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I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

The Amazing Spider-Man (1999-2013) #672

Amazing Spider-Man (1999-2013) #672

Amazing Spider-Man (1999-2013) #672

あらすじ

6部:ボス戦


前回までのアメイジングスパイダーマン

ニューヨーク市民にスパイダー・パワーが発露し、クモの怪物に姿を変えた!

クイーンが超音波の叫びで手を組んでいたジャッカルを殺した!

そして、エージェント・ヴェノム(シンヴィオートで強化されたアメリカ軍の秘密部隊のエージェント)と戦う。

ホライゾン・ラボの研究者(ピーター・パーカーの同僚)はスパイダー・プロッキングタワーの出力を上げる。結果、スパイダーマンのスパイダー・センスが復活し、クイーンの力を増強させることになった。

スパイダーマンはアンチヴェノムの抗体から作られた解毒剤で、自身のクローンのカインをクモの姿から人間に戻した。

そして、カインはクイーンこそがスパイダー・アイランドの最後の脅威だと明らかにする。


本編

夜のセントラルパーク上空。ヘリでヴェルヴェデーレ城に接近するキャプテン・ロジャース。無線で会話している。


――ロジャース中佐、こちら国防総省。状況を報告したまえ

「多少バタついております。大臣。以前、プロジェクト・リバースの施設だったヴェルヴェデーレ城下の目標地点に到着しました。そして、第一目標のスーパーソルジャー、アドリアナ・ソリアを発見」


ヘリから身を乗り出し、赤外線カメラで下の様子を見る。クイーンのブラストに吹き飛ばされているヴェノム。


「コードネーム『クイーン』。エージェント・ヴェノムが既に彼女と遭遇。分が悪いようです。私はあらゆる支援を惜しみません。以上」


ヘリから飛び降りるキャップ。ビームシールドを振りかざし、投擲する。


――中佐!待て!バカはよしたまえ


ビームシールドがクイーンの顔面を直撃する。体勢を立て直すヴェノム。


――大臣。こちらロジャース中佐の操縦士、フィリップスです。彼を責めないでください。私が思うに彼は何をすべきか正確に把握しています。彼はいつでもキャプテン・アメリカなんです

――分かっているさ、操縦士くん。クイーンがこれまでに作られたスーパーソルジャーの中でも最強であることもね。


地上に降りたキャップ。クイーンがテレキネシスで岩を飛ばし、彼を押し潰そうとする。


――テレキネシス、超能力、卓越した身体能力、昆虫を操る力、超音波の叫び、そして我々がカタログを作れるくらいの超人の能力がある。


ビームシールドで岩を受け流すキャップ。ビームシールドが地面に落ちる。


――操縦士くん、君はクイーンがロジャースを打ち負かしたを知っているのか?そして彼に遺伝子操作をして怪物にしていたことを知っているのか?


キャップの上段蹴りがクイーンに当たる。


――彼女は彼を「スパイダー・キング」に改造したんだ!彼女の奴隷にな!


クイーンが両拳を固めてキャップの顔面に振り下ろす。のけぞるキャップ。クイーンに首を掴まれて持ち上げられる。


――しかし、大臣。彼は一人ではありません。脅威は去りました。ヴェノムがキャップのシールドで彼女を倒しました!彼女が倒れました!


