ジャスティス・リーグ #2
あらすじ
――セントラルシティ 市警鑑識部
バリー・アレン捜査官が上司と口論していた。ある事件の再調査を求めるバリーと、聞き入れずキーストーンシティーに現れた前身赤タイツの男「フラッシュ」の操作を命じる上司。これまでの事件資料は全て運びだされ、フラッシュの捜査に専念する体制に変わりつつあった。フラッシュの正体が判明するまで凍結だと言って部屋を後にする。あたりに浮かぶホログラフ・モニターに映るフラッシュの姿。バリーは複雑な表情を浮かべていた。
――メトロポリス
「催涙ガス。超音波爆弾。スタンガン。君のベルトはもう空だろ?バットマン」
スーパーマンには全て効果がなかった。赤く目を光らせながら仁王立ちしている。地面を蹴り、一足でバットマンを壁に叩きつけた。右手はバットマンの喉を締め、左手はバットマンの腰にぶら下がっていたエイリアンの「箱」をもぎ取っていた。スーパーマンが直前まで戦っていたエイリアンも「箱」を持っていた。バットマンがエイリアンの仲間ではないかと疑うスーパーマン。
ヒートビジョンで吹き飛ばされていたグリーンランタン。ソリッドライトで巨大な鎖付き分銅でスーパーマンを縛り付ける。
「鎖か。君は面白いやつだよ。グリーンランタン」
スーパーマンは鎖を引き千切る。打つ手のなくなったバットマンとグリーンランタンはソリッド・ライトで作った球体の中に閉じこもる。
「あいつ、俺のソリッド・ライトを粉々にしやがった!一体どうやったらあんなことができるんだ」
「彼は怒ってる」
「ああ、俺も怒ってるよ!」
「先客がああさせたようだ。話をする必要がある」
「話す!?」
「君じゃ彼は止められない。ランタン。彼は強い。そして早い」
「ああ、そうだな。でもな、俺はもっと早いやつを知ってるぜ」
スーパーマンの一撃で球体にヒビが入っていた。
「はい。バリー・アレンです」
『フラッシュ?俺だ。グリーンランタンだ』
グリーンランタンはセントラルシティのバリーに電話をかけていた。
「ハル?電話するなって言っただろ!」
『マジでお前の助けが必要なんだ。相棒。今メトロポリスの7番中央……いやブロードウェイだ』
『こっちに集中しろ!ランタン。砕け散らないようにするんだ」
度重なるスーパーマンの攻撃にソリッド・ライトは砕け散りそうになっていた。
「今の誰だい?」
『バットマンと一緒なんだ』
「バットマン?本物の?」
『ああ、マジ』
「それで何してるんだい?」
『何も』
「いつも何かしてるだろ」
『戦おうなんてしてないぜ』
「戦うって?」
『あー、俺とバットマン対スーパーマン』
「スーパーマンと?正気かい?」
『まあな。ともかく、説明は後でするからここまで走ってきてスーパーマン倒すの手伝ってくれよ』
「だめだ」
『え?』
「前にグリーンランタンとフラッシュが一緒にいたのを見られてどうなったか覚えてるだろ?」
『しゃべるゴリラを倒してセントラルシティを救ったろ』
「それで自然歴史博物館を壊したよね!上司の上司がすぐにフラッシュを逮捕するためのタスクフォースを結成して僕を配属させた。つまり、仕事に支障が出るんだよ」
『フラッシュ!スーパーマンが俺達を殺そうとしてる!!』
グリーンランタンの通信が切れた。スーパーマンがソリッド・ライトの球体を叩き割った。左手を振り下ろそうとするスーパーマンを捕まえて吹き飛ばす赤い衝撃。グリーンランタンを助けるためにフラッシュがセントラルシティからメトロポリスに「駆けつけた」のだ。
「僕は攻撃されるのは好きじゃないんだ」
スーパーマンが立ち上がって3人に突進してきた。
「俺には攻撃したのに!」
「君たちお互い混乱してるんだよ、ランタン」
スーパーマンのタックルをいなすフラッシュ。
「僕が思うに。これは。大きな。勘違いなんだ」
スーパーマンのマントを頭にかけながら挑発するフラッシュ。
「退屈させないでくれよ。僕を捕まえてごらん。スーパーマン。ただ、僕は一度も触れられたことがないけどね」
スーパーマンが回りこむフラッシュに拳を伸ばし、最後に指で弾く。指にで弾かれただけで1ブロック先の露店まで吹き飛ばされるフラッシュ。
「ホントに当たった。うーん」
フラッシュは頭を抱えていた。
バットマンがスーパーマンの間に割って入る。火を吐くモンスターの一味ではなく、スーパーマンと同じように攻撃された側であること、異星人であるスーパーマンがなにか知っているかもしれないと思ったから来たのだと。手を下ろし、そんな知り合いはいないし、スーパーマンのところでは「箱」はモンスターと一緒に無くなったのではないかと言うスーパーマン。
フラッシュが帰ってくる。
「吹き飛んだって何が?今も戦ってるところ?」
「いいや」
グリーンランタンが答える。
「じゃ、辺りを片付けないとね」
フラッシュが通りを塞いでいる瓦礫を片付ける。
『全員そこから動くな!』
サーチライトがあたりを照らす。市民の通報で軍用ヘリが現場に到着していた。
「うわー、これでまた立場が悪くなったじゃないか。どうもありがとう、ランタン」
「俺のせいじゃねえよ!」
「僕は自警団じゃないし、非難にさらされたくないよ」
「そのためにマスクしてんだろ」
「法律を破ったことはないよ」
フラッシュとグリーン・ランタンが話をしている間にバットマンは地下に潜っていた。
「軍が来たということはレックス・ルーサーも近くにいるのか」
スーパーマンがつぶやく。
「レックス・ルーサーのファンというわけでもなさそうだが?」
「ファンじゃないよ」
「ついてこい」
「何で僕が君たちについて行かないといけないんだ?」
「君は我々に似ているからだ」
