スパイダーマン邦訳私的まとめ(2018年年初版)
ふと「最近スパイダーマンの邦訳が出てない気がするな」と思って調べてみたところ、関連誌や参加しているチーム誌は出ているのですが、本編のスパイダーマンは2017年5月を最後にそろそろ1年出ていないようでした。
アメコミは底本(=翻訳の元になった原語で出版された本)からしてナンバリングではなく、短編のタイトルで単行本が出る事が多いので、順番がよく分からなくなります。まして邦訳は翻訳のさいに面白いパートを選んで出してるので歯抜けになってる事もしばしでして。
そこで今回、スパイダーマンの邦訳本の整理をしてみることにしました。今回対象としているのは00年代後半に出版されたものを対象とします。それ以前にも出版されたものはあるのですが、絶版でオークションなどで探す必要があるものなので割愛します。
分類としては
- 本誌:
- スパイダーマンの基幹誌であるAmazing Spider-Man誌
- ピーター・パーカー青年が「禍福は糾える縄の如し」ということわざが似合う人生を歩む話
- 関連誌:
- ピーター・パーカーではないスパイダーマン
- ないしはAmazing Spider-Man誌以外のピーター・パーカーの話
- 比較的変り種が多い
- 読み切り:
- 「なんとなくスパイダーマン知ってるよね?」くらいの前提で展開される読み切りの話
- タイアップ:
- 映画の前日談など
としました。
本誌 (Amazing Spider-Man誌)
邦訳で実質的に続きになっているのは
- 『ロード・トゥー・シビル・ウォー』〜『アメリカン・サン』(途中で一部抜けがあるが、最長の連続期間)
- 『ワースト・エネミー』〜『トラブル・マインド』
で、他は短編集といったところです。
2018年6月で800号になるのですが、邦訳があるのは約1/10程度です。
最長の連続部分は「シビル・ウォー」の前日から、一旦設定がリセットとなった「ワン・モア・デイ」、リセット後の話である「ブランニューデイ」〜「アメリカン・サン」。話数が飛んでいるのですが、「ワン・モア・デイ」関連として、改変された現在から見た過去がどう変わっていたのかを描く「ワン・モーメント・イン・タイム」の部分です。
「ブランニューデイ」は独身、貧乏、まともな職につけてない、誤解されがち、ヒーロとしてもバッシングにあっている、というプロファイルです。程度の差こそあれ、割と長い間のピーター・パーカー像がこれなのだと思います。
このブログの過去記事にあるのは邦訳の谷間の時期で、ある出来事をキッカケにピーターの公私が充実している時期です。オンタイムで読んでいたことや、アーティストの絵が漫画寄りで読みやすかったのですが、時期を逸してしまいましたし、邦訳されないでしょうね。
表にするにあたり、原書の雑誌名の表記が長いので
- Amazing Fantasy:AF
- Amazing Spider-Man:ASM
- Friendly Neighborhood Spider-Man:FNS
- The Sensational Spider-Man:TSS
- Superior Spider-Man:SSM
と表記します。
タイトル | 書影 | 号数 | 解説 | |
---|---|---|---|---|
マーベルマスターワークス:アメイジング・スパイダーマン | マーベルマスターワークス:アメイジング・スパイダーマン (MARVEL)
|
AF #15, ASM(vol.1) #1-15 | 初登場から初期のエピソード。F4や初期ヴィランの初登場回など | |
スパイダーマン:ステイシーの悲劇 |
|
ASM(vol.1) #88-92, #121-122 | ピーターにとって大切な人だったジョージ、グエンのステイシー家の人に訪れる悲劇を描いた話 | |
ロード・トゥ・シビル・ウォー |
|
ASM(vol.2) #529-531 | タイトルにスパイダーマン含まれていませんが『シビル・ウォー』直前にトニーの弟子をやっていて、アイアンスパイダースーツをもらったあたりの話。元々通販専売 | |
アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー | アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー (MARVEL)
|
ASM(vol.2) #532-538 | 『シビル・ウォー』で正体を明かした結果とその末路の話。元々通販専売 | |
スパイダーマン:ワン・モア・デイ | スパイダーマン:ワン・モア・デイ (ShoPro Books)
|
ASM(vol.2) #544, FNS #24, TSS #41, ASM(vol.2) #545 | 「スパイダーマンが悪魔と取引して〜」という話 | |
スパイダーマン:ブランニューデイ1 | スパイダーマン:ブランニュー・デイ 1 (ShoPro Books)
|
