邦訳アメコミアドベントカレンダー 2日目 『キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー』
キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー (ShoPro Books)
- 作者: エド・ブルベイカー,スティーブ・エプティング,堺三保
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2011/09/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 6人 クリック: 78回
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こんな人にオススメ
映画『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』を見て原作のキャプテン・アメリカに興味を持った人*1。
特に
- スティーブ・ロジャースが氷漬けになっていた間のキャプテン・アメリカ
- 物語半ばで退場したバッキーのその後
に興味が有る方におすすめです。
続編/関連作品
話の直接の続きの邦訳は発売されていません。
邦訳での時系列は
- 『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』
- 『シビル・ウォー』
- 『キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム』
- 『キャプテン・アメリカ:バーデン・オブ・ドリーム』
となります。
あらすじ/感想
2011年、数多くのアメコミ邦訳やアメコミ原作映画が上映されましたが、今年一番注目されたキャラクターはキャプテン・アメリカでしょう。映画は第二次世界大戦中に初代キャプテン・アメリカであるスティーブ・ロジャースがいかにしてヒーローになり、現代に蘇るのかという話でした。
対して邦訳コミックは
- 『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』
キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー (ShoPro Books)
- 作者: エド・ブルベイカー,スティーブ・エプティング,堺三保
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2011/09/29
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- 『キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム』
デス・オブ・キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム (MARVEL)
- 作者: エド・ブルベイカー,スティーブ・エプティング,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/10/29
- メディア: 単行本
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- 『キャプテン・アメリカ:バーデン・オブ・ドリーム』
デス・オブ・キャプテン・アメリカ:バーデン・オブ・ドリーム (MARVEL)
- 作者: エド・ブルベイカー,スティーブ・エプティング,マイク・パーキンス,ブッチ・ガイス,ロバート・デ・ラ・トーレ,石川裕人,近藤恭佳
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/11/30
- メディア: 単行本
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- 『キャプテン・アメリカ:ニューディール』
- 作者: ジョン・ネイ・リーバー,ジョン・カサディ,石川裕人
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/09/28
- メディア: 単行本
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の4冊のうち『ニューディール』をのぞいた3冊がスティーブ・ロジャースからジェームズ・ブギャナン・バーンズ(通称バッキー)への代替りの話。原作では2005年1月から2008年1月までの3年間をかけて行われました。
初代キャプテン・アメリカのサイドキック、バッキー。テイーブと同様に海からサルベージされ、ソ連のスパイ、ウィンターソルジャーになったという設定の元現代に復活したのがこの『ウィンター・ソルジャー』。言うまでもなくバッキーの復活の経緯は『アベンジャーズ #4(1964)』(やそれを元にした映画『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』)に沿ったものです。
物語はレッド・スカルが旧ソ連の特殊兵器保管庫で武器の売買をするさいにウィンター・ソルジャーを見つけるところから始まります。ロシアのクロナスにコズミック・キューブと交換とまで言われるウィンター・ソルジャー。
その後レッド・スカルはアメリカ滞在中に暗殺され、コズミック・キューブは奪われてしまう。調査に乗り出すS.H.I.E.L.D.。レッド・スカル暗殺とコズミック・キューブ強奪の裏には第二次大戦中に死んだはずのバッキーの姿が。動揺するスティーブ。
ライターのエド・ブルベイカーがキャプテン・アメリカの歴史を再び掘り起こして再編集したのがこの作品。バッキーが死んだ描写がなかったので生きている*2ということで復活させたのが始まりのこのシリーズ。エド・ブルベイカーに限らずコミックを読んで育ってライターになった世代はその頃の話をネタにしている気がします(同ライターによる『X-MEN:デッドリー・ジェネシス』も第2期X-MEN開始の『ジャイアントサイズX-MEN』からの話ですし)。
映画のタイアップとして初代キャプテン・アメリカの誕生と復活の話であれば他にも候補があったと思いますが、キャプテン・アメリカがスティーブ・ロジャースという個人を指すのではなく、連綿と受け継がれるイコンであることを描いた話として秀逸だと思います。
スティーブはアベンジャーズに発見されて引き続きアメリカのヒーローとして活躍してきたのに対し、バッキーはソ連に発見されて改造・洗脳され、暗殺の道具になったという明暗の対比。キャプテン・アメリカとバッキーに憧れ、一旦はバッキーになったものの、超人化の副作用もあって自分がバッキーではないことに今でも悩まされるジャック・モンロー。
アメリカのイコンとしてのキャプテン・アメリカとスティーブ・ロジャース個人の考えは『ニューディール』に譲りますが、『ウィンター・ソルジャー』は歴史ドラマ的な系譜を描いた作品だと思います。
個人的には、本編ストーリーからは少し外れますが、はじめはバッキーとして、その後はノーマッド(一時期スティーブがキャプテン・アメリカを辞めていた時期になっていたヒーロー)になったジャック・モンローの「なにものにもなれなかった自分」への苦悩と結末に泣きます。
邦訳ではこの後『シビル・ウォー』まで飛び、『キャプテン・アメリカ:デス・オブ・ドリーム』へと至るのですが、実際にはスティーブがバッキーを追いかける話があります。邦訳の時系列からすると翻訳の目はなさそうですが。