説明
最近法律や心理学などが(語弊を含みながらも)噛み砕いた説明をしようと努力しているのを見て、友人に「物理はどうにかならんのか」と言われた。とっつきにくい理科科目筆頭であろう物理がどうにか分かるように*1説明できないのか、ということを勉強の片手間で考えた。
結論から先に言うとそれは非常に難しい。そもそも自分が考えうる範囲(つまり既存の説明方法)では二つしかない。
- 潔く諦め、このパターンはこう解く、という説明をする。*2
- 長所:穴が多いがとりあえず説明は出来ないことはない。
- 欠点:少しひねった形になるとまったく分からない。
- 諦めずに数理的解析を追及する。*3
- 長所:体系的な説明が出来る。
- 欠点:数学の知識が無いとほとんどわけが分からない。
どうしたものだろうか。前者は「なぜ?」と一言言われると完全に説明がつかなくなってしまうし、*4後者は求められている説明方法にそぐうものではない。
そもそも自分も高校の頃は物理がわけが分からなくて、受験勉強を始めて数理解析の方法を学んでようやく分かったクチなので前者はお勧めできない。
仮に後者を取るとしたら、多くの場合物理の学習を始める時に微積分を学習していないので、微積分まで含めて教えなければならない。そうなると厄介なのは極限の概念の説明だと思われる。自分もかつてそうだったのだが、例えば
というのが導関数の定義なのだけれど、はではない。結果的に0に近づくのだから同じのように思われるかもしれないのだが0を代入すると見ると
となってしまい、この値は定義できない。これを解析的に説明するには大学の教養数学で悪名高い(笑)ε-δ論法を待たなければならない。より直感的に説明する方法は微積分法の創立者の一人であるライプニッツによる無限小数*5の発想を厳密に証明したA.ロビンソンの超準解析があるのだけれど、私はこれを使って教えているのをあまり見たことが無い。*6
どうしたもんだか。とりあえず、超準解析のメモから始めるしかないのかしらん。