ASM(vol.2) #546-551 | リセット第一弾 | |
スパイダーマン:ブランニューデイ2 | スパイダーマン:ブランニュー・デイ 2 (ShoPro Books)
|
ASM(vol.2) #552-558 | リセット第二弾 | |
スパイダーマン:ブランニューデイ3 | スパイダーマン:ブランニュー・デイ 3 (ShoPro Books)
|
ASM(vol.2) #559-563 | リセット第三弾 | |
スパイダーマン:ニューウェイズ・トゥー・ダイ |
|
ASM(vol.2) #568-573 | ヴィラン軍団大復活 | |
スパイダーマン:エレクション・デイ | スパイダーマン:エレクション・デイ (ShoPro Books)
|
ASM(vol.2) #584-588 | JJJがニューヨーク市長戦に立候補する話 | |
スパイダーマン:アメリカン・サン | スパイダーマン:アメリカン・サン (ShoPro Books)
|
ASM(vol.2) #595-599 | ノーマン・オズボーンがアイアン・パトリオットとなり、息子のハリーに「アメリカン・サン」というヒーローにさせられそうになる話 | |
スパイダーマン:ワン・モーメント・イン・タイム | スパイダーマン:ワン・モーメント・イン・タイム (マーベル)
|
ASM(vol.2) #638-641 | ある事件によってなくなったはずの話 | |
スーペリア・スパイダーマン:ワースト・エネミー | スーペリア・スパイダーマン:ワースト・エネミー (MARVEL)
|
ASM(vol.2) #698-700, SSM #1-5 | ASM vol.2最終回と新シリーズ開始 | |
スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド | スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド (MARVEL)
|
SSM #6-10 | 新シリーズの続き(まだ続きがあるが邦訳は出ていない) | |
スパイダーバース |
|
ASM(vol.3) #9-15 | あらゆる並行世界のスパイダーマン vs. スパイダーパワー吸収鬼の戦いの話。東映スパイダーマンのレオパルドンが出る |
また、本編のオムニバスとして『ベスト・オブ・スパイダーマン』に
- 作者: スタン・リー,スティーブ・ディッコ,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2012/10/31
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 9回
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AF #15, ASM #33, 50, 248, 271, 317, 365, スペキュタクラー・スパーダマン #189が収録されています。
関連誌
スパイダーバースシリーズ
並行世界のスパイダーマンたちが『スパイダーバース』に参加する前の前日談の『エッジ・オブ・スパイダーバース』と『スパイダーバース』本編中に別行動をしていたスパイダーマンたちが何をしていたかを描く『ワールド・オブ・スパイダーバース』の2作。
『スパイダーバース』と合わせて買うとこれだけでも話が分かります。註釈とモノローグで「えっ、そんな事起こってたんだ」という出来事がありますが。
タイトル | 書影 |
---|---|
エッジ・オブ・スパイダーバース |
|
ワールド・オブ・スパイダーバース |
|
後述するスパイダーグェンは『エッジ・オブ・スパイダーバース』が初登場。
スパイダーグエンシリーズ
デビュー以降、スタイリッシュなアートもあって大人気のシリーズ。
「グェン・ステイシーはある日クモに噛まれてスーパーパワーを……」というどこかで聞いた事がある、並行世界の話。元の世界と同名の人物が性別が変わっていたり、役回りが変わっていたり。
今のところ冒頭から刊行が続いているので最初から読みたい人にオススメです。
タイトル | 書影 |
---|---|
スパイダー・グエン |
|
スパイダーグエン:グレイター・パワー | スパイダーグウェン:グレイター・パワー (ShoPro Books)
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スパイディシリーズ
高校生のピーター・パーカーの話。とだけしか実は知りません。スイマセン買ってないので。
近年刊行のタイトルなのでアニメ『アルティメット・スパイダーマン』や映画『スパイダーマン:ホームカミング』に寄せた設定のラインなんだと思います。
タイトル | 書影 |
---|---|
スパイディ:ファースト・デイ |