ヴェノムが投げたシールドはクイーンの身体を貫通していた。


――彼女は……なんてこった!彼女の身体が変化しています!彼女は……

――なんだって?何が起こっているんだ、操縦士くん。

――言い表せません。彼女はなんというか……何かの……何かに姿を変えました。大臣。今我々は最大級の脅威に直面しています。


数メートルの巨大クモと化したクイーン。


「お前の世界は失われた……だが、私がお前たちを新しい世界へ連れていってやろう。私がお前たちのスパイダー・クイーンだ!」


キャプとヴェノムはそれを見上げていた。


「君?まだやれるか?」

「いつでも」

「よし、では2回戦といこうじゃないか」



ホライゾン・ラボ 第六研究所


「オーケー、今の状況はマズいな」


スパイダーマンがつぶやく。


「実にマズい」

「人がこっちに来てるな。それがなにかマズイの?」


渋い顔をしたスパイダーマンにカインが答える。壊れた入口の外からは人の声が聞こえる。


「第六研究所で一体何が起こったんだ?ここに治療薬を貯めてるっていうのに!」

「誰か来てますよ、モデルさんも確認したいと思うから呼んで!」


スパイダーマンがコスチュームを脱ぎ始めた。


「人がこっちにきてるけど、そんなにマズイの?」


カインがピーターに尋ねる。

「みすぼらしくて、髪の長いピーター・パーカーがスパイダーマンの隣に立ってるのを見られるんだよ?いや、なんでも」

「ピーター・パーカーとスパイダーマンの正体は大丈夫だと思うけど。どうするつもりなの?」

「入れ替わろう。君がスパイダーマンで、僕がピーター」

「ブロックはどうするの?」


カインは聖書の言葉をうわ言のようにつぶやいているエディ・ブロックの方を向いて言った。


「彼は半分意識が飛んでるし。どうにかなるよ」

「分かった。僕らいつもついてるもんね。タランチュラの服どうする?」

「捨てて。タンクの中に」

「終わったよ。でもこの手は次は通用しないよ」


二人のスパイダーマンが着替える中、ドアの外にはピーターの上司、同僚2人、Mr.ファンタスティックがいた。


「聞こえるかいパーカー君。そこにいるのか?」

「私が先に行った方が良さそうだな。」

「ピーター?」

「おい、大丈夫か?」


そのとき、館内に警報が。


「防衛戦が突破された!」

「誰か、もしくは何かが正面ゲートを突破したのか。」

「えっ、マジで、巨大グモじゃないの?」


誰ともなく言った「巨大グモ」に惹かれ、治療薬とピーターの確認をほっぽり出して現場に駆け出す4人。


「ねえ、グランディ。巨大グモよ!科学者として見逃せないわ!」

「モチよ。科学者だから、厚いガラスと安全眼鏡つけないとな」

「スクラップス君の言う通りだ。君たちさえよければ、安全が確保できる場所まで私が連れて行こう」


好奇心の塊と化したサイエンスギークたちを待ち受けていたのは、MJだった。


「ワトソンさん?まだ感染ステージ2なのか。まだ感染ステージ2の人がいるとは知らなかった」


Mr.ファンタスティックが少し残念そうに言う。


「うひょー。スパイダーウーマンだな」


シングがMJを見て言う。


「私ならこっちにいるわよ」


シングのそばにいたスパイダーウーマンが言う。


「やべっ」

「リチャーズ博士!大変なときにごめんなさい。でも、アンチヴェノムが治療した人たちを人喰いグモがいる20ブロック先から安全なところに連れてこないといけなかったの。私が八本足になって発狂する前にどうにかできますか?」

「俺には大丈夫そうに見えるけどな。赤毛ちゃん」

「ベンの言う通りだ。今のところ大丈夫だ。これくらい進行が遅ければ後2, 3日は感染ステージ3にはならないだろう」

「でもどうして?みんなクモになっていったのに、私だけこんなに発症が遅いの?」


Mr.ファンタスティックが目を逸らしながら言う。


「デリケートな話だが、ワトソンさん。あなたがパーカー君と、その、長年、とても親しくしていて……」

「フンッ」

「ねえ、ベン、大人げないわよ」


わざと鼻息を荒げるベンに呆れたスパイダーウーマンが言う。


「ピーターと親しくしてたから?そういえば……ピーターはどこ?」


シング、スパイダーウーマン、MJを加えたメンバーは第六研究所に戻ってきた。


「んー、答えと疑問があるな」

「また追加ね」

「パーカー君?」

「ピーター?何してるの?」


ひしゃげたドアを取り除いて中に入ったみなが目にしたのは、パンツ一丁で苦笑いして手を降っているピーター、隣にはスパイダーマン(カイン)がいた。


「やあMJ。みんな。(ゴホン)友達のスパイダーマンとちょっとね。何か言ってよ」

「えーと、クモの力で叩きのめすぜ」

「もういいよ」


その光景にMr.ファンタスティックは目を丸くしていた。


「ピーター?」


Mr.ファンタスティックはスパイダーマンの正体を知っていた。隣にいるスパイダーマンは誰だ、と思っていた。Mr.ファンタスティックがピーターとスパイダーマンの関係を知らないと思ってモデルさんが説明する・


