∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

BSアニメ夜話 時をかける少女

時をかける少女』は文化庁メディア芸術祭の授賞式シンポジウムに行ってレポート書いた身なのでチェックしました。昨日公式サイトからアクセスがぐぐっと伸びていたのは多分このせいでしょう。詳細は他の方が既に書いていると思うのでシンポジウムで聞いた話と絡めて簡単に感想を書こうと思います。ネタばれ率が高いので、今度の地上波で見ようと思っている人は読まないほうがいいかと思います。

まず、今回のゲスト陣(アイウエオ順、カッコ内は職業)

進行はゲストが好きなシーンを挙げていってそれの周囲の話をするといういつもの形式です。

江川達也はキャッチボールのシーンで作画の話、投げ方の描き分けとか絵に自信がないとできないよね、とか、話の流れとボールの流れの話。

岡田斗司夫は魔女おばさんと真琴の最後の話し合いのシーン。原作へ敬意と、待つ/追いかけるという両者の対比の話。岡田斗司夫富野由悠季と同じく『時をかける少女』の評価が「いい作品だと思うけれど好きじゃない」。その理由は「作劇上仕方ないとはいえ」と前置きをした上で真琴を通してしか描かれていないので富野的に言えば社会性が足りないという点。そしてこの先が見えないという話も富野発言にありました。

筒井康隆は真琴がタイムリープを使って何時間もカラオケするところ。東浩紀が言う「ゲーム的リアリズム」を思わせたり、基本的にバカな使い方をしているのがいいよね、とのこと。原作と変わったことについては、原作にあわせてやるとどうしても縮小再生産になるから思い切って変えたほうがいいとのこと。でもタイムリープの考証はその道の人としては突っ込みたいらしい。

氷川竜介は真琴と妹の仲直りシーンを挙げて、影無し技法について説明。キャラクターに陰影を付けずに動かすことによって立体感を出す手法。古くは宮崎駿の『未来少年コナン』とか。他にも背景とキャラクターをはっきり分けて、キャラクターの芝居を視聴者にしっかり分からせていることなど。

渡邊隆史は最後のタイムリープのシーン。真琴がこの物語を通して成長したというか、主体性を発揮するようになった最初で最後のシーン。ただいたずらにタイムリープしていた子がしっかりと自分の行くべき道を見据えているところがいいとのこと。


流石にNHKだけあって富野監督が連呼していた方向の話題は出ませんでしたが、それ以外は概ね出てきたように思います。見る人が見ればやはりポイントは一緒というべきでしょうか。脚本についての話も多少出てきて(当初は時間を変えないようにするとか、魔女おばさんの立ち居地をどうするかとか)『時をかける少女』ファンは見ておくといいと思います。

そんな『時をかける少女』はフジテレビで7月21日(土)21:00〜放送です。

後、手前味噌ですが文化庁メディア芸術祭で何があったかについては

「∀ddict - 文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門受賞者シンポジウムレポート」
http://d.hatena.ne.jp/takkunKiba483/20070303/p1

を参照していただけるとよろしいかと。