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スパイディ:アフタースクール・スペシャル | スパイディ:アフタースクール・スペシャル (ShoPro Books)
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読み切り
X-MEN/スパイダーマン
- 作者: クリストス・ゲージ,マリオ・アルベルティ,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2014/08/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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X-MENとスパイダーマンが共演した回をそれぞれの時代からピックアップしてリメイクしたもの。おまけに『(Uncanny) X-MEN』#35が付いています。
スパイダーマン:ブルー
- 作者: ジェフ・ローブ,ティム・セイル,【訳】高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2014/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ASM #39-49 あたりの話も出てくるピーターの青春時代の回想の話。若きピーターの悩みと言ったテイストの話。
タイアップ
スパイダーマン・ホームカミング:プレリュード
スパイダーマン ホームカミング:プレリュード (ShoPro Books)
- 作者: ウィル・コロナ・ピルグリム,トッド・ナウック他,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2017/08/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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映画『スパイダーマン・ホームカミング』の前日談。マーベルは映画の前日談を2-4話程度のコミックを公開に合わせて出してるのですが、その『スパイダーマン・ホームカミング』版。
映画のパンフレットと合わせ技で鑑賞前/鑑賞後に読むコンテンツみたいにならないかなぁ、と思うシリーズです。
Netflixオリジナルドラマ『ルーク・ケイジ』
年末年始の休暇を利用して見ました。全13話。
Marvel ヒーロー原作の Netflix オリジナルドラマ第4弾(他は『デアデビル』1, 2期と『ジェシカ・ジョーンズ』)のヒーローはタイトルの通りルーク・ケイジ。
日本メディアだと『ディスク・ウォーズ・アベンジャーズ』にサングラスをかけた姿で「パワーマン」名義でエドのセカンドヒーローとして登場したくらいでしょうか。映画俳優のニコラス・ケイジ(本名:ニコラス・キム・コッポラ)の名前の元ネタでもあります。
邦訳コミックでは『ニューアベンジャーズ』シリーズ
- 作者: ブライアンマイケルベンディス,ャスダ・シゲル
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2010/05/29
- メディア: 大型本
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でみなの兄貴分的存在として登場しており、映画の『スパイダーマン』を原作にしたゲームでは70年代登場時の服装をからかわれてました。
画像が大きくはないですが、以下のような感じです。
Luke Cage: Hero for Hire (Essential (Marvel Comics))
- 作者: Roy Thomas,John Romita,Archie Goodwin,Steve Englehart,Gerry Conway
- 出版社/メーカー: Marvel Enterprises
- 発売日: 2005/03/02
- メディア: ペーパーバック
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ヘッドバンド(これをスパイダーマンに「ティアラしてるwww」と笑われてた)をはじめとして完全に当時のファッションですね。
見る前のルーク・ケイジの知識は
- 能力を手に入れたきっかけ
- 初登場時からしばらくの格好
- アイアンフィストが相棒
- 『ニューアベンジャーズ』以降の行動
なことくらいしかなく、昔の話をほとんど知らなかったので見て初めて知ることが多かったように思います。
物語は『アベンジャーズ』終了後、『デアデビル』シーズン1は終わってるかも、『ジェシカ・ジョーンズ』はまだ途中くらいあたりのマーベル・シネマティック・ユニバース。ニューヨークのハーレムを舞台に正体不明のルーク・ケイジと名乗る男がハーレムの主導権を握る抗争に巻き込まれていく話。
話の軸は大きく
- ルーク・ケイジは本当は誰なのか?
