∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

手塚治虫アカデミー 手塚治虫生誕80周年記念@江戸東京博物館に行ってきた


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2、アトムの時代〜SFか科学か

SFマンガを日本に根付かせた手塚治虫。ロボットなど現代の技術に与えた影響は大きい。はたして手塚マンガは日本を変えたのか?

開催日:2008年11月3日(月・祝) 13:00〜15:30
ナビゲーター:手塚眞
パネリスト:富野由悠季 荒俣宏 大森一樹 石上三登志

行ってきました。開始1時間前(会場30分前)に会場に到着したら会場に入っていく富野監督に出くわしました。サッサと歩かれて行ったので何かあったわけではありませんが。


会場は400席で1割強が関係者及び取材陣といったところ。椅子の背に関係者席と張ってあったのが目に付いたので水曜日くらいには許可された音源から書き起こされた全文が出ると思います(これ言うの何度目だ)。

自分は富野監督中心に大まかに何話していたかだけを書くことにします。録音などしているわけではありませんので、ニュアンスや解釈等自分のものが入っている可能性があることをあらかじめお断りしておきます。


結論を先に書いてしまうと手塚治虫の漫画は

「(特に人工生命に)エロティシズムというか奇妙さがあって惹かれるところがあるよね」

という辺りでした。パネリストがエロエロとか奇妙とか連呼していたのですが、最終的に司会側はその辺りの語彙を「かわいい」という言葉でまとめようとしていました。個人的には怪しげなニュアンスが入ってる方がいいと思いますが。

この辺りの話は石上氏ご本人からも紹介がありましたが

定本 手塚治虫の世界 (Key Library)

定本 手塚治虫の世界 (Key Library)

なんかでも触れられていますね。

ここら辺、富野監督は『来るべき未来』についてのコメントで「エロで引っ張っておいて世界の滅亡の話にするなんてお化けだよ!」とかポポーニャに対する入れ込み具合を語ってました。


後覚えているのは荒俣氏の話で、東洋では太古からロボット的なものは実用的な用途で作られているわけではなく、役に立たないものとして作られているという話。

中国でロボットみたいなものを作る話があるけれど、必ず美女かイケメンを作って躍らせたりとか歌わせたりするという非実用的な用途で使われている。実用性みたいなものはロボットでなく機械に押し付けていて、ロボットには表層的な装飾の美しさを求め、機械が持ち合わせているグロテスクさを皮一枚で隠蔽している。

アトムがサーカス=見世物として売られたのはその容姿で食っていけということ(おそらく本人そこまで考えてなかったと思うけど)。

後、ロボットの重要な問題は父が作るものだということ。人間は母ははっきり分かるが、父系に対するファンタジーは残されているが、ロボットや人工生命にはそれが無いということ。

富野監督がそれを受けて父だけが作るものは母性的なもの無しに理念だとか技術論だけで後先考えずに作っちゃうから歪みが出てくる(例:原子力の原子爆弾への転用や、廃棄物の処理を考えてなかった原子力発電とか)。「だからガンダムは僕に作れたんだ!」とも。

巨大ロボットの父系神話形体は良く出る話ではありますが、こういう場でも出ていたので。


最後にハリウッド版アトムのパイロット版が1分弱見れました。手塚氏から何度も「本番で使われる映像かは分からない」というペンディング付きのものですが、出来は良かったと思います。アトムが地面をパンチして貫通して腕を回しながら穴掘ってるシーンなんかは流石に日本向けサービスな感じでしたが。


各パネリストのアトムの思い出や、手塚漫画に対する想いなど、話はまだありましたがひとまずはこれくらいで。世代的にまだ「大人が漫画を読んでると笑われる」という時代の方々からの証言は面白いものがありましたが、やはりピンとこないところもありました。