∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

2000年代のアメコミ1号あたりの売上ランキング(ダイヤモンズ社調べ)

アメコミは20-30ページ程度のフルカラーの薄いリーフレットが雑誌あつかいで月1程度のペースで刊行されています。アメコミの情報誌としてダイヤモンズ社が発刊しているプレビューズ(日本のアメコミショップでも取り扱いがあります)があります。

そのダイヤモンズ社調査の2000年代のアメコミ1号あたりの売り上げランキングの話を見かけました。

情報元に書いてありますが

  • デジタルコミックの売上は含まれていない
  • 北米の売上が対象(アメリカとカナダは同日発売)

のようです。他にも条件がありそうですが、おおまかなランキングとしてみていただければと思います。

本当は上位50号あたりまで理由を含めて書きたかったのですが、読んでないものがあったことや、調べるのに意外に時間がかかったので、上位10号までの話をします。上記URLには上位300号までが掲載されています。

2000年代売上上位10号は以下。

順位 タイトル 発売年月 出版社 売り上げ部数
1 アメイジング・スパイダーマン #583 2009/01 Marvel 530,500
2 シビル・ウォー #2 2006/06 Marvel 341,856
3 シビル・ウォー #3 2006/07 Marvel 337,025
4 シビル・ウォー #1 2006/05 Marvel 328,524
5 キャプテン・アメリカ #25 2005/03 Marvel 317,713
6 シビル・ウォー #4 2006/09 Marvel 290,994
7 シビル・ウォー #5 2006/11 Marvel 283,863
8 オールスター・バットマン&ロビン・ザ・ボーイズワンダー #1 2005/07 DC 276,017
9 シビル・ウォー #7 2007/02 Marvel 274,451
10 インファナイト・クライシス #1 2005/10 DC 269,991

数だけで見るとMarvelが8号、DCが2号。シリーズ別に見るとMarvelの『シビル・ウォー』#1〜7が7誌ランクインしています。

それぞれどのような話なのかを解説していきます。

アメイジング・スパイダーマン #583

まずは2009年1月に発行された『アメイジング・スパイダーマン』 #583。ここで思い出して欲しいのがアメコミの世界は現実の世界にスーパーヒーローがいる世界だということです。現実のアメリカで起こったことは、例えスーパーヒーローがうまく立ち回れば回避できた出来事(例えば9.11など)でも、起こったことになっています。

さて、2008年後半のアメリカに何があったかというと、アメリカ大統領選挙がありました。共和党はジョン・マケイン民主党バラク・オバマが立候補し、2008年11月4日の選挙の結果、オバマが勝利し、2009年1月20日に第44代アメリカ合衆国大統領になりました。

米Amazonでこの号を検索してみると分かるのですが

この号はオバマ大統領とのタイアップ号なんですね。こういった記念号には表紙違い(バリアントカバー)のものが複数発刊されます。

この号は

  • オバマ大統領就任祝儀
  • 複数ヴァリアントカバー発売

あたりの要因が売上に大きく貢献しています。

この号のあらすじや大きめのカバーイラストは

で御覧ください。

シビル・ウォー #1〜7

先月末に日本でも発売された『シビル・ウォー』

シビル・ウォー (MARVEL)

シビル・ウォー (MARVEL)

が上位10号中の7号を占めています。2000年代でも最大のクロスオーバーイベントが全号ランクイン。スーパーヒューマン登録法(スーパーヒーローは政府の登録制となり、正体を明かして政府の管理下で活動することを定めた法律)をめぐって賛成派(代表はアイアンマン)と反対派(代表はキャプテン・アメリカ)が争いを繰り広げます。

ライターは『キック・アス』のマーク・ミラー(と『シビル・ウォー』の帯にも書いてあった)。テロを引き金に賛成派と反対派が争うことになり、星条旗をまとった男の敗北で終わる物語からはイラク戦争をめぐる当時の状況を連想する人が多いでしょう。普段戦うことのないヒーロー同士の戦いを描いていることもありますが、間接的に2000年代のアメリカの大きな問題を取り扱っていることもランクインの大きな要因だと思います。

