『Spider-Gwen(スパイダーグエン)』(2015 - ) issue #1 / Most Wanted? Part 1
- 作者: Jason Latour
- 出版社/メーカー: Marvel
- 発売日: 2015/10/14
- メディア: Kindle版
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前回までのあらすじ
『Edge of Spider-Verse』(2015) issue #2 からの続きです。前号については以下を参照。
なお『Edge of Spider-Verse』(2015) issue #2 は『Spider-Gwen』(2015) issue #0 として仕切りなおしされているようです。後から追う人に優しいというべきか、初出が2つあって面倒と言うべきか。
あらすじ
「スパイダーウーマンを止めろ」と書かれ、死んだピーター・パーカーの写真が貼られた看板が立てられたビルの屋上。スパイダーウーマンの象徴ーー白いパーカーを着てフードを被った中高生くらいの男女がスプレーで看板を落書きで塗りつぶしていた。ほどなく、男女は誰かが階段を登っているのに気がついた。巨体を揺らしながら窮屈そうに非常梯子を上ってくる。NY市警のグリム巡査だ。
子どもたちはグリム巡査の執拗さに呆れていた。と、そのとき看板の上には人面鳥ーー正確には胴体も人のものをした怪物が羽を休めていた。怪物は目も赤く、歯をきしませており、スパイダーウーマンの名をただ繰り返す。肉体だけでなく精神も異形のようだった。
異常を感じた子どもたちはグリム巡査が看板下の足場にたどり着いたときには隣のビルに飛び移っていた。やれやれ。グリム巡査が帽子を直して看板を見上げる。鳥の怪物だ。グリム巡査はヴァルチャーに突き落とされる。
人面鳥は言った。
「我が名はバルチャー(ハゲワシ)。死を催そう」
宙に舞ったグリム巡査はヴァルチャーの靴の先の鉤爪で手をロックされ、怪鳥と共に空へと登っていった。
路地裏。レジスターを抱えたボロボロの服を着たドミノマスクの悪党が逃げ出している。空からスマートフォンに話しかけたままのスパイダーウーマンが降りてくる。悪党は刃幅の広いカッターナイフで斬りかかる。スパイダーウーマンは悪党をみもせずに腕を掴み、そのままダストシュートへ投げ込んだ。スパイダーウーマンはスマートフォンで不在にしていた(不在時のスパイダーウーマンの行動は『Spider-Verse』誌参照とのこと)間のことを調べていた。
相変わらずの言われように悪党の持っていたレジスターを蹴ってぶつけてしまった。ため息を一つ付いてうずくまると父親のステイシー警部から着信が。応答せずに電話を切った。
とある病室。部屋の主は首から下が包帯で巻かれているグリム巡査。壮年の白髪に口ひげの痩せた男ーーステイシー警部と栗毛で恰幅のよい蝶ネクタイの男ーーフォギー・ネルソンがいた。ステイシー警部は娘が電話に出ないことにいらつきながら、フォギーの問いかけに答えた。
ステイシー警部の命を助けたからといってスパイダーウーマンの扱いは変わることはないだろうとフォギーは言う。市長も、ジェイムソンもスパイダーウーマンを脅威だと思っている。
拘置所のアレクセイの房の中で、キャッスル警部による肉体言語による会話という名目の尋問が行われる。見張り役のデヴォルフも顔をしかめるほど、キャッスルの尋問はハードだった。はじめはだんまりを決めこんでいたアレクセイもついにはキングピンが背後にいることを自白する。キングピンの名前を聞いてキャッスルの顔は一層険しくなった。アレクセイに自白したから楽になると思うなよと伝え、アレクセイを殴り続けた。
スパイダーウーマンが現れた路地裏からほど近い店。グエンはコスチュームを脱いて店主にレジスターを返しに来ていた。店主はグエンに嫌疑をかけていた。なぜグエンがレジスターを持ってきたのか、なぜ壊れているのか。グエンはスパイダーウーマンに渡された。理由は分からないと言う。店主はスパイダーウーマンと聞いて声を上げる。
面倒になったグエンは話題を変えようと、レジスターを持ってきたお礼になにか食べ物をもらえないかと頼む。店主はグエンが何をしたのかと言う。レジのおかげでスパイダーウーマンに会えたのだからそれでいいだろうと言う。カウンターにおいてあったテレビから先日のアレクセイの襲撃事件についてのメリー・ジェーンズがインタビューを受けている。