- ハーレムの街の移り変わり
の2つがあります。
見るまで知らなかったのですが、ルーク・ケイジは偽名(コミックだと手続きを踏んで正式に改名したようですが)で、本名はカール・ルーカス。冤罪でシーゲート刑務所に入れられて……というあたりまではコミックの設定のままなのですが、その後はかなりアレンジ。『デアデビル』のときもそうでしたが、過去と現在を行き来する構成になっています。
ルーク・ケイジ以外にも街の歴史で過去にさかのぼります。ニューヨークのハーレム、黒人地区の登場人物の若い頃あたりからの話や、モニュメントの説明が入ってくることもあります。
お節介焼きの流れ者が街や人に認められていく用心棒的な話なので見やすい作品です。元のコスチューム姿もどうにか理由をつけて再現してくれますし、MCUで多用される聖書・神話的なモチーフも今回も健在ですし、非常に手堅い作品になっているともいます。
マーベルスタジオのクオリティーコントロールというか、エンターテイメントプロダクトの創出力ホント高いですね。
『Smoke and Guns』(原書) - シガレットガールの仁義なき戦い
- 作者: Kirsten Baldock,Fabio Moon
- 出版社/メーカー: A I T Planet Lar
- 発売日: 2005/08/31
- メディア: ペーパーバック
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去年(2016年)サンフランシスコに行ったときに立ち寄ったコミックショップIsotopeの店主に
「この店でのオススメはなんですか?」
と聞いてみたら出てきたうちの一冊。なんでもサンフランシスコの出版社が販売しているものなので、他では手に入りにくいらしい。
買ってAmazonを見て見たら10年以上前の本。ペンシラーのファビオ・ムーンの名前を聞いたことがあるなと思えば同年にアイズナー賞を受賞。受賞作は『Two Brothers』。
- 作者: Gabriel Ba
- 出版社/メーカー: Dark Horse Books
- 発売日: 2015/10/27
- メディア: Kindle版
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双子の兄弟のガブリエル・ヴィエ(発音はこんな感じ)との自伝的内容のよう。
帰国して神保町のアットワンダーに行ってみればファビオ・ムーンがペンシラーを務めた『B.P.R.D.: 1947』
B.P.R.D.: 1947 #1 (B.P.R.D. Vol. 1)
- 作者: Joshua Dysart,Mike Mignola
- 出版社/メーカー: Dark Horse
- 発売日: 2015/10/06
- メディア: Kindle版
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の全巻セットが置いてあるし、これも運命だなと思って買った。
一方、ライターのクリステン・ブラドックはComic Vineのエントリにもこの本以外の登録がない。作者近影のコメント読むと出版当時(2005年)はオークランドの図書館とIsotopeで働いていたよう。だから「この店で」オススメだったのか。
職歴にシガレットガールやってたことと、嗜好品にシングルモルトウィスキーが書かれているので、コミックの世界観はライターの趣味全開といったところ。
さて、本編の方はというと、シガレットガールの『仁義なき戦い』とでも言いましょうか。タイトルの通りタバコと銃の煙が紙面に立ち込めるお話。
シガレットガールというのはお色気満点な格好をしたタバコ売りのお姉さんのことだ。現代となってはイベント会場やナイトクラブ、カジノなんかのショーガールとしてしか生き残ってない。もっとも、行ったことないから伝聞だが。
アメリカでは1920〜1950年代くらいまで都市部の街頭にいたらしい。なぜ1950年代までかというと「自動販売機が普及したから」というみもふたもない理由と風紀上の理由がある。いまいち想像がつかない人は「Cigarette girl」で画像検索してもらうか、台湾のビンロウ(噛みタバコみたいなもの)売りのお姉さんを思い浮かべてもらうとよいと思う。なお、こちらも21世紀になってから風紀上の理由で規制がかかっているとのこと。
そして画面はブラック&ホワイト(要するに白黒。トーンがないので中間色はない)。そこにゆらぐ白い煙。白黒映画でもレフ板替わりにたかれた煙。光源を意識するコマがそう多くないのでレフ板と同じ用途で使われてはいないものの、雰囲気としては白黒映画のものだと思う。
話は表紙のお姉さんーースカーレットが越境して商売して撃たれ、縄張り争いが激化、仲間の犠牲を乗り越え、相手の拠点を潰して一服というごく単純なもの。名前あり登場人物も主人公のスカーレット、相棒のアニー、二人の元締めのビック・ピーチくらい。男はバーの客とタバコ買いにくる人、要するにモブだ。あとはひたすら趣向の違うコスチュームのシガレットガールが銃で撃ち合う。大体そんな感じ。