「すいません、リチャーズ博士。説明させてください。パーカー君は……スパイダーマンと一緒に動いていまして……。彼の数ある変わったところの1つなんです」


Mr.ファンタスティックがピーターに耳打ちするために首を伸ばす。


「うぇー、首が伸びてる。マジ怖い」

「怖くないさ。何十億回も見ることになるよ」

「それで、君とそのスパイダーマンは?」

「僕のクローンさ。一緒に連れて行く。いいですね」

スパイダーマン、君が戻ってきて私たちの実験が成功してスパイダーセンスが戻ったか教えてくれると思ってたんだが」

「はい。でも同時に……」

「仇敵のクイーンにそれ以上の力を与えちゃった?」

「そのとおり」

ジェシカ、冗談行って悪かった」

「モデルさんの機嫌を取りたいなら……ねえ、彼女どこへ行ったの?」


ピーターとカインはピーターの研究室に向かった。


「僕達でラボにあるアンチクイーンスーツを使おう」

「僕達?」

「実は既にあるんだ。クイーンはまだソニック・スクリーム使えるの?」

「ああ」

「これはステルススーツだ。3種類の設定がある。グリーン:光や音を曲げることができて、特殊なレンズをつけた人にしか見えなくなる。レッド:音波シールド。ホワイト:オフモード」

「イイね。僕が着ていくよ」

「待てよ。なんで君が着ることになってるんだ」

「いいだろ。何でいつも君のほうがいいもの選べるのさ?」


カインが弟のように言う。


屋上から抜け出す二人のスパイダーマン


「メイおばさんに何回も弟が欲しいって言ってたのが信じられないよ。今でも君が戻ってこれたのか分からないよ」

「僕はこのスーツ怖いんだよ、分かる?前にこれ着てたとき殺されたしね。それからよく分からない力で戻ってきた」

「分かる?シングとスパイダーウーマン連れてきたらいいと思うんだけど」

「人々やメリージェーンの安全を確保するためにここの守りを固める人も必要だ。それにジャミングタワーのコントロールを守る人間も忘れちゃいけないね……」


ホライゾン・ラボの屋上からスイングして飛び出す二人。屋上には人影があった。


――彼らは巨大グモをこの街の中に留めておける唯一の存在だ

「なんだ?やつらどこへ行こうとしてるんだ?諦めたのか?」


ジャミング・タワーの防衛をしていたグラビティとファイアースター。今までタワーに群がっていたクモが一斉に移動を始めていた。


「違うわ。やつら、みんな同じ場所に向かってる……なんてことなの!グラビティー、あれが見える?」


ファイアースターが叫んだ。


X-MEN!見て!」


他のジャミングタワーを守っていたストームが叫んだ。ガンビット、エマ、ウルヴァリンがストームが指さす方向を向く。


「あれは何?」

「ありゃー怒った母親グモってところだな」


違う場所ではレッドハルクが激怒していた。

「戻ってきやがれ、意気地なしの軟弱野郎!いったいどうしたってんだ!」


街中にクイーンが襲来していた。


「逃げろ小さき人間どもよ!貧弱な日本の足で逃げ惑え!新たな時代を迎えるのだ!スパイダーの夜明けだ!」


キャプテン・ロジャースとヴェノムが載った軍用ヘリがクイーンの前を飛んでいた。砲撃をしているがクイーンに効果はない。


「キャップ?策はありますか?」

「あるさ」


そう言ってキャプテン・ロジャースは無線に呼びかけた。


「このチャンネルにつないでいるみんな!オメガレベルの脅威だ!私はクイーンを我々が戦える場所に誘導してる!レッドハルク!アイアンマン!X-MEN!ユニオンスクエアで合流だ!全員集合!」


