フラッシュポイント:バットマン
- 作者: ブライアン・アザレロ,スコット・シュナイダー,ローウェル・フランシス,トニー・ベダルド,エドゥアルド・リッソ,ジーン・ハ,ヴィンセント・シフエント,アルディアン・シャフ,石川裕人,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2012/09/13
- メディア: 単行本
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発売日に買い逃して翌日に買いました。先日発売された『フラッシュポイント』
- 作者: ジェフ・ジョーンズ,アンディ・キューバート,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2012/05/19
- メディア: 単行本
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の世界で「他のヒーローたちは何をしていたのか?」シリーズのうち
- バットマン:ナイト・オブ・ヴェンジェンス
- スーパーマン:プロジェクト・スーパーマン
- アクアマン:エンペラー・アクアマン
の3ヒーローのストーリーをまとめたものになります。
既に『フラッシュポイント』邦訳発売から4ヶ月経過しているのでネタバレを書きます。『フラッシュポイント』の世界のバットマンはブルース・ウェインの父、トーマス・ウェイン。そしてブルースは死んでいることが『フラッシュポイント』本編で語られています。ではブルースの母、マーサ・ウェインは?その疑問に答えるのが1本目の『フラッシュポイント・バットマン:ナイト・オブ・ヴェンジェンス』。
邦訳では表紙でネタバレしていますが、邦訳の表紙は最終号の表紙。当時リアルタイムに追っていると1号最後にジョーカーが現れ、2号最後に「これ以上何をする気だ!マーサ!」とトーマスが叫んで終わり、3号であの表紙と共にあの夜の話。
『フラッシュポイント』では準主役のバットマンの話の割にそれほど本編との絡みもありません。時系列的には『フラッシュポイント』1号でヨーヨーにジョーカーの居場所を吐かせようとしていたところや、2号以降で「世界を変えられるならどうするか?」という問を周りに投げかけている辺り、間接的につながりはありますが、「バットマンとジョーカーが実は夫婦でキスする」というシチュエーションの体現のためのストーリーだった気がします。
ブルースが生き残ってトーマスとマーサが死んだ世界ではブルースは何をしているのか?というマーサの問への答えが「バットマン」だったという笑えないジョークで締めくくり。この話、アイズナー賞ノミネートだか受賞だかしていて、してやったりという感じですね。
2本目の『プロジェクト・スーパーマン』。本編ではトーマスが「ブルースが生まれる頃にメトロポリスに隕石が落ちて大惨事だった」という情報の元、サイボーグを引き連れて軍の秘密組織に潜入。厳重に管理されていたのは青白いひ弱な青年だった。追手を払い、外に出た一行、初めて太陽を見てパワーを取り戻したスーパーマンはどこかへ飛び去っていくのだった。あ、最終決戦でアクアマンとワンダーウーマンのパワー勝負に介入するために戻ってきます。
スーパーマンの世界の名はサブジェクト1(被験体1号)と呼ばれており、軍用の地下施設に監禁されています。はるか昔から超人になるために様々な事をしてきた先輩は脱走。脱出不可能な空間ファントムゾーン送り。そののちもサブジェクト1に対する研究行為は続けられ、『フラッシュポイント』でフラシュ、バットマン、サイボーグが助けられるシーンにつながります。そこから脱走して一路ロイスのいるアマゾネス支配下のロンドンへ。そして戦いの後に『フラッシュポイント』で戦いのど真ん中に戻ってくるとなります。
この話「スーパーマン」の語に込められている意味が重く、二人のスーパーマン
- 元超人でプロジェクトに参加して能力を伸ばす
- 異星人でプロジェクトに強制参加させられ、能力を引き出させられている
がいます。後者が本来の世界のスーパーマンなのですが親子関係などの愛憎を含めてライターのスコット・シュナイダーがいい仕事をしたと思います。スコット・シュナイダーは『Batman(vol.2)』のライターで"Cout of Owl", "Knight of Owl"で成功を納めてます。
3本目の『エンペラー・アクアマン』は過去の話を多少交えつつ、イギリスを占領したアマゾン対策のための津波と爆弾の用意。『ワンダーウーマン』誌も読めば分かるのですが、アクアマンとワンダーウーマンは一時婚約間際まで行ったものの、アトランティスとアマゾンのそれぞれの思惑により破綻。以降戦争状態が続いています。『フラッシュポイント』でシャザム・ファミリーがTVか世界の終りを聞いているのがこの頃ですね。
順当に裏で何があったのかをきちんと書いたクロスオーバー作品だったと思います。『フラッシュポイント』世界で全体になっているアトランティスとアマゾンの全面戦争の経緯も語られており、プロローグ的な意味合いがあります。『ワンダーウーマン』の話と対になってこそではあるのですが、そこまで邦訳するにはページ数の関係もあるでしょうし、難しいところです。
巻末や解説冊子には邦訳されなかった関連誌の情報も載っています。本編の話に関係してくるのは『Wonder Woman』や『Reverse Flash』ですが、『Kid Flash Lost』や『Booster Gold』のように『フラッシュポイント』の世界にありながら元の世界の記憶を持っている人々の話も面白かったです。後は元のキャラクターをどれだけ知っているか次第な気がします。
後、クロスオーバー作品のタイイン誌の邦訳が順次発売されていくのは最近では珍しいと思うので(『ハウス・オブM』も『シビル・ウォー』も直後の話しか出てないですし)意義があったと思います。『ニュー・アベンジャーズ:シヴィル・ウォー』でヴィレッジブックスの今後のタイイン誌の取り扱いが発表されるようですが、どうなっていくか楽しみです。