品でも描かれている問題が描かれます。そして、この両方ともに主人公のカークマンの出自や性格の問題から対応がハードモードになっている印象。

ただ、主人公カークマンが開始時にプロフェッショナルではないからこそ、成長談的な要素や展開ができることに幅ができているところがこの物語の大きな魅力の一つだと言えます。人が成長して行く(しかもかなり年でやったことがない重責を担いながら)過程は見ていて勇気付けられるところがあります。

プロフェッショナル集団の話は業界の特異性や、プロの仕事が観れるという自分が第三者として観察した場合の楽しさでそことはかなり違うなと思いました。『24』もプロフェッショナル集団の話ですが、とかく暗部に向かいがちだったり、息苦しいことになっていくことが多くなっていたように思います。書きながら思ったのですが、このシリーズに対してキーファ・サザーランド=ジャック・バウワーを介して『24』的な物語性を期待していたので、序盤から中盤にかけて違和感を持っていたのかもしれません。

総評

面白かったのですが、話数が多いのと、海外ドラマによくあるシーズンで話が完結していない問題があって、今のところ勧めづらい状態です。アメリカではすでにシーズン2が放送されているそうなのでそれ次第かなと思います。

Netflix『マンハント』(原題:MANHUNT) ユナボマー


評価

  • 4.5/5点 (とても面白かった)

概要

マンハント』(原題:MANHUNT)はNetflixオリジナルのドラマで、今の所公開されているのはアメリカの連続爆弾犯・ユナボマーに関するエピソード。全8話。タイトル通り、特定の犯罪者を逮捕するまでの話のシリーズなのかもしれない。

物語は1995年に言語センスが優れた捜査員が犯行声明文(産業社会とその未来)から(統計)言語学的に犯人を割り出す方法を編み出していく過程と、ユナボマーが特定されてからは、当人とその周囲の暮らしなどが描かれていく。

印象に残った部分

言葉遊びのようなところから始まった(統計)言語学アプローチによる犯行声明文の解読。これが犯人像に迫ったいった過程が一番印象的でした。

他の方法はというと、Netflixのオリジナルドラマ『マインドハンター』で黎明期が描かれていたプロファイリングと、現場の刑事の勘と経験と度胸。この話中では有力だと、現場の勘が重視されているような節があって、容疑者に当てはまるプロファイルを求めていたりと本末転倒な使われ方をしているときもあった。


解読は犯行声明文である『参照社会とその未来』から

  • 文章の形式
    • 特徴的な書式
    • 特徴的な言い回し
    • 特徴的な綴り(同じ単語でも綴りが違う。例:"color"と"colour"など)
  • 文章の内容
    • 出てくる内容
    • 出てこない内容

などを紙やホワイトボードに書き出していって、犯人のパーソナリティを推定していく作業。95年だとまだPCでこういった整理をするには向いてないようで、床や壁に大きな紙を張って記入していくのがビジュアル的にも面白い。

書式は有識者会議の中である一定時期に使われていた博士論文のフォーマットということが分かり、高等教育を受けていたと推測されます。犯行声明文はタイプライターを使っていたので、現代のようにあらかじめ設定したフォーマット内に文章を書くのではなく、フォーマット込みで文章を書き上げていく必要がありました。そうなると、フォーマットを知っていて、ある程度そのフォーマットで文章を書くことに馴染みのある人物。容疑者の中で博士論文のフォーマットを知っている人がそういるわけではなく、かなりの絞り込みに使われました。

また、現代ではあまり使われなくなった古風な言い回しや特徴的な綴りは、文字や単語を覚える時期、その時期に読んでいた新聞や雑誌の語彙、綴りの授業に使われたものが寄与しているのではないか、という推測につながりました。古風な言い回しで年齢の検討がつき、綴りに至っては年代と地域をともに絞る材料になりました。

上記からある程度の容疑者絞り込みが行われた後、家族からの告発(実際には弁護士を介して照会をかけただけで、それを元に家族に会いに行くのは違法。連絡した担当者は更迭されていた)を受けて、筆まめだった犯人の手紙を押収。手紙に犯行声明文と同じ特徴があるかを調べていきます。


そして、この調査内容は証拠として認められ、ないのですこれが。上司も押し切ってきたし、捜査令状にサインさせるのも押し切りでしたし。家宅捜索の結果、爆弾や犯行声明の元となる文章などの物証が出たのですが、犯人に「違法な操作によって入手した証拠は無効だ」と指摘されてしまう始末。とはいえもう物証はあるのだがというところ。