チャイナタウンで春麗みたいなお姉さんに絡まれるのと、バーでウルヴァリンみたいなおじさんに絡まれるのはちょっとパロディ要素なのかなと思ったけれど、特に意図は読み取れなかった。
ファビオ・ムーンの描くお姉さんの絵と黒地のコマの白の使い方など、総じて魅力はモチーフや絵の方にあるか、といったところ。インターネットで公開されたものややローカルディストリビュートのコミックブックが出版社で出すようになることがあった時期になりつつあった頃だと思うけれど、今でも出版されてないところを見ると、そこまで評判はよくはなかったんだろうな。
サンフランシスコのコミックショップ「Isotope」に行ってきた
かなりの間更新しておらず、何をしていたかというとサンフランシスコに行っていました。仕事じゃなきゃもっとよかったのですが……。
比較的治安がよい地域だけで生活していたのですが、それでも日が落ちきってから1人で外を出歩くのはやや怖く、いざとなったらUberでタクシーを呼んで移動していました。アクティブにレストランからの持ち帰りや小銭がないか聞いてくるホームレスの人達や、日が沈んでから活動をはじめる怪しい物売りの人とも遭遇しましたが大事には至りませんでした。
オフには同僚と定番のフィッシャーマンズ・ワーフやゴールデン・ゲート・ブリッジあたりにも行ったりしました。今年はサンフランシスコ・ジャイアンツがワイルドカードまで残ったとかで本拠地のAT&Tパークもにぎわってたようです(行く機会はなかった)。
比較的慣れたころにサンフランシスコのコミックショップに行こうとして宿泊地からの行きやすさとレビュー
を読んだ結果、Isotopeにたどり着きました。
Isotope — The Comic Book Lounge
※公式サイト。ところどころリンク切れあるのであまり更新してないのかな?
店長さんについて
後で以下の記事
などをを読んで知ったのですが、店主のジェームズ氏、イメージコミックの『Invincible』(ライターは『ウォーキング・デッド』のロバート・カークマン!)に店名のIsotopeでヴィランとして登場していたり
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他にもロバート・カークマンによる『ウォーキング・デッド』でもモブゾンビとして登場しているそうです。確かに個性的な見た目でした。
お店について
※写真は店主のジェームズ氏のInstagramより(外観の写真撮ってなかった……)
お店の方は写真で見える範囲が全てで、外からはガラス張りで中が全体的に見渡せるようになっており、入口側から2/3が吹き抜けで高い天井になっているスペース。奥はロフトスペース。
入ってから最初の1/3が左側にソファーがあり、その奥がレジ。
レジ奥から1/3が左側が近刊がバックイシュー数号と一緒にタイトルごとに重ねてあるラック、中央が新刊とお店のおすすめTPとハードカバー。右側に新刊のシングルイシューとTPが置いてありました。
最後の1/3がロフト上になっていて、下側はTPとハードカバーが置いてある本棚。階段登って上は展示スペースと机、過去TPなどが置いてありました。
とにかくスペースを贅沢に使ってる。客が手に取る範囲のものではロングボックスありませんでした。ロングボックスに詰められたバックイシューのdigり目当ての人向けではないです。市内にそういう店もあるので、そういう場合はそちらに行けばよいのでしょう。入りやすくて「これ新刊」「これオススメ」という陳列なので分かりやすいと思います。
ドラマ『ビッグバン・セオリー』で「スパイダーマンを」と言われたら「アメイジング?アルティメット?スペクタキュラー?それとも2099?」と返事がくるシーンがありますが、やたらと色々あるし最初の人よく分かんないですしね。
便座アート
レジを過ぎてコミック売り場に入ると目につくのが楕円の白い物体に書かれた絵とサイン。近づいてよく見てみると便座でした。
アメリカにこういう風習があると聞いたことがなかったので調べてみたのですが、店の公式サイトに
TOILET SEAT MUSEUM
COMIC ROCKSTARS TOILET SEAT MUSEUMFounded completely by accident by Brian Wood and Rick Remender in November of 2002, the Isotope’s world-famous museum features original artwork on toilet seats by comic writers and artists from all over the world. On display every day, free of charge.
