∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

天元突破グレンラガン

GAINAXのロボットアニメの第一話ということもあって、細かいところまで行き届いていて面白かった。画としてはラガンで青空に飛び出したシーンが特に印象に残った。話も、ドストレートでありながら設定を俯瞰してみるとオタクの話でもある。

まず主人公のシモン。ドリルで穴を掘るエキスパートで、両親を失って孤児となった後でも村長にその能力を買われて色々な事を不問にしてもらっている状態。この能力の高さも村を成り立たせている能力として大人に評価されているだけであって、女の子の評価は「キモい」「土まみれで臭そう」と本人を前にずいぶんな言い様。その評価にしょげてしまっているのはかわいいところ。言及はなかったけれど、穴掘りに適している背の低さも気にしてるかもしれない。

普段は大人しい性格だが、穴掘りで宝物を見つけると周りが見えなくなるほど熱中してしまう。ラガンのコアドリルを発見したときには勝手に穴を掘って出てきて回りを唖然とさせたり、ラガンを見つけたときには後先考えずにカミナに知らせにいったり。そのくせ自分に自信がなくてラガンで開かずの天井を突き破るときにも最後の最後までニヤリとできなかったり。内向的で変わり者、それでいて子供っぽいところはオタクのそれだ。

次に兄貴分のカミナ。オタク少年であるシモンと対になる不良少年でもあり、エキスパートであるシモンのプロデューサーでもある。地上に出るという壮大なプランをぶち上げて仲間を集めるも、失敗して飯抜きで閉じ込められ、残ったのはシモン1人。本編でも「説明できないのか」とか「説明になってない」と突っ込まれた理由のない自信と美学に基づいて無茶苦茶なことを言ってのける。村長に父親や地上のことをとやかく言われてもとにかく諦めない前向きな心を持っている。

1話のカミナの台詞で一番良かったのは、ラガンを操縦することに戸惑うシモンに

自分を信じるな。オレを信じろ。オマエを信じているオレを信じろ!

と叫んだもの。兄貴風を吹かせるカミナらしい台詞だし、この台詞は現在のシモンとカミナの関係を端的に表している。能力はあるのに自分に自信がないシモンにかけてやる言葉として「自分を信じろ」ではなく、「オレはオマエを認めているんだ。そのオレができると言ってるんだから出来るんだよ!」という言葉をかけるあたりがうまい。

この二人は関心が内に向いているか外に向いているかの違いで*1、本質的には似たもの同士なのでこれから二人の力関係が変わっていくことで色々ドラマが作っていけそう。

最後に文字通り空から降ってきた女の子のヨーコ。どういう原因か女の子が空から降ってくるというかなりオタク的な願望の象徴。しかし、その実態は隣の地下の村から来た人である。空から降ってきたという願望的な存在だったはずのものが一瞬にしてそこらにいる現実的な人だと分かった落差がカミナのヨーコへの応対にもある。

シモンたちの村にいるブスたち(カミナ談)とは多少違うかもしれないが、男の子の願望ではなく、地に足の着いた女の子である*2。それはラガンが開かずの天井をぶち破るときにも男の子二人は全力で叫んでいるが、ヨーコは割合冷静なところにも見て取れる。

ラガンで地上に出たはいいものの行く手にはガンメン2体が立ちふさがる状態。さあ、どうする!というところで1話は終わり。次回が楽しみです。

*1:行動も地下へドリルで穴を掘っていく方向と、開かずの天井をぶち破って地上に行こうとする方向の反対方向なのが象徴

*2:この辺りが同じGAINAX制作の『アベノ橋魔法商店街』のムネムネとは違って、もしかしたら『FLCL』のハル子の方に近いのかもしれないと思うところ