ピーターとカインはクイーンに近づいていた。


「ねえ、カイン。クイーンの秘密基地知ってるって言ったけど、連れていってくれるわけ?」

「ん?」

「なんだ問題が起こってるみたいだね」


遠くでクイーンが叫んでいた。


「私は女王だ!私の前にみな跪くのだ!」

「ありえねー。20ストリート先から聞こえてくるなんて」

「28ストリート先よ」


二人の背後にはマダム・ウェブがいた。


「ジュリア・カーペンター?」


カインが言った。


「マダム・ウェブよ」

「ジュリア?クイーンはどうなったの?」

「彼女はウェブ・オブ・ライフそのものを摂取した。彼女の被験体――この島全体にいるクモたちの力を引き出したの。彼女は今神に近しい存在なの。ピーター。そして彼女はこの星のすべての生命を蝕もうとしている。あなたたちだけが彼女を殺して止めることができるの」

「いいや!それは僕じゃない!そして決してそんなことは起こらない。行こうぜ相棒。パーカー・ブラザーズは逃げるぞ」


クイーンと対峙するパーカー・ブラザーズ。


「やあ、もし僕らが死んでも彼らは僕らを訴えないよね?」

「一体何だ?同類でありながら裏切り者の二人よ。お前たちは私の新しい王国の王子になれたかもしれないというのに」

「提案?」

「うーんと、僕のクローン……僕はいつも言ってるんだ。疑わしく思ったときには顔を殴れってね!」


ピーターがクイーンの眉間を殴るが、全く効き目がない。


「代わりに私がお前に判決を下してやろう……死刑だ!」


ピーターはクイーンの足で蹴り飛ばされた。


――巨大グモの足なのに早過ぎる!僕はいつも大きさに比例したクモの強さがあると自慢していた。今晩のキーワード:「比例」。そして今クモに比例した寿命になってるみたいだぞ。


弱気になったピーター。壁にたたきつけられそうになる。


「捕まえた!」


スパイダーマンを掴む手が。


「MJ!?」

「ええ、スパイダーマンの元カノがスイングして助けに来たわ。私、あなたに借りがあるの。タイガー」

「いいかい、赤毛ちゃん。たすけてくれたのはありがたいけど、僕らはここを離れたほうがいいよ。そして彼らに頑張ってもらおう」


地面に降りたピーターはMJに懇願した。


「彼らに?何言ってるの?」

「ようやく分かったんだ。僕はスパイダー・パワーを手に入れた。君もだ。みんなが手に入れた。僕はリーグから出ていく時だと分かった。今ここで、僕には特別なものがない。僕には……」

「何言ってるのバカ!スパイダーマンだから特別だったことは一度もないわ。ピーター・パーカーだからあなたは特別なの!だから、しっかり考えて!私たちをこの状況からどうにかするうまい手を思いついて!」

「それは言いすぎじゃない?なにかうまいて?例えば何だよ!即席のスパイダー・スレイヤーとか?クイーンの大きさ分かってる?100万のスパイダースレーヤーが必要だ……」

――違う。100万じゃない。20〜30万だ!スマイスが言ってたのはそういうことか。必要なスレイヤーは揃ってるじゃないか。


スパイダーマンは立ち上がった。


「行こう。どこに行けばいいか分かった。これならきっとうまくいく。ところで、どうしてクモの怪物になってないみたいだけどどうして?」

「リードが言うには……その、私はあなたと長い間親しくしていてあなたのDNAを……」

「同じ歯ブラシ使ってたから?」

「そう!同じ歯ブラシ使ってたからよ!」

「この話は終り。ついたよ」

「警察の分署?」


中に入るピーターとMJ。


「ホライゾンは最初の頃僕をここに配属した。彼らはアンチスパイダーパトロールの人型ロボットのアップグレードをさせた。悪い連中から押収した技術を使ってね……」


辺りを物色するピーター。


「パンプキン・ボム、ブーメラン、それに……あった!ドクター・オクトパスのタコ型ロボットだ!起きて小さくて八本足のカワイコちゃん。オットーのコントロールヘルメットをかぶれば君たちはみんな僕のスパイダー・スレイヤー・アーミーだ!マンハッタン中に電波が届くだけのでかいアンテナが必要だ」

「うーん。私の番ね。いいところ知ってるわ」


ユニオン・スクエア――スパイダー・アイランドの最終防衛線。キャプテン・ロジャースの呼びかけでヒーローたちが結集していた。キャプテン・ロジャースが呼びかける。


「みんな、聞いてくれ。忘れないでくれ、この怪物たちはアメリカ人で、我々はここを守るためにいる。彼らを制圧し、彼らを安全なところに。出来る限り治療をする。叩き潰す虫はただ1匹、クイーンだけだ!行くぞ!世界は我々にかかっている!王国を転覆させるぞ!」


