∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

シャカリキ!

曽田正人の漫画の映画化……なのかなそうじゃないのかなといった映画でした。中・長期連載だった漫画を映画化するさいには「どう尺に収めるために話を組み立てなおすか」という問題がありますが、「組み立てなおし方」が自分の趣味とは合わない感じでした。

一人で何でもできると思っている天才ユタと、一人一人の実力ではユタに及ばないけれど、チームで乗り越えようとする亀高自転車部を対立軸に、みんなでやっていくことの大切さを描いていたと思います。そのために原作とは登場人物のポジションや性格が変わっていますし、描くものははっきりしていたし、それも伝わっていたように思います。

特にモアイ、デーブ、教授、将軍辺りはそのテーマのために配置されていた印象。亀高自転車部廃部の話や、冒頭のバスで「自転車辞めたらもっともてる事しようぜ」と言っているシーン、自転車部が廃部になってナンパに繰り出してボコボコにされるシーンなどなど。彼らが本当に自分が好きなものを考えてそれに目覚め、そのために自分が何かできるかということを考えて成長したという一連のシーケンスが肝だと思います。


ただ、原作読んだ後に感じた「やってみたい」という熱量の伝わり方は無かったな、と。自分は曽田正人の作品はそういう高揚感を与えてくれるものだと思っているので、自分としては残念なところ。その辺りは前述したテーマの語り手たち(モアイ、デーブ、教授、将軍)にスポットが強めに当たっているからでししょうか。

無論、自転車部が廃部になろうがどうだろうが、関係なく「自転車こぐのが楽しいから」という理由で自転車に乗っているというテルが彼らを感化させてはいます。が、どちらかというと双方の気分が分かっている鳩村が話の中心になっている感じでテルはとっぴなことを言う変人みたいな感じでした。これはテルが割りと無口なキャラクターなのに漫画のような内面描写が無いところもあるとは思いますが。

後、原作村の住人としてはわりと言いたい事*1もありますが、描く方向が見ていて分かったので「自分の趣味とは違うなぁ」としか言えないところです。仮面ライダー恋空こと瀬戸君がチラッと出てたり、特訓が『ベスト・キッド』方式だったのも「うーん」と言いたくなるところですが、テーマを元にきちんと尺内でまとめていたと思います。


そうは思いますが、それでもやはり『シャカリキ!』は自転車をこいでいる彼らを見て「どうしてそんなにシャカリキになれるの?」と思う作品であって、彼らに「シャカリキにならんかい!」と言ってしまう作品ではないと思います。そこが映画見て感じた最大の違和感だったと思います。

*1:鳩村が「ポッポ」なんていうあだ名で呼ばれてたり、永田のキャラがずいぶん違ったり(漫画の方は多分に「少年漫画に出てくる女の子」というキャラクターだからでしょうが)、永田がすき焼き食ってるだけのシーンがあったり(個人的にあれはあんまり好きじゃない)