このイベントは影響が大きく、同時期に大量のタイアップ誌が新しく発刊されましたし、既存シリーズでもタイアップがありました(タイアップ時期は表紙が『シビル・ウォー』仕様になっていました)。その後の世界に与えた影響も多々あります。代表的なところを挙げると

  • キャプテン・アメリカ:投獄され、連行される最中に暗殺される。暗殺からその後の話は今月・来月に邦訳が出版されます

The Death of Captain America, Vol. 1: The Death of the Dream

The Death of Captain America, Vol. 1: The Death of the Dream

The Death of Captain America, Vol. 2: The Burden of Dreams

The Death of Captain America, Vol. 2: The Burden of Dreams

  • アイアンマン:シールドの長官になるが、色々あって失職した上に追われる身に
  • スパイダーマン:正体を明かしたことをなかった事にするために悪魔と契約。MJとの結婚やハリーの死をはじめとした様々なことも同時になかったことに
  • アヴェンジャーズ:賛成派のマイティ・アヴェンジャーズと反対派のシークレット・アヴェンジャーズに別れる

などがあります。そして、登録法反対派は元ヴィランによって追い詰められていく話へと展開されていきます。

上記のように『シビル・ウォー』は2000年代のMarvelのストーリーラインを重要な話なのですが、本編がダイジェスト化していてMarvelのこれまでの話を全く知らない人にお勧めできないのが難点です。タイアップ誌の邦訳の噂もありますが、何分量が多いので難しそうです。

オールスター・バットマン&ロビン・ザ・ボーイズワンダー #1

All Star Batman and Robin, the Boy Wonder

All Star Batman and Robin, the Boy Wonder

上位10号で唯一読んでいない(そもそも私がDCよりMarvel派なので……)号なので詳しいストーリーや位置づけが良く分かっていません。

雑誌情報

を確認する限りでは

のコンビでバットマン(ブルース・ウェイン)と初代ロビン(ディック・グレイソン)の出会いからをリライトする話のようで、コメントに「(Marvelで言うところの)Ultimateシリース?」とあります。

このコンビならネームバリューで売れた(1号だし)としても不思議ではありません。フランク・ミラーは『バットマン:ダークナイト・リターンズ』というモダンバットマンの礎を築いた一人ですし、『デアデビル:ボーン・アゲイン』『シン・シティ』『300』などの作品も手がけています。ジム・リーは邦訳では90年代にジャイブから出ていたものしかない気がしますが、1990年の『X-MEN』#1を始めとして(テレビ東京でやってた『X-MEN』のアニメは彼が描いてた時期のデザインが元になっている)、現在も『ジャスティス・リーグ』を描いています。

『オールスター・バットマン&ロビン・ザ・ボーイズワンダー』は10号まで出たのですが、300位以内にランクインしているのは#1〜4で、いずれも100位以内にランクインしていますが、#5以降はランク外でした。読んでないので推測ですが、ディックがロビンになった辺りで満足して買うのを止めてしまった人が多かったのでしょうか。

インファナイト・クライシス #1

Infinite Crisis (Superman (Graphic Novels))

Infinite Crisis (Superman (Graphic Novels))

DCの世界はクライシスという世界単位の危機によって平行世界(アース)が統廃合されるなどというかなり無茶なことが発生し、設定の変更や上書き(もしくはなかったことになる)が行われます。このインファナイト・クライシスは1985年のクライシス・オン・インファナイト・アーシズと直結したクライシスで、クライシス・オン・インファナイト・アーシズで一つになったアースが再び分裂し、52の並行世界が誕生するまでの話です。

Marvelの2000年代の一大イベントがシヴィル・ウォーならDCの2000年代の一大イベントはインファナイト・クライシスといったところでしょうか。2000年代にはこの後、ファイナル・クライシスが発生しているのですが、こちらはインファナイト・クライシスより下位にランクイン。

インファナイト・クライシスはシヴィル・ウォーより遥かに設定がややこしい話なので詳しくは省略しますが、『インファナイト・クライシス』、『ファイナル・クライシス』、(2011年発刊なので上記にはランクインしていない)『フラッシュポイント』という大きな出来事があって、今のDCのリランチの世界が誕生した、程度に留めておきます。