インタビューが「命の危機を感じたか?」と聞くとエム・ジェイは格好を付けて「ロッカーはステージの上で死ぬものだし、ロックンロールのためなら死ねるものよ」と答える。他にはメリー・ジェーンズの曲「Face It Tiger」のダウンロード数が500%を越え、ドラマーのグエン・ステイシーの脱退の真否についてなどが話題に上がった。
グエンは再びスパイダーウーマンになってバンドの練習場を覗いていた。メリー・ジェーンズはグローリーの従兄をドラムに据えて練習をしていた。演奏を途中で止めるエム・ジェイ。このドラムではダメだと喚き散らす。つかさずグローリーと口論になり、ベティは離れて2人をなだめた。
そこへロックンロール・レポーターのランディ・ロバートソンがやってきてメリー・ジェーンズの「Face It Tiger」を聞きたい連中がいるという。ただし、グエンを戻すことを条件にしてきた。ベティが「ホログラムでも使う?」と軽口をたたき、エム・ジェイは諦めの表情を浮かべる。グローリーは四の五の言わずにグエンを戻すように言う。
グエンはこれ幸いとグローリー(本名はグロリア・グラント。スマートフォンの電話帳より)に電話をかけるが、電話に出ない。ステイシー警部からボイスメールが。内容はヴァルチャーについて。グエンはヴァルチャーを倒すことで名誉挽回しようと、ヴァルチャーが現れた現場から周辺調査を始める。
大きな手がかりはなく、街中にスプレー落書きをしてバルチャーを挑発するスパイダーウーマン。一通り書き終えた後にスパイダーセンスが鳴り響いた。鳥だ。
軽口を叩きながらバルチャーの急降下をかわす。すれ違いざまにクモ糸で目潰し。バルチャーは向かいのビルに激突。バルチャーは激昂し、唸り声を上げながらなおも襲い掛かってくる。飛び出したバルチャーの足にクモ糸を伸ばす。クモ糸は足に引っかかり、糸に引っ張られてスパイダーウーマンは宙に浮く。
糸の接着点が悪かった。バルチャーはスピードを上げた後、脚部の爪でクモ糸を切断する。吹き飛び、地面に落下していくスパイダーウーマン。地上ではステイシー警部からの着信が続いていた。
感想
1話目ということで丁寧にあらすじを追ってみました。他のスパイダーマンのシリーズと同じく
- 力を手に入れたことに対する代償
- 多方面からの謂れ無き中傷
- 二重生活から犠牲になる私生活
が描かれています。自分に憧れて力を手に入れようとして失敗し、死んでしまったピーター。ピーターの死にはじまり、マスクド・ヴィジランテとしてのメディア(JJJ)からの中傷。グエンとスパイダーウーマンとしての二重生活から、私生活のバンド活動もすっぽかしてバンドメンバーから外され、スパイダーウーマンになれば『Spider-Verse』で数日間留守にすることにもなり、諸々犠牲になっています。
画としてはスパイダー・グエンのデザインがよい(と私が思っている)ことは前回の感想にも書きましたが、全般的に薄暗く、淡い色彩で描かれており、さながらゴッサム・シティのようです。スパイダーマンは不幸な時期もありますが、青空の元のNYの摩天楼を飛び回る明るい側面があるように思いますが、スパイダー・グエンにはそれはありません。ティーンエイジャーの鬱屈的なものが反映されているような気もします。感情を音楽にぶつけてるのかもしれないですしね。
キャラクターの立ち位置としては
にも書きましたが、マーベルユニバースと比較するとピーターとグエンが入れ替わっているのと、マシュー・マードック(デアデビル)がキングピン側についているのと、ベン・グリム(マーベルユニバースでのザ・シング)とキャッスル・フランク(マーベルユニバースのパニッシャー)が警官になっていることが違いでしょうか。
編集者注で前回と今回の間に『Spider-Verse』誌(※2014年発行ではなく、2015年発行のSecret Wars中の方)での展開が入っているとのことなので、『Spider-Verse』誌も平行して読み進めていきたいと思います。
Next Issue (次回)
スパイダーウーマンとしてのバルチャーとの戦い。グエンとしてメリー・ジェーンズに巡ってきたチャンスは掴めるのか。
次回『Spider-Gwen』(2015) issue #2 / Most Wanted? Part 2
- 作者: Jason Latour
- 出版社/メーカー: Marvel
- 発売日: 2015/11/11
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少女に安息は訪れるのか……。