Isotope — The Comic Book Lounge » Lounge
と書いてありました。ブライアン・ウッドとリック・リメンダーの発案なのかよ……。過去分がありすぎて全部は展示されてなかったようなので「isotope toilet sheet」でGoogle Image検索するといっぱい出てきます。
勧められたもの
それほど詳しくない体で「シリーズ最初から読むとしたらこの店で売れてる中だと何がおすすめ?」と店主に聞いてみたら『サーガ』『East of West』
- 作者: ブライアン・K・ヴォーン,フィオナ・ステイプルズ,椎名ゆかり
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2015/05/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: Jonathan Hickman,Nick Dragotta
- 出版社/メーカー: Image Comics
- 発売日: 2013/09/24
- メディア: ペーパーバック
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が出てきました。「『サーガ』は日本語でも出てるよー。『East of West』はよく見かけるけどまだ読んだことない」という話をしつつ、『East of West』は日本でも簡単に買えそうだからパスしました。
「日本でも簡単に買える」という話からの続きで「じゃあ、サンフランシスコに住んでる作家の(ローカル)ディストリビュートの本ならどう?」ということで2冊紹介されました。他にも紹介されたのですが、現在刊行中のものが多かったので、「次にいつ来れるかわからないから……」という理由で買いませんでした。
Smoke and Guns
一つは『Smoke and Guns』
- 作者: Kirsten Baldock,Fabio Moon
- 出版社/メーカー: A I T Planet Lar
- 発売日: 2005/08/31
- メディア: ペーパーバック
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twitter.com
※ライターのTwitter
http://fabioandgabriel.blogspot.jp/
※アーティストのブログ
ノワール調で全編制服おねーさんがタバコ吸いながら銃撃って暴れまわる話(酷い説明だ!)でパラパラめくってるだけでもアート好みだったので買いました(つまりまだ読んでない)。アーティストのFabio Moonは見たことがある絵柄だと思っていたらダークホースで『ヘルボーイ』の外伝描いてました。
- メディア:
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帰国してから所用で神保町に寄ったときにアットワンダーにあったのでこちらも購入。
そしてFabio Moon、『Two Brothers』でアイズナー賞取ってるんですね。
- 作者: Gabriel Ba
- 出版社/メーカー: Dark Horse Books
- 発売日: 2015/10/27
- メディア: Kindle版
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自伝的な話のようですが、積み本が解消したら読もうかと思います。
総合して
店長のジェームスさんとも近刊の話聞けましたし、楽しかったです。ただ、英語力ないのと話題力ないのであまり話広げられなかったなぁ。
これを糧に次回以降に対応できるように英語勉強したいと思います。
邦訳アメコミ『ブラックパンサー:シビルウォー』(通販限定)
ヴィレッジブックスの定期購読のシビルウォークロスオーバーシリーズ第2期の7号目。
アート・オブ・シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(MARVEL)
- 作者: マーベルコミックス
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2016/07/30
- メディア: 大型本
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にも登場したブラックパンサーのタイイン号。『Black Panther(2005)』#19-25を収録。
当時X-MENのメンバーだったストームと新婚だったが、シビルウォーの発生もあって新婚旅行の代わりに外交交渉旅行になってしまった話。
- Dr.ドゥーム
- ブラックボルト
- ネイモア
- キャプテン・ブリテン
- キャプテン・アメリカ
- アイアンマン
- ウォーマシーン(この話ではセンチネルに乗るローディーとして登場)
あたりが出てくるが、結末としては事が成る前にブラックパンサーが「キャプテン(アメリカ)が投降した」とストームに告げて終わりなのでどうにも尻切れトンボ感が否めない(とはいえ、現実だってこんなものだろうけど)。
AVX:アベンジャーズ VS X-MEN ROUND1 (MARVEL)
- 作者: ブライアン・マイケル・ベンディス,ジェイソン・アーロン,エド・ブルベイカー,ジョナサン・ヒックマン,マット・フラクション,ジェフ・ローブ,エド・マクギネス,フランク・チョウ,ジョン・ロミータJr,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2015/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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AVX:アベンジャーズ VS X-MEN ROUND2 (MARVEL)