マダム・ウェブその光景をビルの上から見守っていた。


「彼らは望みがないのが分からないのかしら?クイーンはウェブ・オブ・ライフの唯一の存在。100万の軍隊でも少なすぎるわ」

「じゃあ、俺が嬉しいお知らせを持ってきたぜ」


シャン・チーとイモータル・ウェポンズが駆けつけていた。


「シャン・チー?それにイモータル・ウェポンズ?こんな光景私のヴィジョンにはなかったわ」

「そいつはよかった。だとしたら、流れを変えられるな。一緒に来いよジュリア」

「なんですって?でも、全ての未来が私には見えるの、私はただそれを見守るだけ」

「それなら多分今こそがあんた自身の将来を決めるときじゃないのか?」


ピーターとMJはエンパイア・ステートビルに向かっていた。


「ねえ?どうかしら?」

「えっ、あそこは僕たちの特別な場所じゃないか。エンパイア・ステートビル。うん、いいね」

「えーと、これをセットするの?」

「ちょっと待って、繋げるから」

「通りの方がなんだかおかしいわ。動いてる」

「通りじゃないよMJ、もう一度確かめて」


ピーターはそう言いながらセッティングを始める。


「何してるの?なんてことなの……マンハッタン中のクモがこっちに向かってるわ!ピーター!」


ピーターはヘルメットを被った。分署からクモ型ロボットが出撃する。


「これで五分五分か……今僕の軍隊に命令を出した。最初の目的地はホライゾン・ラボ。こちらスパイダーマン。Mr.ファンタスティック、聞こえていたら応答してください」


ホライゾン・ラボ、防衛戦は破られ、Mr.ファンタスティック、シング、スパイダーウーマン、彼らだけでなく、研究員も戦っていた。


スパイダーマン!?君を見つけられなかったはずだ。どこにいるんだ?」

「あいつにお楽しみの時間を逃したって伝えてくれ」


シングがクモを引き離しながら言う。


「怪物たちが防衛ラインを越えて押し入ってきた。できるだけ治療をしようとしているが、数が多すぎる」

――リード、僕なら……

「ここには町中の人に対して充分なだけの血清があるのに、ここを守るのに手一杯で行き渡らせることができない。もどかしいよ」

――あー、僕ならどうにかできると思うよ

「うわぁーー!今度は金属製のヤツらだぞ」

「ベン、ダメだ、それに触るな。スパイダーマン、これでいいか?これはオクタビアスのタコ型ロボットだな?君の指示を受けてる」

――ボス、ご明察。血清を配るシステムが必要だって言ったでしょ。これがそう。ジャジャーン!僕のサイバー・スパイダー隊にご挨拶を。これさえ使えばニューヨーク中の全ての機会と20分で接続できる。そしてその数は町の人より多い!タコ型ロボットにタンクからアンチヴェノムの血清を補充させて、届けに行こう。


ユニオン・スクエアではヒーローたちがクイーンと死闘を繰り広げていた。


「アイアンマン!クイーンのソニック・アタックへの対処が必要だ」

「やってるよキャップ。だが規模が間に合ってないんだ!ウルヴァリンとハルクがやられた!」


クイーンのソニック・スクリームを正面から受けるウルヴァリンとハルク。


「もー、こんなのヤダ!これだけのヒーローが集まるときはいつもそうだ、誰かが必ず死ぬ!大抵俺みたいな右から三番目のやつが!」


弱音を吐くグラビティにアイアンフィストが言う。


「グラビティ、集中しろ。今日は誰も死なない!だろ?そういうのはルークの担当だ。そういうジンクスがあるからな」

「あー、俺じゃねえよ!家で可愛い娘が待ってるってのによ!」


そこにタコ型ロボットが到着する。

「気をつけろみんな!何か来たぞ!こいつらは何だ?」

「キャップ。待ってください。こいつらは私たちではなく、クモを追ってます。やつらはクモを噛んでます。おっと、この状態を見たことあります!アンチヴェノムの効果です!タコ型ロボットはクモの連中に治療薬を投与してます」


治療薬を投与されたクモは人間に戻っていった。


「神様ありがとう」

――ロジャース司令官、あなたに聞いて欲しいと通信が来ていますが

「つなげ」

――あー、もしもし?キャプテン・アメリカのお宅ですか?こちらスパイダー

スパイダーマン?今ちょっと……待てよ。これは君の仕業か?」

――マダム・ウェブがクイーンはクモの連中から力を吸い取ってるって言ったから、みんなが元に戻ればいいかなと思ったんだけど。どう?クイーンは弱ってる?

