∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

復習:『新世紀エヴァンゲリオン』第壱話「使徒、襲来」

OPは資料を調べてみると84カット、平均すると約1秒1カットというカット数の多い映像。記憶にある中では録画を始めてコマ送りしたパート。最初に「平均して1秒1カット」と書いたけれど、実際にはOPテーマのサビ以降からフラッシュカットが集中していて、曲調がおだやかな前半部分はゆっくり動いている。曲とカットが合っていてうまい。

  • 「その背中には〜」と「遥か未来目指すための〜」の間の歌詞のない部分
  • 曲のテンポに合わせたカットの切り替わり
  • ミサトが顔を上げる所でいったんカットの切り替わりをとめて最後にラッシュ状態でカットが切り替わって終わるところ

などなど曲とシンクロしていていいなぁ、と今でも思う。

私は当時あまりアニメを見れなかったのでよく知らないが、ネットでMADムービーを見ていた頃にフラッシュカットを多用したものを見かけたことがある。フラッシュカット自体昔からあった手法だろうし、一概に『エヴァ』の影響と言うのは言い過ぎかもしれないが、影響があったのだろうな、と思うと同時にタイミング取るのは難しいんだな、と思った。他にもカット辺りに詰め込む情報量が多すぎたり(一瞬で変わる絵なのにゴチャゴチャしてる絵だったり)と、画面の情報量のコントロールもうまいなぁ、とも。


さて、本編はといえば、海底から未知の生命体が人類の防衛隊のところにやってきた。人類の味方の巨人が出てくるまでは戦車や戦闘機で時間を稼ぎ。まだこの時点では分からないことだが、巨人はケーブルでつながれて外部から電力をもらっている間はいいが、それ単独では5分しか動けない。更にこの巨人のオリジナルは光の巨人と呼ばれていたとくれば、いやがようでもM78星雲からやってきた宇宙人を連想させる。偶然かと言われれば、同監督作品である『不思議の海のナディア』でも同じような描写があったので、やはりそうなのだろう。

国連軍がNN爆雷まで持ち出して奮闘するも、未知の生命体には通用しないどころか、損傷を修復するために更に進化する始末。腕から伸びる光のであったり、どこかエラ呼吸や上腕の動きなど人間とは違うような動き、修復時には顔らしきものの下からまた顔が出ているなどなど、怪獣がやってきたという感じだ。


指揮権が正規軍からNERVという良く分からない団体に移るけれど、ゲンドウが

「そのためのネルフです」
(碇ゲンドウ 1話「使徒、襲来」)

というシーンは格好つけてるし、ゲンドウと冬月の呟きから事情を知っている人たちという感じ。「ネルフ、誕生」でそのあたりの事情が部分的に語られるけれどゲンドウは結局劇場版まで何を考えているか語られないとはこの時点では思ってもみなかっただろうなぁ。

時間が前後するが、シンジが第三新東京市にやってきてミサトと出会う。今見ると後のシンジとミサトとは印象が違う。アニメに先行して始まった漫画版ではもっと印象が違う。もっともこれは単行本2巻の巻末の貞元義行インタビューで特にシンジは貞元版シンジであって、庵野版シンジではないので意図的にやっていることではあるのだけど。それでも変わったところはあるんだろうなぁ、と思う。

そして、初号機のハンガーでリツコ・ミサトの立会いの下での碇家の親子の再会。ここで後々まで使われる

「逃げちゃだめだ!」
(碇シンジ 1話「使徒、襲来」)

が出てくる。このシーン、みんながシンジの尻を叩きに叩いて(実際には叩いてませんよ、念のため)エヴァに載せようとする。「やるしかないだろ」とか「すごい!親父が熱中するわけだ」といった理由では載ってくれないし、建前や漠然とした理由では納得できない。でも載せなきゃいけない。搭乗者のいない初号機にシンジを守らせてミサトを納得させ、怪我をしたレイを連れてきてシンジに載ると言わせる。実に大変だ。

そしてついに初号機発信シーン。ボルトが外れたり大掛かりな拘束具が外れていくなど、ロケットの発射シーンのように発進シーケンスにグッとくる人間なのでそれだけで結構満足。この辺り、劇場版ではどうなっているのだろうか。特にエントリープラグの中でLCL漬けになるシンジの顔が膨れるというこれ以降では17話のアスカとヒカリくらいしかしていない漫画的な描写があるのだけど。


後、余談として漫画の話を少々。ミサトの車が使徒の襲撃に遭っており、レイが載った初号機がそれを助けているなどの細かい相違点があるが、最大の違いは漫画ではシンジの性格が貞元版と呼べるものになっていることだ。漫画版とアニメ版のシンジの性格の違いについては2巻巻末のインタビューを引用すれば「ひねくれかた」が違うとのこと。

庵野さんが考えてたひねくれた感じというのは、表面はいいかっこうして陰に入っていく内面向きのひねくれさ加減で、ある意味、現代の若者的。僕はその逆で、中にはすごくストイックでまじめなんだけど外にはひねくれてしまうという、ちょっと子供っぽいタイプ。

新世紀エヴァンゲリオン』2巻 貞元義行インタビュー「今のところ思うこと――」より

漫画版のシンジは初号機が勝手に動いた描写はカットされていますが「やってやる!」という心境になっていてずいぶん印象が違う。「逃げちゃだめだ!」なんて死んでも言わなそう。後には渚カヲルの胸ぐらをつかんで「前歯へし折ってやる!」と言うくらい。劇場版ではこちらの性格になっているんでしょうかね?