『X-MEN Final Decision』(原題『X-MEN The Last Stand』)
「X-MEN:ファイナルディシジョン」
(http://www.x-menthelaststand.com/JPN/)
9日公開なのでその前に少し。
邦題の「Final Decision」は「最終決定」
ということを表している。原題の「The Last Stand」は「最後の抵抗」で「キュア」しようとする普通の人間とミュータントの対決ということを表している。他の映画でもそうなんですが、日本の場合は個人的な部分にスポットを当ててそちらをメインにしようとする傾向がありますね(特に恋愛面)。『キル・ビル2』は確かに親子愛という意味でラブストーリーでしたけど、自分はカップルで映画館に入る層を騙しているんじゃないかという感じを受けましたし。
もっとも、背景となる社会情勢が大幅に違うのでそちらに焦点を当てても関心を引けないという事情もあるのかもしれません。しかし、マイノリティーが抱える問題や、マジョリティーがマイノリティーを受け入れる代償としてマイノリティーのアイデンティティーを捨てろ(「キュア」されろ)と言っている部分は日本でも他人事では無いと思います。
オタク的には「『電車男』という一般人に認知される方法が発見されたので、脱オタという名の「キュア」を受け入れるか受け入れないか?」という物言いができると思います。その場合
なのでしょうか。個人的には多くのオタクは上記の分類で言うと「キュア」を受け入れない派の対一般人ハト派とファイナルディシジョンを迫られている立場が決まってない派に分類されるような気がしますが。他にもマイノリティー対マジョリティーという対立の構図に引っ張れるものであれば応用可能です。
さて、映画ファンとしての愚痴はそれくらいにして邦題の見方で『X-MEN』を見てみるとどうなるかということについても少々。公式サイトや予告編を見ているとウルヴァリンとグレイがくっつきそうですが、原作では最終的にグレイとくっつくのはサイクロプス*1なんですよね。頭脳派がリーダーという不文律があったはずなので目立たなくてヘタレですがX-MENのリーダーは彼です。映画しか見てない人はサイクロプスのことをどう思うのでしょう。一度聞いてみたいものです。
俳優もヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン)、ハル・ベリー(ストーム)と豪華なのですが、個人的に注目すべきはパトリック・スチュワート(プロフェッサーX)とイアン・マッケラン(マグニートー)。自分にとってはジャン・リュック・ピカード(『Star Trek: The Next Generation』)とガンダルフ(『The Load of the Ring』)でSF vs ファンタジーという脳内妄想が繰り広げられています(笑)他にもイアン・マッケランはゲイの権利擁護キャンペーンでも有名で、その彼がマグニートー役をしているのは感慨深いものがあります。
最後に原作であるアメコミの邦訳版を出版していた新潮社のWebサイト「アメコミ新潮」がマーヴェルとの契約終了で閉鎖される様子。
アメコミ新潮シリーズは、新潮社とマーベル米本社との契約期間終了にともない、今 後の継続刊行・販売も終了せざるをえなくなりました。 私ども編集スタッフとしても残念ではありますが、アメコミ新潮シリーズの著作権な どの諸権利は、すべてマーベル米本社にあり、私どもは、契約で許諾された期間内の 発行・販売しかできません。 今後、新潮社以外から、新たな展開がスタートする可能性もありますが、上記の事情 から、本サイトは9月30日をもって終了させていただきます。 短い間でしたが、アメコミ新潮シリーズをご愛顧いただいたことに、深く感謝いたし ます。 (アメコミ新潮 編集制作スタッフ一同)
ここのサイトの作品紹介割と好きだったんですけどね。
また『スパイダーマン3』も日本語版公式サイトが公開されています。
「スパイダーマン3:日本語サイト」
(http://spider-man3.jp/)
公開は2007年の5月5日。ヴェノムの回。「自分にとっての最大の敵は己の影である」というテーマのお話。『ゲド戦記』の「影との戦い」もそういう話だったんですけどね。