「私のしもべたちが!私のコロニーがー!なんてことなの!数が減って行ってるわ!私の子供たちよ。ここのことは忘れて、全員あのタワーに直ちに向かいなさい。反逆罪でスパイダーマンは死刑よ!」


クモが次々に人間に戻っているのに勘づいたクイーンがスパイダーマンのいるエンパイア・ステートビルに総攻撃をかけようとする。


「申し訳ありませんが女王陛下。行かせはしませんよ」

「聞きやがれ!俺はアヴェンジャーズだ。クモ公が頑張ってんだ。俺たちは……ここから先に行かせねえ!」


アイアンマンやルークがクイーンの行く手を塞いでいた。


エンパイア・ステートビル。クモの総攻撃を受けていたがタコ型ロボットを動かすのに集中しているピーターは動けずにいた。


「60万人が解放されて屋根や建物やトンネルの中にいる……」


クモの襲撃をMJが一人で食い止めていた。


「ピーター、急いで!」

「何千ものコントロールを1秒で。今僕の心はそこら中にいる……」

「ここにも無茶苦茶いるわよ。私だけじゃ……」

「ヘー」

「何?何で笑ってるの?」

「それはさ、それはね。僕には出来るんだよ。僕はみんなを助けてるんだ!」


次々にクモから戻っていく人々。JJJも人間に戻っていた。


「愛してるわ」


うれしそうなピーターを見てMJがつぶやいた。


「何だって?」

「なんでもないわ」


そう言ってMJはクモの横っ面を張り倒していた。


再びユニオン・スクエア


「私がこの世界を支配するの!」


弱ったクイーンが叫んでいた。クイーンを見上げるカインとミズ・マーヴェル。


スパイダーマンがなにかやってくれてクイーンは弱ってる。僕らのチャンスだ。マリア様、どうかお力を」

「スパイディと私で練習してたのがあるけど、あなたできる?」

「彼ができるなら僕もできる」

「私にウェブを飛ばして捕まって」


カインが出したクモの糸をミズ・マーヴェルが掴んで振り回す。


「いいわ。偽スパイダーマン。パチンコの要領よ。3回回したら行って。クイーンのソニック・スクリームはどうするの?」

「僕には効かないよ」

「ハルクが倒されたのよ!」

「僕を信じて」

「そういえばあなたの名前知らないんだけど」


マダム・ウェブがつぶやく。


「クローンよ。今このとき、あなたが、あなたこそがピーター・パーカーが超えられない一線を超えることができる」


スーツがソニック・スクリーム対策のレッドモードになり、手首の下から巨大な爪が飛び出した。カインはソニック・スクリームを受けながらクイーンの身体を貫いた。キャップが叫ぶ。


「このチャンスを逃すな!全てをかけるんだ。全能力を!」


生き残ったヒーローのブラストを受けてクイーンは倒れた。カインはアメリカ国旗のポールに捕まっていた。


「カイン。僕の名前はカインだ」


エマとルークが雑談していた。

「なあ、クイーンは願いを叶えられたんじゃないかな」

「え、どういうふうに?」

「クイーンがニューヨークに横たわっているってことさ」


カインの前にマダム・ウェブが現れた。


「私の予知では……私はスパイダーマンだけがクイーンを殺せると思っていた、でもあなたは……少し融通が利いてないかしら、あなたは彼のクローンなわけで……」

「もしくは、予知が間違っていたのかもね」

「ともあれ、この事件、あなたが私たちを勝利に導いてくれた」

「分かってないだろ、僕は彼がやろうとしてたことをした。スーツは彼が作った。タイミングも彼が提供してくれた。僕は怪物が弱りきったときに倒しただけだ。彼は最も大事なときに数百万の人を治療した。今日勝ったのはスパイダーマンなんだ。そしてスパイダーマンは彼一人だ」


