漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』9巻 - ガンダムパイロット三代記
前巻で街を核の脅威から救ってからおかしくなってしまったフォントはX-0とベルを伴って家出。家出先でトラック強盗に狙われていたのは……キンケドゥさんなにしてるんですか……。というまでが前巻からのあらすじ。
全体的な配分としては、理性が暴走して人間性を欠くような思考になってしまったフォントが師匠の師匠であるキンケドゥと出会い、ベルや仲間の助けを借りて人間性を取り戻す。最後の方は最終決戦に向けてファントム改修型ーーゴーストと先んじて脱出したキゾとマリアの最終兵器のお披露目。
まず、フォントのリハビリ。核ミサイルの撃墜を始めとして日常と著しく乖離した判断や思考を強いられ続けるようになって人として壊れてしまったフォント。帰還兵が日常に戻れなくなる話、古くは『西部戦線異状なし』
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から語られ、私が見た中で一番新しいのはアフガニスタン帰還兵のPTSDを描いた
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でしょうか。人間あまり頑丈にできていないもので、特に精神のダメージは後々まで残り続けるものですしね。
X-0を伴って逃げ出した先には物資を運ぶトラックを襲う盗賊。盗賊の排除を試みるフォントに追われるトラックの運転手は脅しをかけて逃がすように叫ぶ。トラックの運転手はキンケドゥ……シーブック・アノー、避難民のためのパンを作るために自宅のパン焼き釜を使いに戻ってきたのだと言う。
X-0がここに来たのはカーティスが自動操縦の座標設定をしていたからで……それがなぜかというとみんな知ってた「カーティス=トビア」がシーブックから告げられる。『鋼鉄の7人』編
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でもパン屋の前まで来ていて、客がシーブックにトビア(らしき若い男)が来ていたことを伝えていたことが判明しますが、そのときはX-1に載っていたので、自動操縦設定が入ったのはX-0回収以降=カーティスになってからですね。
なんだかんだでクロスボーンガンダム系のパイロットの系譜が三代登場しました。パイロットみたいに活躍できる期間が短いと代替わりが早いしなぁ。師弟関係とガンダムを介してキンケドゥ、カーティス、フォント。それぞれ気質は違えど割合本質は近いのでしょうね。
で、これまたみんな知ってたベルの名前の由来が木星圏代表テテニス・ドゥガチがクロスボーン・バンガードに潜伏していたときに使っていた偽名のベルナデットからと明言。こちらはセシリーのパンづくりを受け継ぎます。
この辺、話としては家出した孫がじいちゃんに出会って親の苦しみを知り、孫が立ち直って仲間のところに戻る。親もじいちゃんからの土産で勇気付けられるという人情話みたいな話になっていた。罰がジャガイモの皮剥きなところとか、脈々と受け継がれてる話になってた気がしました。
そして最終決戦を前にしてモビルスーツのお披露目。まずフォントの乗機、ファントムの改修型のゴースト。装甲周りが強化され、ファントムが実現しようとしていて失敗したコンセプト改修も済。カーティス乗機になる可能性もあったものの、カーティスから直接フォントに引き渡し。
キゾとマリアの乗機はエンジェル・フォールを利用して死兵を作るマシン。これを使ってエンジェル・ハイロゥを占拠する方針を打ち出したキゾ。本件をもってキゾはザンスカール帝国を離脱。元々エンジェル・ハイロゥに囚われたサイキッカーたちの身元引受交渉をしていた木星側と戦闘態勢に入るのであった。
本巻で9巻目となり、クロスボーン・ガンダム史上一番長い話になっていますが、シリーズの完結が楽しみです。