当初ユナボマーに付いていた弁護士は心神喪失状態を訴えることにしたものの、ユナボマーはこれを拒否。自分で弁護にあたり、逮捕に至った言語学的調査を行なった捜査官に揺さぶりをかけます。何を考えているのか黙して語らないまま、ユナボマーは裁判を受けずに司法取引をして刑務所に収監されることとなりました。

ユナボマーが多くを語らなかったことは人々の関心を呼んでいたようです。まだ生きていて今年76歳になるようです。

余談

逮捕に至った調査95年のもので、ユナボマーが1967年に博士課程を修了していることから、少し古い話ではあるので、現代だとどうなるかを考えてみました。


ユナボマーは山奥で電気を引かずに生活していたので、犯行声明文を書こうとするとタイプライターになるでしょう。自筆だと筆跡鑑定(これは95年当時も有効な証拠だった)にかけられてしまいますしね。電気と電話を引いていないので必然的にインターネットにはつながらず、電子メールだと送受信記録から足がつきます。ユナボマーの犯行声明は95年と変わらずタイプライター、ないしはどこかのネットカフェなりで書き上げて印刷されたものになるでしょう。

文書の書式に関してはタイプライターの場合は自発的に選ぶ必要がありますが、タイプライターで書く時点で別の絞り込みができそうです。例えばタイプライター用の消耗品を買っている人間にするなど。

言い回しや綴りはある程度特徴が出てくることには変わりがないと思います。ただ、特徴的なスペルで地域を絞れたのは当時でも偶然に近いものだったので、標準化されていそうなものが近年も有効に働くかはやや疑問です。後は時代的なものもあるのですが、人種差別的表現があり、その人種があまり生息していない地域出身だという話も、次第に大きい都市だとなくなってきているような気はします。

内容に関しては今の方がもっとハードになっていたかもしれませんね。本人は使わないと思いますが、例えば手伝いをしていた図書館の子がSNSにはまり続けていたりしたら、SNSの会社がターゲットになっていたかもしれませんね。「人間の創造性を損ねている」とか「時間を無駄に使っている」とか。

犯行声明文と手紙の比較は著者推定である程度機械的にできるようになっていると思います。ただ、これも「X%、本人だと思われる」の世界なので、有効な証拠として扱われるには難があるかもしれません。


総合してみると、ユナボマーの生活を前提にするとあまり変わらなさそうですね。トレーサビリティーの低い手段を使う必要があるので、そうするとポストに投函になりますし。封筒や箱であれば宛名が印刷したものを張っているのも特に不思議なことではないですし。文書解析によるプロファイリングが進んでいるかどうかでしょうか。

Netflix 『ブラック・ミラー』S3


評価

  • 5/5点 (何度か見直してる)

概要

『ブラック・ミラー』(原題:Black Mirror)は 動画配信サイト Netflix のオリジナル作品。社会風刺SF(イギリス制作だけあってジョークが黒め)。シーズン3は全6話。

  • 1話『ランク社会』:SNSなどにあるランクが個人の生体情報で一本化され、生活の全てがランクで制限される話
  • 2話『現実拡張ゲーム』:VRの話
  • 3話『秘密』:ハッカーに秘密を握られてしまい、SMSの指示のままに動かざるを得なくなった少年。少年がハッカーに握られてしまった秘密とは?
  • 4話『サン・ジュニペロ』:心と体を切り離して、心が仮想空間で生きれるようになった時代の話
  • 5話『虫けら掃討作戦』:兵士のPTSD防止施策みたいなSF話
  • 6話『殺意の追跡』:SNSに連動して殺人蜂が派遣される話

前のシーズンのエントリにも書きましたがいずれも後味よくないエピソードなので、そういうのが受け入れられる気性・体調でない場合は視聴はお勧めしません。

各話感想

1話

シーズン4まで公開されている現在で一押しのエピソード。シリーズ全体のカラーを表しているのはシーズン1-エピソード1ですが。評価が下がると建物には入れなくなったり、ファストレーンに並べなくなったり、家が買えなくなったりと酷い。元高評価で今低評価の人の生活が出てきたり、とても辛い。