エンパイア・ステートビル頂上。戦いを終えたピーターとMJが一息ついていた。ピーターは上着をMJにかけた。


「はい。君の上着ボロボロだろ?」

「ありがとう。行かなくていいの?下には裸の人がいっぱいいるみたいだけど」

「みんな服を着ていないから、しばらくは僕の出番はないさ。ごらんよMJ。街中のみんなが自分の足で何マイルも歩いてる」

「いいえ。ちょっとだけ壁を登れる人が残ってるわ。タイガー」

「……ありがとう」


朝日が登るのを眺めながら、二人は寄り添っていた。


スパイダー・アイランド編 終り。


感想

#667〜#672の6号に渡って続いたスパイダー・アイランド編が完結しました。エピローグである#673が残っていますが、本編は本号で終了です。スパイダー・アイランド編全編を通した感想は別途書こうと思います。


#672の主要な出来事はサブタイトル通り巨大化したクイーンとのボス戦です。

まずは前号でクモから人間に戻ったピーターのクローン、カイン。表紙のピーターとMJだけでなく、ピーターとカインでダブルスパイダーマンもありました。ダブルスパイダーマンというと『クローン・サーガ』で登場したベンとピーターもありましたが、こちらはベンが兄でピーターが弟。ピーターとカインはピーターが兄でカインが弟の関係のようです。

カインがお下がりを使っていることに不満を言うかのごとくの論法で特殊スーツを勝ちとりました。マダム・ウェブにピーターのことを話しているときは褒めてますし、いい弟ですね。マダム・ウェブに説得されて今後スカーレット・スパイダーマンになるようです。

次はキャプテン・ロジャース。#670のクイーンの回想で城に潜入してやられた描写がありましたが、ジャッカルにスパイダー・キングにされていたんですね。タイイン誌読んでなかったので(多分ヴェノム誌でスパイダー・キングとして負けて元に戻る話があるんでしょうね)無線での会話を読むまで知りませんでした。

クイーンが人間サイズのときはまだしも、巨大化するとどうしても応援要員ですね。アイアンマンも今回ソニック・スクリームが中和できるだけの音が出せないとかであまり役にあってませんが。ソーは出てきませんでしたが、時期的に『フィアー・イットセルフ』の前なので忙しそうですね。こういう巨大な連中と戦うときがソーの出番だとは思いますが。

今回わりと台詞があったシングは相変わらずMJ好きですね。#666でFFの活動に参加していたピーターにMJから電話がかかってきたときにも自分のことをMJに伝えてくれと言っていました。本号ではMJを「スパイダーウーマン」と言ってジェシカににらまれたり、クモになるのが遅い理由をMr.ファンタスティックがしゃべっているときには不機嫌そうにしていました。MJはピーターとよりを戻しそうな雰囲気ですし、報われません。

そしてピーター。#668で街中にスパイダーマンで溢れて自分が特別な存在ではないと落ち込んだときや、今回巨大化したクイーンを前に自分の役割は無いと言い聞かせて逃げようとしていたときに励まされたとはいえ、MJとイチャこきすぎな気がします。エンパイア・ステートビルから朝焼けを二人で見ているのもいいですが、全裸になったカーリーが悪漢にあれこれされてないとも限らないのでさっさと探しに行ったほうがいいと思いますが。

今回のピーターのワイズラッキングはMJがクモにならなかった理由を(レイティングの関係もあって)言いにくそうにしているところで


「同じ歯ブラシ使ってたから?」


と返したところでしょうか。読み返してみると#667でカーリーとの関係のステップアップの中に「同じ歯ブラシを使う」項目があって笑ってしまいました。


総合的には「ピーター!お前の今の彼女はカーリーだろ!MJじゃねえよ!」という点以外は大満足でした。


その他

特殊スーツがThe Big Timeに出てきたものだと思ったら


Spider-Man

Spider-Man


ライターもペンシラーも同じメンバーでした。TPBも発売され、先日電子書籍化もされたので読みなおしてみようと思います。