バットマン:ラーズ・アル・グールの復活
- 作者: グラント・モリソン,ポール・ディニ,ピーター・ミリガン,ファビアン・ニシーザ,キース・シャンパン,トニー・S・ダニエル,ドン・クレイマー,フレディ・E・ウィリアムズII,ジェイソン・ピアソン,ライアン・ベンジャミン,デイビッド・バルデオン,デイビッド・ロペス,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2012/03/27
- メディア: 単行本
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- バットマン #670
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- ディテクティブコミックス #838
- バットマン #671
- ロビン #169
- ナイトウィング #140
- ディテクティブコミックス #839
※The Resurrection of Ra's al Ghul - Wikipedia, the free encyclopedia参照
が収録。訳者のあとがきにもあるようにエピローグにあたるディテクティブコミックス #840は未収録。
雑誌またいだイベントの邦訳は近年無かったと思うので、反応が気になる。個人的にはナイトウィング誌のアートの人(誰だか調べてない)が好み。話のほうはイベントで区切りがあるとはいえ、まだ連載は続くので途中から始まって途中で終わるという『バットマン・アンド・サン』と同じような状態。それほど時系列意識しなくていいと断り書きがあるが、『アンド・サン』と本書の間には4月発売の『ブラックグローブ』が挟まっている。
訳者もコメントしているが、先立って発売された『アンド・サン』でバットマンの実子(ダミアン)と養子(ティム)について触れられており、本書『ラーズ・アル・グールの復活』では
- センセイとラーズ・アル・グールの親子関係
- ラーズ・アル・グールとバットマンの義理の親子関係
- ラーズ・アル・グールとホワイトゴーストの親子関係
- バットマンとダミアンの親子関係
- バットマンとナイトウィングの義理の親子関係
- バットマンとロビンの義理の親子関係
と、男系だけでもこれだけ親子関係が出ている(アルフレッドはどちらかというとお母さんの立場の人なので略)。子供同士だと『アンド・サン』でもそうだったようにティムとダミアンが激しく争っています。ダミアンが「実子である自分がいれば養子のティムがロビンである必要はない」と挑発して、ティムもそれにのってしまう。
ティムがあまり余裕が無い(躓きそうになったアルフレッドを支えたダミアンに殴りかかるなど)と対比するためか、ナイトウィングは安定して兄貴ぶりを発揮しています。バットマン相手にも軽口を叩いていますし、タリアの部下の女ヴィランもお尻に注目するくらいセクシーです。バットマンが影のヒーローなら、ナイトウィングは陽のヒーロー(ナイトウィングの由来もクリプトン星の英雄ですし)といった感じですね。ダミアンに至ってはこれから兄貴というか若いパパ状態になっていくのですが。
基本的にこの物語で出てくる父親(センセイ、ラーズ、バットマン)は物語中で使命を優先する父親失格の人間たちだと言われていますし、バットマンもロビンとダミアンを守りたい気持ちはもちろんあるのでしょうが、タリアに
「自分の息子を殺す気?」
と問われ
「ナイトウィングとロビンにできることを要求しているだけだ。私の息子なら当然だ」
と答えるあたり、技量を知っているとはいえ、ダミアンを煽っているように聞こえますね。そんなこんなで結局息子たちはナイトウィングと比べられてしまうわけで「あんたはディックしか愛していないんだ」と誰かに言われてしまいそうです。
そんなバットマン+ラーズファミリーの歪んだ家族愛のお話でした。