『クールランニング』
冬季五輪のたびに見ているのだけれど、何度見ても良く出来た映画だ。
- 退屈な日常
- その脱出先として他人に認められるオリンピック
- メインメンバー構成
- コーチはかつての金メダリストで不正で追放された
- 父が金メダリストのリーダー格の主人公
- 主人公のマブダチでヘタレだけどたまにいいこと言う遊び人
- 実力はあるが協調性の無い怖い人
- 優等生のお坊ちゃん
- 地理的にも予算的にも圧倒的に不利な状況からの逆転劇
- 基準タイムの改正や予選落ちの通知などの障害
- 予選一回目の挫折からの復活
- 最後の自分たちのせいではない理由での完走の失敗
- 「勝つため」と「参加すること」のオリンピックというテーマ
列記してみると本当に優等生な話だな。
コーチの過去のトラウマである「勝つためのオリンピック」を主人公に「分からない」と言わせた上で、ソリが壊れてソリを抱えてゴールさせたところは特にうまい。
「安物のソリが負荷に耐え切れずに壊れた」
という不可抗力が原因で完走できなかったところがいい。仮にあのまま完走していたら金メダルを取らないと話が成立しないので、それではこれまでの「勝つためのオリンピック」へのアンチテーゼにはならない。逆に自分たちの失敗を含めて、他の理由で完走できないのも話が成立しない。
本当は金メダルを取れる実力があるのに不可抗力でそれはかなわなかった。けれど彼らは立派に完走した。という悲劇が判官びいきを良しとする日本人の感性に合うところがあるんだろうな。
キャラの説明も練習風景のモンタージュで説明するところがうまい。個別の練習でコーチの対応が違うところでかなり説明ができている。『SOUTH PARK』でもアスペンにスキーに行った回で、モンタージュに対するみもふたも無い歌がバックでかかりながら練習してたのを思い出した。