『ウォンテッド』感想
- 作者: マーク・ミラー,J・G・ジョーンズ,中沢俊介
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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概要
- 収録
- WANTED 1-6号
- シリーズ
- Top Cow
- これまでのあらすじ
- 特になし。これで1巻完結
- 評価
- 悪趣味なのが嫌いならオススメはしない。オリジナルということもあってかメタオチも他に比べて弱い気がした
感想
映画『ウォンテッド』
- 出版社/メーカー: UPJ/ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2009/02/25
- メディア: DVD
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は見たことがあって、神の神託を下す機織り機に従って(結局仕込みがあったってオチなんだけど)太古の昔より暗殺を続けてきた組織フラタニティという設定。原作がマーク・ミラーと聞いた時点で「そんな生易しい設定じゃないだろ」と思ったらやっぱり酷かった。
余談で映画の話になってしまうけれど、主演ジェームズ・マカヴォイだったんだ……。今では『X-Men:ファースト・ジェネレーション』
X-MEN:ファースト・ジェネレーション [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2013/09/04
- メディア: Blu-ray
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のおかげでプロフェッサーXだなぁ*1。後、アンジェリーナ・ジョリーこんなに怖かったっけ。
弾道を曲げる撃ち方も映画オリジナル。怪しい伝説でもかなり力を入れて検証してたのを覚えてる。手首をスナップするどころか、銃のバレル曲げたりしても思うようにいかなかったはず。以上、余談終わり。
コミックでは世界中のスーパーヒーローを戦争で倒したヴィラン集団という設定。だからヒーローはコミックブックの中にしか存在しない。でも、犯罪組織はヴィランが勝ったから生き残ってる。ちょっと子供に質問されたときにとっさに答えた嘘みたいな設定だなと思ったら、マーク・ミラーのあとがきに子供の頃に兄貴にそう言われたと書いてあった。読んでいてどうもサンタいるいない論争の理屈に似てる気がしたのはそのせいか。
さて、マーク・ミラーというと日本でも『キック・アス』
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: Blu-ray
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- 作者: マーク・ミラー,ジョン・ロミータJr.,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2010/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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の原作者として多少知名度は上がったと思われるけれど、この人の話はとかく悪趣味なものが多い気がする。キャラクターの設定や言動、展開がイチイチ下衆い。そういう方面の意味で大人向け。邦訳が発売されているものだと『アルティメッツ』
- 作者: マーク・ミラー,ブライアン・ヒッチ,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2012/12/15
- メディア: 単行本
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だって、体育会系のノリでバナー博士をイビってたり、アントマンがワスプにDVして入院させてたり、キャップがガチガチの融通聞かない軍人だったり。ある意味リアルなんですが、肌に合わない人は合わない気がします*2。
クロスオーバー用にみんな性格を調整されたんじゃないかという『シビル・ウォー』
- 作者: マーク・ミラー,スティーブ・マクニーブン,石川裕人,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/09/28
- メディア: 単行本
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だったり、スーパーマンがロシアに落ちてたらネタの『スーパーマン・レッドサン』
- 作者: マーク・ミラー,デイブ・ジョンソン,キリアン・プランケット,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2012/08/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なんかもマーク・ミラーが原作。先日大英帝国勲章もらっていたが(グラント・モリソンと同じやつ)イギリス人のブラックジョークなんですかね。映画版ではこの辺りの設定を削って神託と見せかけた人為的な殺人だったくらいに留めておいてよかったと思った。
本編の話をすると気が弱いけど自意識だけは過剰なクソッタレがある日美人のチャンネーに拉致されて、そこで実は主人公は伝説の暗殺者の息子で、暗殺技術が遺伝子レベルで継承されているから呼んだという出だし。その後一度返事を保留するが、そこまで含めて英雄神話の出立のフェーズそのままだ。
そしてトレーニング。今まで普通の人間として生きてきたのを肉体もメンタルも暗殺者になれるように鍛え直す。そして暗殺ミッション。父親の仇と目される人物の登場。組織から追われるようになるというあたりがイニシエーション。
組織と対決すると実は父親は生きていて、自分の忘れていたはずの過去を取り戻し、父親を自分の手で葬ってスーパーヴィランのトップになってというのが帰還。帰還?帰還だよな……。
本編の話がおざなりなので分かるようにこの話そんなに好きでもない。スーパーヴィランの組織の入会の儀式が(おそらくスーパーヒーローの)コミックブックを燃やすことだったり、最後にメタ発言で読者に向けて「お前はこの本で受けたショックを他の慰めのコミックで買って誤魔化すだろう」とか書いてたりところどころは引っかかるところはあるにはあった(後は世界最高のスーパーヒーローのマントとか)。
ただ、その上親友とヤッてるからセックスレスになってて、出て行くって言ったらリストカットするとか脅す女と一緒に暮らしてる時点で主人公にあまり同情できない。昼飯のサンドのトッピングとちょっと変えて「俺って特別」みたいなのは自分の心の中だけでやってるからいいけど。主人公はスーパーヴィランになるわけだけど「同情はするけど俺はそうしない」という一部の界隈で使われている良いヴィラン基準をクリアできていないと思う。それでいて主人公だからイマイチ話にノレなかった。