- 作者: ブライアン・マイケル・ベンディスジェイソン・アーロンエド・ブルベイカージョナサン・ヒックマンマット・フラクション,オリビア・コワペルアダム・キューバート,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2015/06/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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が先に出ており、結婚式は本誌の少し前なので離婚だけしてる人になってそう。
直前までの話は『Black Panther(2005)』#14から「Bride of the Panther」(ブラックパンサーの花嫁)編が始まり、#14最後のページでブラックパンサーからのプロポーズ。#15最後のページでストームからの返事。収録前号の#18でシビルウォーの最中、超人登録法賛成反対両派とX-MENを呼んでの挙式。結婚式のドゥームからの電報でラトベリアに招待されたのを受けて本誌#19のラトベリアリゾートとなる。
基本的にブラックパンサーが常人を超えた身体能力なのに加え、スーツの上から特殊アーマーを着こみ、アーマー相手にはブラックナイトのエボニーブレードで戦い、基本的には一番まともそうな意見で無双するという美味しい感じですが、本編読んだ上でも「そんなのあったんだ」レベルなのが「どうもなー」といったところ。
本誌の後の#26からは夫婦揃ってMr.ファンタスティックとインビジブルウーマンの代理としてファンタスティック・フォーに参加。『ファンタスティック・フォー』誌と一緒に話が進んでいくかたちになります。
邦訳『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』 - バットマン対スーパーマン戦の歴代戦歴書
バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト (ShoPro Books)
- 作者: ジョン・バーン他,アレックス・ロス、ジム・リー他,中沢俊介,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2016/03/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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映画『バットマン VS. スーパーマン:ジャスティスの誕生』の公開に合わせてコミックスでのバットマン対スーパーマンのエピソードを抜粋したのがこの『バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト』。装丁がアメリカン・コミックスで言うところのトレードペーパーバックに近いものになっており、お値段なんと980円(税抜き)。ページも90ページ程度なので映画館にパンフレットと一緒に置いておける一品です。
作画は
- アレックス・ロス(邦訳だと『キングダム・カム』や『DCスーパーヒーローズ』など):第1章 約束
- ジョン・バーン:第2章 ゴッサム・シティの夜
- エド・ベニス:第3章 どっちが勝つ?
- ジム・リー(邦訳だと『バットマン:ハッシュ』『ジャスティス・リーグ(New52)』など):第4章 対決 / 第5章 『ジャスティス・リーグ』誕生 #2
というところ。
対決のパターンとしては、以下の3パターン。
1. バットマンとスーパーマンの間には信頼関係があり、スーパーマンが狂わされて戦いに至るパターン
まず、バットマンとスーパーマンの2人の間に信頼関係があった上でスーパーマンが自分の弱点のクリプトナイトをバットマンに渡しておいて、スーパーマンが狂ったときに対応させるというのが第1章と第4章。
Netflix版『デアデビル』シーズン2
Netflix版『デアデビル』のシーズン2が3/18(金)に配信開始されたので土日をかけて見ました。
予告にも出ていたパニッシャーとエレクトラの登場はもちろん、ザ・ハンド(「闇の手」という訳語はどうなんだ)や先だって配信された『ジェシカ・ジョーンズ』への言及やサブ登場人物が登場したりなど、この後企画されている、NYストリート系ヒーローでのチーム『ディフェンダーズ』への布石が濃厚でした。
配信直後なのでネタバレは控えますが邦訳される『デアデビルvsパニッシャー』
- 作者: デビッド・ラッファン,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2016/03/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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のような展開かと思いきやフランク・キャッスル=パニッシャーの話の比重は半分程度。その他の要素がこのシーズンに入れるにしては多い印象なので人によっては雑味が多いと感じるかもしれないですね(実際Rotten Tomatoesでもシーズン2の方が評価低めですし)。個人的も面白いけれど、今回はもう少し要素減らしてもいいかなと思いました。
後はマット・マードックが弁護士業にどんどん支障をきたし始めており、ウィルソン・フィスクとも本格的に対立したので、このまま制作が続けば『デアデビル:ボーン・アゲイン』
- 作者: フランク・ミラー,デビッド・マツケリー,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/02/28
- メディア: 単行本
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が実写化される日も近いかもしれません。