Amazing Spider-Man(vol.2) #698-700 Dying Wish
- 作者: Dan Slott,Richard Elson,Humberto Ramos
- 出版社/メーカー: Marvel
- 発売日: 2013/02/20
- メディア: ハードカバー
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Amazing Spider-Man(ASM) #698で冒頭から今際の際にあるDr.オクトパス。Ends of the Earth(ASM #682-687)を最後にラフト監獄に収監されいた彼はあるヒーローの本名を呼ぶ。
その頃Spider-Island(ASM #666–673)以降公式にニューヨークの親愛なる隣人となったスパイダーマンはいつもの様に1日を過ごしていた。ASM #694の飛行機事故で足を痛めていたメイおばさんのお見舞い中にアベンジャーズからの呼び出しが入る。呼び出された先はラフト監獄。呼び出し主はDr.オクトパス。Dr.オクトパスはスパイダーマンとの1対1の面談を望んでいた。
二人きりになったスパイダーマンとDr.オクトパス。Dr.オクトパスはチューブの詰まった口から声を絞り出す
「ピーター・パーカー」
スパイダーマンはマスクを脱いで答える。
「そうだ。『私』がピーター・パーカーだ」
Dr.オクトパスが目に涙を浮かべながら言う。
「違う。『僕』がピーター・パーカーなんだ」
スパイダーマンは続ける。
「今は違うんだ『スパイダーマン』。今は私がピーター・パーカーだ」
Dr.オクトパスの心臓が止まる。Dr.オクトパス(オットー・オクタビアス)の精神がスパイダーマン(ピーター・パーカー)の体に。スパイダーマンの精神はDr.オクトパスの体に。この秘密はDr.オクトパスの死によって守られるはずだった。
だが、ピーター・パーカーは諦めなかった。Dr.オクトパスが自分の体を使って悪事を働くと思ったからだ。死の淵にあるDr.オクトパスの体で手を探した。次第にDr.オクトパスの記憶が上書きされていく。父親に虐待されていた過去。スパイダーマンとの戦いの記憶。メイおばさんと結婚しそうになったこと。戦いの後遺症で体が動かせなくなったこと。そのための手足として作ったオクトボット。そして先日のボフゴブリンとの戦いの最中に金のオクトボットが二人の精神を入れ替えたこと。
幸い金色のオクトボットはまだ生きていた。オクトボットをコントロールしてラフト監獄から脱獄するように呼びかける。レザードが止めるが脱獄は成功。スパイダーマンを生かして捉えるように指示を出すのだった。
Dr.オクトパスがラフト監獄から脱獄したことはすぐにニュースになり、ピーター・パーカーにも伝わった。アジトで新たな義肢を付けるDr.オクトパスは意識を失う。混濁する意識の中、ピーター・パーカーは夢を見ていた。そこにはこれまでに亡くなった人たちがいた。スパイダーマンを集める少年、ティム・ハリソン(『ベスト・オブ・スパイダーマン』に収録)、アレクセイ、オクサーナ、セイブル、ジョージ・ステイシー、グエン・スティシー、マリラ、そして両親。ベンおじさん。
ベンおじさんと対峙するときにはピーターはマスクを外したスパイダーマンになっていた。周りの風景は立ち消え、濃い霧があたりを包んだ。ベンおじさんはピーターにマスクを付け、最後の仕事――オットー・オクタビアスをスパイダーマン/ピーター・パーカーのままにしておかないこと――のためにピーターを送り戻した。
Dr.オクトパスはオクトボットを回収するために警察署へ向かった。そこにはSpider-Islandで別れた元カノのカーリーが。スパイダーマンがピーター・パーカーであることを伝えて自分がピーター・パーカーであることを証明しようとするも、説得に失敗。跳弾で意図せずにカーリーを傷つけてしまう。
一方スパイダーマンは関係者全員をホライゾン・ラボに集めてDr.オクトパスの襲撃に備えていた。アジトのPCをクラッキングしてヴィランたちに捕獲部隊が向かっていることを告げる。ホック部隊の対応に追われるDr.オクトパス一味。Dr.オクトパスは潜水艇で水中から市内へ。
潜水艇の浮上先にいたのはオットー・オクタビアス、今のスパイダーマンだった。繰り広げられる戦い。ピーターと違い、ヴィランに容赦の無いオットー。ピーターはオットーを抱え、屋外に飛び出す。そして意識と体を元ある姿に戻すために金色のオクトボットを差し向ける。ピーターがされた時のようにうなじを指す金色のオクトボット。だが、オットーは硬化スーツに身を固めており、オクトボットの針は通らなかった。
スパイダーマンの一撃に立ち上がることもできないDr.オクトパス。万策は尽きたかに思われた。だが、ピーターは最後に自分がオットーの記憶を取り込んだように、オットーにピーターの記憶を取り込ませることにした。自分がどのようにしてスパイダーマンになったのか。どんな思いでスパイダーマンであり続けたのか。
「こんなものは欲しくなかった」
ピーターの過去を知ったオットーがつぶやいた。
「手遅れだ。それが君が欲しがっていたものなんだよ……スパイディ」
ピーターの声はかすれていた。
「教えろ。どうしてこんなことができたんだ」
「しなきゃならなかったんだ。なぜなら……大いなる力には……」
「大いなる責任が伴う。……分かった」
「よし。君が今からスパイダーマンだ」
ピーターは後のことをオットーに頼み、息を引き取った。
オットーは死んだピーターと引き換えに登る朝日に誓った。ピーター・パーカーを引き継ぐこと、悪事を働かないこと、スパイダーマンとして生きること。そして、ピーター・パーカーよりも優れたスパイダーマン(Superior Spider-Man)になること。
2012年の年末にASMが#700をもって終了。この後ASMの姉妹誌であるAvenging Spider-Man(AvSM) #15.1でエピローグが語られ、精神はオットー・オクタビアス、肉体はピーター・パーカーのSuperior Spider-Man(SSM)が始まります。SSMでは皆がピーターとスパイダーマンの変わり様を不思議に思いながらもまだ決定的なボロが出ていない状態です。決定打が出ないのはある理由があるからなのですが、それはSSMを読んでのお楽しみということで。
ASMというタイトルに出会ったのは雑誌のおまけに9.11の号(ASM vol.2 #36この頃はリナンバリングしてた)が付いていたときから。サム・ライミ版の映画の後です。あの頃はまだ新潮社が『アルティメット・スパイダーマン』と『アルティメット・X-Men』を出版している頃でした。それで言うと10年の付き合いなのですが、スパイダーマン自体半世紀前からのヒーローなのでまだまだといったところでしょうか。
SSMを読み始めるさいには
- Died in Your Arms Tonight (ASM #600-601)
- Dr.オクトパスが長年のダメージで義肢をつけてオクトボットを使うようになった話
- Spider-Island (ASM #666-673)
- スパイダーマンがニューヨークを蜘蛛化ウィルスから救うためにオクトボットを使って抗体をばらまく話
- Ends of The Earth (ASM #682-687)
- 余命幾許もないDr.オクトパスが一大決戦を挑む話
- Dying Wish (ASM #698-700)
- 今回紹介した話
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