2話

VR企業の人めっちゃ流暢な日本語喋ってて笑いそうになりました。何重にもVRか現実か分からない構成になっててちょっと分かりづらいかなと思いました。

3話

とにかくみんな謎のアイコンに秘密を握られていて悲壮感が漂う。目的を達成しても最終的に秘密はバラされるというひたすら酷い話。アノニマス的な話と、ちょっとでも悪いことすると総叩きに会うインターネット社会、現実になると怖い。

4話

百合。世界観が明かされるのも後半からで、後半怒涛の逆転展開で驚くばかり。

5話

頭にチップ埋め込まれる系の話。反体制の人たちを兵士が躊躇いなく殺せるようにチップが化け物としてレンダリングしていたが、それが壊れかけておかしくなった兵士の話。しかもシステムは録画再生できる。帰還兵の適応障害の話は色々な話で出てきていて考えさせられます。

6話

時間が飛び抜けて長い割に面白さが強くなっているわけでもなく、という話でした。

印象に残ったエピソード

1話『ランク社会』でしょうか。「○○疲れ」を端的に表していると思いますし、炎上その他リスクを考えるとろくな発言できなくなってるのもよくありますしね。

総評

S3は1話, 4話、次いで3話くらいで他はまあ好みかなぁ、という感じになってきました。S4はますますその傾向が強くなってきているので、誰かにキュレーションしてほしいなぁと思うところです。

Netflix 『ブラック・ミラー』S2


評価

  • 5/5点 (何度か見直してる)

概要

『ブラック・ミラー』(原題:Black Mirror)は 動画配信サイト Netflix のオリジナル作品。社会風刺SF(イギリス制作だけあってジョークが黒め)。シーズン2は全4話。

  • 1話『ずっと側にいて』:事故で恋人を失った女性が友人に死人と通信できるソフトを勧められて、死人が生きているかのようにの疑似体験がどんどん拡大していく話
  • 2話『シロクマ』:記憶を失って気がついてみると追われる身になり、その周囲には不気味なギャラリーたちが
  • 3話『時のクマ、ヴォルドー』:アニメキャラを選挙に出馬させる話
  • 4話『ホワイト・クリスマス』:周囲に人気のない山小屋でクリスマスを祝う2人の男。身の上話を話していくうちにさらなる事実が

前のシーズンのエントリにも書きましたがいずれも後味よくないエピソードなので、そういうのが受け入れられる気性・体調でない場合は視聴はお勧めしません。

各話感想

1話

アイディア自体はそれこそ古典からありそうだけど、インターネット上(主に個人SNSなど)から収集した故人の情報や携帯電話などに含まれている情報を元にAIを作り出し、初めはテキスト、次は音声、そして肉体という細かいステップが現代風。昔だといきなりアンドロイドとか注文してたと思う。

後、天馬飛男になれなかった鉄腕アトムが捨てられたのと同じ問題で、開示されていない情報は分からない(性生活とか)、成長しない(外見は変わらず、思考も基本的には過去から出ない)などがあり、最終的に家に閉じ込めてるというみもふたもない状態になっていました。

2話

インターネットでの犯罪者に対する私的制裁行為(炎上)を現実に持って行ったらこうなるのだろうなという寓話。役者や見物人を引き入れたアトラクションと化していて、繰り返し上演するために主演の人物が記憶を毎回消されるという悲惨な状態。

襲いかかってくる追っ手は携帯のカメラを構えた見物人がさもいないように振る舞い、何かあるとぐるっと取り囲まれて写真を撮られるというヤバめの光景が見れます。

3話

モーションアクター兼声優がいる3Dアニメーション動物キャラのヴォルドーがネタで選挙に出たら大好評。中の人はプライベートでは政治家と付き合っていたが別れることになってしまったり、CIAがやってきてアニメキャラで各国世論のコントロールをしようと試みていたり。ネタでやっていたが事の重大さに気がついて辞めてみれば他の人がヴォルドーを引き継いで(音声は潤沢にサンプリングがあるのでおそらく合成だろう)素官品になる話。

ヴァーチャルネットなんとかとか、本人以外の何かしらのアバターを背負って政治発言する人、トランプのような振る舞いなど、色々比喩になっていて面白い。キャラクターとかアイコンに対して vote しちゃうのもありそうな話ですし。

