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邦訳アメコミアドベントカレンダー10日目『バットマン:ラバーズ&マッドメン』

バットマン:ラバーズ&マッドメン

バットマン:ラバーズ&マッドメン

こんな人にオススメ

  • バットマンとジョーカーの戦いが好きな人
  • ジョーカーのオリジンが知りたい人

続編・関連作品

ジョーカーの生誕団の一つを描いた作品としては『バットマンキリング・ジョーク』。活動を始めたばかりのバットマンが、ブルース・ウェイン個人としての感情と、バットマンとしての取るべき道に悩む話としては『バットマン:イヤーツー』がそれぞれのカウンターパートにあたると思います。あくまで本作がもう一つのバージョンではありますが。

あらすじ・感想

バットマンとしての活動を始めたばかりのブルース・ウェイン。チンピラ相手にも思わぬ抵抗を受けたり、まだまだガジェットに改良の余地があったりと駆け出しのヒーローをしている。一方、場末の酒場で酒を飲んで学生アルバイトに愚痴をいう男、ジャックはくすぶっていた。

ジャックはある日、仕事でバットマンと出会う。正義の題目を掲げ、自分の姿を隠すために仮装し、大まじめに犯罪と戦っている。「おもしろい」ジャックは笑った。その日からバットマンはジャックの標的になった。連続殺人事件を追うバットマン。ヒントを残して追いかけさせるジャック。だが、探偵は殺人現場にか辿り着くことが出来なかった。

そんな中、ブルースはローナと出会う。二人は恋に落ち、関係を持つが、ブルースのバットマン家業のせいでなかなかうまく行かない。そして、ついにローナはジョーカーの手にかけられてしまう。怒りを顕にするバットマン。バットラングがジャックの口を裂く。ジャックの顔は満面の笑みを浮かべるように口元が釣り上がったスカーフェイスになった。

逃亡したジャックを手段を選ばずにギャングに捕らえさせるバットマン。そして、ジャックは薬品を全身に浴び、肌は真っ白に、髪の毛は緑色になってしまう。ジャックという男が死に、ジョーカーがゴッサムに誕生した瞬間だった。


長年のバットマンやジョーカーのオリジンの話を元に再編集されたのがこの作品。ジョーカーになる前のジャックが酒場で話を聞いてもらった大学生ホステスの名前がハーリー・クィンゼル(ハーレイ・クインの本名)だったりと様々な細かいネタも詰め込まれています。

後出しジャンケンだけあって、しっかりまとまっており、これまでジョーカー自身から語られた曖昧なオリジンではなく、ジャックがジョーカーになる過程が描かれています。話もこの1冊でまとまっていますし、設定が本編設定ではないことと、ハードカバーでお値段が張ることを除けば初心者にもオススメの作品です。