「僕に似た人なんていないよ」
「世界の大半の人間はそうは思ってないさ、スーパーマン」
バットマンを先頭に4人のヒーローは上水道を奥に進んでいった。
道中でグリーンランタンがバットマンに話しかける
「やけに深刻そうな顔だな」
「気になってるんだ。君も気になってるはずだ」
「何に?スーパーマンに?」
「いいや。ここ以外にも『箱』がいくつかあることにさ」
――デトロイト S.T.A.R. LAB 超人研究部門
メトロポリスでスーパーマンと戦ったモンスターが持っていた箱はここで分析されていた。まだはっきりしたことは分かっていない。ストーン博士が頭を抱えている。そんなところにストーン博士の息子、ヴィクターが来る。追い返すように言う博士。だが結局会うことになる。
ヴィクターはアメフトの試合に来なかったことを責める。スカウトもたくさん来たのに親がいないから契約もできない。M.S.U.から授業料全額免除のアメフト推薦の話もあったのに受けられなかったと。大学でもアメフトを続けてプロになりたいというヴィクターに博士は言う。今は超人が続出している大変な時期でアメフトにうつつを抜かしている場合ではないと。
黙って立ち上がるヴィクター。
「試合には、来てくれないんだね」
寂しそうな顔を見て博士の顔が驚きに変わる。
「いいや」
――メトロポリス 印刷所跡
スーパーマンが基地も持っていないし、マスクをしていないことを疑問に思っていると口にするバットマン。グリーンランタンの冗談を聞き流すフラッシュ。先ほどの一触即発の事態から和やかな雰囲気になっている。
箱の分析にかかるフラッシュ。グリーンランタンのリングからの情報はなし。グリーンランタンの分解したらどうかとの提案には放射性物質や毒が中に入っている可能性があるからと断る。スーパーマンは大抵のものを透視できるがこれはできないと言う。バットマンは他に分かることはあるかと聞く。誰かが接触を図ったかどうかは指紋やD.N.A.の検査で分かると言うフラッシュ。
「まるで警官みたいだな」
バットマンが言う。
「そうだよ。僕は鑑識の人間だ」
フラッシュが答える。
「バリー!正体ばらしてどうすんだよ!」
グリーンランタンが叫ぶ。
「ああ、それに君が『バリー』って言うから名前もバレちゃったよ!」
フラッシュとグリーンランタンが喧嘩している間に「箱」が激しく光り始め、音を立てていた。
メトロポリスだけでなく、デトロイトのS.T.A.R. LABでも同じ現象が発生していた。ストーン博士とヴィクターにも避難を呼びかける警備員が。「箱」の前を通るストーン博士とヴィクター。
「箱」から爆発と共に各地に現れていたモンスターが大量に飛び出してくる。
「ダークサイド様のために!」
「箱」はモンスターを運ぶゲートだったのだ。
「ヴィクター!!」
爆発をまともに受けたヴィクターは半身を異星人のビームで焼かれていた。
次回:ワンダーウーマン登場
感想
グリーンランタンのお友達のフラッシュが登場。4人でスーパーマンとバットマン、グリーンランタンとフラッシュのペアに別れた感じです。無鉄砲で短気なグリーンランタンと、頭はいいけどどこか抜けているフラッシュのコンビ。この話の中でも何度かコンビ漫才を繰り広げていますが、実際いいコンビ。
以前から付き合いがあるようですし(グリーンランタンとフラッシュの個人誌は買ってないので、リランチ後の二人の出会い知らないのだ!)、適度に冗談言って冷たいこと言われたり、思春期以降の男子がふざけ合ってる様子のようで微笑ましい感じです。フラッシュは皆に「瓦礫片付けようよ」と言いつつ黙々とやってる様が優等生だけどリーダーシップあんまりないクラスに一人はいるよい子タイプですね。アメリカでもその手の人の人気あるんじゃないんでしょうか。
ヴィクターがサイボーグになる伏線として半身が焼かれてしまいます。『Flashpoint』でも大事な役どころをもらっていましたし、リランチ後のDCの世界では重要なポジションにつきそうです。DCのビッグ3というとスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンですが、ワンダーウーマンより先に出ていますしね(売り上げ的には3人目がグリーンランタンかフラッシュでしょうが)。
敵の黒幕も登場していませんし(とはいえ、以前からのファンであれば名前だけで想像はできるでしょうが)、1号に登場したヒーローがまだ全員登場していませんし、まだまだ序盤。期待膨らむ頃合いで過剰な期待をしている気がしますが、キャラクターの設定掘り起こしてうまく料理するジェフ・ジョーンズに、無難に現代風アレンジしてるジム・リーがやっていれば期待するところです(ジム・リーの描く女性キャラそんなに好きじゃないですが)。ご祝儀的な意味合いがありますが、次回も期待しています。
小ネタ
ジェフ・ジョーンズの作品で邦訳されているものはグリーンランタンの2冊ですが
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- 作者: ジェフ・ジョーンズ,アイヴァン・リース,市川裕文
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共に過去の設定をうまく掘り起こしてアレンジしている良作です。
特に『グリーンランタン:シークレットオリジン』は再構成されたグリーンランタンの始まりの話です。映画
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とは筋が異なりますが、はじめての人にもお勧めな一作です。