4話

オチにたどり着くまで自分のコピーをパーソナルアシスタントとして働かせられるように調教する人とか色々話が出てくる。話のつなぎ方はなかなかで、一度直接見て欲しい。

面白かったのは頭にチップ埋め込まれている系の世界観なので、物理「ブロック」という概念があって、法執行機関によって「ブロック」されると、他人からはブロックされた人だというシルエットだけの表示になって見えるようになり、ブロックされた人は許可のある人間以外シルエットでしか見えないというのがとても怖かった。

これ学校で生徒同士でやられるといじめにつながるだろうなと思いました。「俺あの人にブロックされてるのか……」ってのが本人同士にしか分からない状態になるので。この設定で書かれる物語読んでみたい。

印象に残ったエピソード

3話『時のクマ・ヴォルドー』でしょうか。SNSでの話をリアルに持っていくとあんな感じかと。ヴァーチャルネットなんとか系が政治活動に進出してくるとより近い感じになるでしょうね。中の人問題当然出てくると思いますし。そしてアメリカでは漫画のキャラクターを彷彿させる人物が大統領になったりしてますし。

総評

S2は総合的な出来がよくてとてもおすすめです。全話見ると4時間近くかかりますが、その価値はあると思います。

漫画『クロスボーンガンダムDust』4巻


クロスボーンガンダム』シリーズは師弟の話から親子の話も広がり、『スター・ウォーズ』のようなサーガになりつつある。

4巻を読んでそう思った嬉しさに前の巻の記事書いたかどうかを気にせずに書き始めました。


クロスボーン・ガンダム』は初代から順に

と読者にとって既知の登場人物が師匠となり、初登場の主人公が弟子となって成長していく形式を取っていました。

Dustではそのパターンがいくつか崩れています。

  • フォントの冷凍睡眠によって師匠(フォント)-弟子(アッシュ)の年が逆転している
  • 恒例の師匠からの「黙って俺に付いて来るか、何もかもを忘れるか」の問いを弟子が断った

など。そして本巻から始まったカグヤの正体をめぐる新展開で登場した新キャラ。カグヤの一回り下の婚約者というクロスボーンガンダムタイプに乗った謎の男、誰なん……トビア!トビアじゃないか!(違います)

通信で顔をはっきり映す前にシルエットはあるものの、姿がはっきりしたコマで「ニコル・ドゥガチ」と名乗っていて、クロスボーンガンダムタイプのモビルスーツに乗っている。しかも姿はトビア。どう考えたってカーティス(トビア)とテテニス(ベルデナット)の息子さんですね。どうもありがとうございました。

機動戦士ガンダム』シリーズは数多く作られ、物語が作られている期間だけでも100年近くあるのに親子で主要人物を占める話はそれほど描写されていません。小説を含めても『ベルトーチカ・チルドレン』から『閃光のハサウェイ』のブライト/ハサウェイでしょうか。

しかし、優生遺伝論に近い発想だと思いますが、大事を乗り越えた主要人物の子供がどうなっていくかのは興味の対象です。「ニュータイプ」という人間の進化のような話をしていれば尚更のことです。妄想としてよくある展開がついに実現した!そういう胸にこみ上げるものがある展開でした。

(前作の主要人物の子供かつニュータイプ的というと同シリーズで『ファントム』におけるベルデナットもいるのですが、ベルデナットはモビルスーツ乗ってないし、囚われのお姫様ポジションだった時期もあったので個人的にそれほど盛り上がらなかったんですよね)


そのニコル「父親に似てない」「(カグヤは個人的にはタイプだが)政略結婚はよくない」「親の結婚と自分の出生時期が前後しているので、親の軟禁が自分のせいではないか」という悩みを抱えているようですが

  • 父親に似てない:父のトビアはカーティス・ロスコに整形してるので当然。その事実を知らされる前に親元離れたと思われる
  • 政略結婚はよくない:「子供が不幸になる」と言ってますが、少なくとも母方祖父母は政略結婚で生まれたのが母
  • 親の結婚と守勢時期:それ以前にベルデナットが生まれてる。そしておそらく同い年くらいの姉がいることを知らない

