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I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

邦訳アメコミアドベントカレンダー 3日目 『シビル・ウォー』

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

こんな人にオススメ

アメコミで2000年代最も売れたシリーズ(関連:2000年代のアメコミ1号あたりの売上ランキング(ダイヤモンズ社調べ) - ∀ddict)を読んでみたい人。

たくさんのヒーローが登場する話を読んでみたい人。

※ただしキャラのほとんどが精神的にキテいるので本作で各ヒーローのイメージをつけるのはオススメできません。

続編/関連作品

直接の関連はありませんが、時系列的に『ニュー・アベンジャーズ:コレクティブ』が少し前の話になります。

邦訳では『キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム』がほぼ続きになります。出版社のスケジュール予告では『シビル・ウォー』関連作品出版予定になっています。

実際、シビル・ウォーは『キャプテン・アメリカ』『アイアンマン』『アメイジング・スパイダーマン』『ヤング・アベンジャーズ』辺りの関連誌を時系列に並べて読まないと本誌だけだと唐突な展開がいくつかあります。

あらすじ/感想

発端はヒーローとヴィランの戦いを放送するTVのリアリティー番組。ヴィランは近所の小学校を巻き込んで自爆。その後継は全米に中継されていた。スーパーヒーローが起こした事件が相次ぎ、議会で議論が続いていた超人登録法の施行をめぐって賛成派と反対派が別れて内戦(シビル・ウォー)を繰り広げることになった。

賛成派の筆頭はアイアンマン、反対派の筆頭はキャプテン・アメリカ。アイアンマンはS.H.I.E.L.D.の長官になり、キャプテン・アメリカは仲間と共に地下に姿を隠し、抵抗活動を続けるのだった。


日本でもコミック/映画が公開された『キック・アス』のライターであるマーク・ミラーが手がけるスーパーヒーロー同士のガチンコ勝負。アメリカで言うシビル・ウォーは南北戦争のことですが、連載時期のイラク戦争をめぐるアメリカ国内の反応と見る向きもあるようです。

売上でも2000年代トップクラスのシリーズなので詳しいストーリーは読んでいただくとして、私が好きなシーンを1つだけ挙げておきます。

反対派のデアデビルが賛成派のアイアンマンに捕まり、収容所に連れ込まれるまでにアイアンマンがデアデビルを懐柔しようとしているシーンで以下の会話があります。

警備員「収容されて以来、ほとんど口を聞いていません、Mr.スターク。それと、この銀貨を舌の裏に隠していました。あなたにと言っています」
アイアンマン「銀貨だって……どういう意味だ?」
デアデビル「これであんたは、31枚目を手に入れた。そういう意味さ……。おやすみ、ユダ……」

多少解説が必要だと思うので補足すると、新約聖書イスカリオテのユダはキリストの所在を銀貨30枚で国に売ったというエピソードが根底にあります。デアデビルは1枚の銀貨を使って


トニーが銀貨が31枚目の銀貨を手に入れた
=既に30枚の銀貨を持っている
=お前がスーパーヒーローの尊厳や精神を売り渡した裏切り者だ


と言っているわけですね。流石本業が弁護士のインテリなだけはあります。


シヴィル・ウォーの後キャプテン・アメリカは死に、賛成派がヴィランの一部を条件付きで開放してしまったこともあり、賛成派と反対派の争いの間にノーマン・オズボーンの台頭を許してしまいます。ノーマンはS.H.I.E.L.D.を解体し、H.A.M.M.E.R.という自分を長に据えた組織を設立。自らがメンバーを集め、アベンジャーズを結成します。そして暫くの間ヴィランが国公認のヒーローとして闊歩する時代が訪れてしまうのです。

2000年代後半のMarvel作品の起点となったこの作品、関連作を読まないと分からないことも多く、登場人物も多いため初心者にオススメしにくいのですが、2000年代の代表作の一つなので、この時代のMarvel作品を読んでいく上で避けて通れない作品だと思います。