∀ddict

I'm a Japanese otaku. I like Manga, Anime, Games and Comics.

Show the Flag of Evangelion(笑)

囚人さんのところで『新世紀エヴァンゲリオン』(以下『エヴァ』)について「ショウ・ザ・フラッグ」といった感じだったので。自分の『エヴァ』観について。

まず、自分と『エヴァ』の出会いについて少々。放映当時、放映圏内に住んでいませんでしたのでリアルタイムで『エヴァ』は見ていません。おまけに映りもしないアニメばかりが載っているアニメ雑誌を買う気がなかったので、本放送の初めのころは『エヴァ』が放映されていたことも知りませんでした。『エヴァ』が社会現象になっていることも春の劇場版*1が公開される前の提灯記事で知ったくらいです。自分がようやくTV版『エヴァ』をすべて見れた頃には夏の劇場版*2が公開されて現象はすっかり沈静化していました。自分もバスに乗り遅れた一人です。

それ以前にフィルムブックは買ってました。田舎者にとってレンタルビデオが出るまでに作品の内容を知るにはそれしかありませんでした(しかも当時は自分の家の近くにレンタルビデオ屋が無かったし、ティーンエイジャー向けのアニメなんてほとんどなんて置いてなかった!)フィルムブックや設定集、絵コンテから完成したフィルムを妄想するというのがオタクとしての業でした。声、動き、演出。多少の指示はあるものの、基本的に自分が脳内で動かすしかありませんでした。私の中では脳内妄想エヴァありき、で衒学的な部分やキリスト教モチーフにした設定にかなりのめりこんでいました*3

長くなりましたが、そういった事情で現象としての『エヴァ』については何も言えません。リアルタイムでTV版を見て夏の劇場版まで付き合ってた友人が言うには

 「夏の劇場版から帰る人たちが映画の感想も言わずに黙って帰っていった。まるで憑き物が落ちたみたいに」

とのことなんですが。この点に関しては完全に部外者なのです。ですから富野監督が危惧していた「『エヴァ』が起こした反応」というものにイマイチピンとこないんですよね。過剰に自分語りの道具に使われて色々な方面の人が『エヴァ』を語っていた覚えはあるのですが……。

ネタとしての『エヴァ』が好きか嫌いかと言われたら先述したように大好きです。脳内妄想エヴァをやってましたし、その当時の熱中した人たちに漏れず「俺25話」と「俺26話」を書いてました。つながりを与えられていない大量の情報を自分で収集し、再構築する試みが自分にとっての『エヴァ』の楽しみ方でした。その意味では『エヴァ』は特上のネタで、以降なかなかこれを越えるネタがなかなか出てこないほどのものだったと思います*4

作品としての『エヴァ』はテンションに切れ目があって、本放送から10年経った今でも私には評価しにくいところです。これは連名を含めれば全話の脚本を庵野監督が書いていて、複数の脚本家が書いているよりも統一性がある代償として生じた副作用でしょう。先行して作られた1,2話のテンション、特に1話は『機動戦士ガンダム』の1話を意識したような作りになっているように思います。全体から見るとかなり「普通」のロボットアニメですしね。これからしばらく、庵野監督の言う「快楽原則」に従った『エヴァ』が展開されることになります。実際心地よいシーンが多い。JAを追いかける初号機のフィルムのつなぎ*5、「アスカ、来日」での弐号機の戦闘*6……1話ごとに魅力的なシーンがありました。そして19話「男の戦い」以降はアニメファンに冷や水を浴びせるための嫌がらせが出てきます*7。しかも26話でいわゆる「学園エヴァ」をやって見せて自ら嫌がらせをしていたことまで自己申告しています。

囚人さんの所で話題に上っていましたが、庵野監督が仮に〈正直〉であるとするならば「所詮アニメなんだから」とあざとく視聴者が気に入るような話にせずに嫌がらせをしたところだと思います*8。うまく立ち回っていれば大月Pのような道もあったはずなのに*9わざわざそんなことをしたのが庵野監督らしさなのかもしれません。そういったストレートな語り口の露骨さ、露悪さを指して宮崎監督は〈正直〉と言ったんじゃないかと思ってしまいます。こういうことを言うのもなんですが、宮崎監督も相当癖のある方ですしねぇ(笑)

*1:DEATH&REBIRTH

*2:Air&まごころを、君に

*3:はてなには書きませんが今でも設定こねくり回して遊ぶのが大好きです

*4:ナデシコ』はメタってるのと設定がそれほど出て無いのでやりにくかったし、『SEED』は設定と本編が矛盾してたりするのでこれもやりにくい

*5:相対速度を無視していて初号機が前のめりになるはずが、後ろにすべっている

*6:軍艦が自ら沈没して水中で主砲を撃つなんて無理

*7:シンジはこれ以降成長しないどころか24話以降は退行して劇場版では母であるエヴァに促されるままに母体に戻るというビルドゥングロマンスもヘチマも無い話。アスカは使徒に精神侵食されて廃人になるなど自身が追い詰められていく上にシンジを追い詰める対象として立ちふさがる。レイは3人目になって今までの記憶を失ってしまうし、劇場版で補完の際にシンジが受け入れたのはレイではなくカヲル。

*8:トップをねらえ!」ではヤケクソだったという話もあったはず

*9:会社の方はきっちりこっちの道をたどって今でも『エヴァ』を売ってます