と今後も両親のことを知ってあれこれ思うことがあるでしょう。その時の師匠になるのが本作の主人公であるところのアッシュなのでしょうね。

本来本作で師匠となるはずだったフォントは別のところで弟子というか共謀者をとってますし、天下三分の計(違う)のそれぞれの陣営で師弟関係が生まれていくのでしょうか。


カグヤの方は16のニコルに対して28だし、趣味じゃないので当然結婚相手としては眼中にないですね。しかも地球に移民したムーン・ムーンの姫様で、という。『ZZ』からの登場ですね。『クロスボーン・ガンダム』シリーズには木製じいさんグレイ・ストーク(ジュドー・アーシタ)もとうじょうしてますし。ガンダムAでは『ムーンガンダム』も連載されていますし。『ZZ』関連が多く出てきますね。


ストーリーはカグヤの里帰り(ムーン・ムーンという名前だけど宇宙ではなく、地球の海底にあるのが面白い)にさいしてムーン・ムーンと木星のつながりが登場し、それぞれの代表としてカグヤとニコル、過去の遺産としてクロスボーンガンダムサイコガンダムが登場。

大気圏突入とサイコガンダムの起動〜戦闘が長めだったのでストーリーの進展は絞られていますが、カーティスとテテニスは木星タカ派に軟禁状態にされているという話も出ていましたし、これからの展開が楽しみです。

Netflix 『ブラック・ミラー』S1


評価

  • 5/5点 (何度か見直してる)

概要

『ブラック・ミラー』(原題:Black Mirror)は 動画配信サイト Netflix のオリジナル作品。社会風刺SF(イギリス制作だけあってジョークが黒め)。シーズン1は3話。

  • 1話『国家』:国民に人気の王女が誘拐され、首相は犯人からあることを要求される。犯人の主張はSNSをつかって拡散されていき、首相は犯人の理不尽な要求を受け入れざるを得なくなる
  • 2話『1500万メリット』:ディストピアSF。完全管理社会から脱出するにはオーディション番組に出演してスターになる道しかない
  • 3話『人生の軌道のすべて』:近未来、過去の記憶をすべて録画再生できるチップを体に埋め込んでいる世界。他人にも共有できる形で完全な記憶がある世界で起きる不幸とは

ポッドキャストを聞いて存在を知ったのですが、昔見た『新アウターリミッツ』の社会風刺エピソードとも通じるものを感じました。アメコミの『ウォッチメン』なんかも『アウターリミッツ』の「歪められた世界統一」を元ネタの一つにしていますし、イギリス感があります。

いずれも後味よくないエピソードなので、そういうのが受け入れられる気性・体調でない場合は視聴はお勧めしません。

各話感想

1話

王女を誘拐して要求が首相が豚とヤる様子のTV放映という、よく分からない要求をして来る犯人と閣僚たちの慌てふためきようがSNSを通して拡散されていき、収集がつかなくなってしまう。首相のもとに指が送られてきたりで追い詰められていく。

SNSで情報が収集できないほどに拡散されてしまうことや、悪趣味が通ってしまう恐ろしさがよく描かれていると思います。

2話

ディストピアSFで題材自体は割とある話で味付けが現代風になったかという感じ。管理社会脱出のためには体制側に取り込まれざるを得なくなり、体制側への不満は、同じような不満のはけ口にされるために飼われる形になってしまう。

完全管理社会の描写や娯楽などがフルデジタルではあるものの示唆含めた部分はそこまで新しい要素ないかなという印象です。ただ、押しが酷い目に遭うという分かりやすいシチュエーションではあるので辛さは割と強めです。

3話

これも発想としてはあったんじゃないかなという記憶のデータベース化と共有の話。共有のところがやや現代チックか。法規制はとうぜんあるものの、他人の記憶にアクセスできるというのが怖いところで、企業就職時や渡航時に怪しいことしてなかったかとかのチェックなど、物証になっちゃうし、プライベート見られちゃうんですよね。

そうでなくとも、主人公の男性もそうなのですが、嫌なことがあったときの記憶をなかなか忘れられないタイプの人には辛い世界だな、と思いました。

印象に残ったエピソード

1話『国家』でしょうか。理由はインターネットやSNSが社会生活内に取り込まれているからです。現代〜近未来くらいの時間軸の話でインターネットやSNS的なものが出ていない話はどうも古い感じがしてしまうので。あとはイギリス人らしい首相への直接要求がブラックだから。

総評

元々『新アウターリミッツ』のような寓意を含んだSF系の話が好きなので総合的に良かったです。他の作品で似たようなエピソードがあっても、現代的に作り込まれている点や、現代だからこそ状況が変わってきた点が含まれている話があるのでとてもよいと思っています。