『ゲド戦記』
こっちの方は抗議文まで送りつけられて散々に言われていた記憶があります。それを考えるとずいぶんとやわらかい感想です。でも「これは私の本(原作)じゃない」とはっきり言ってますね。
と前にコメントしていたのですが、ル=グウィンは大人しく黙ってはいませんでした。友人に「このコメント含みがあるよね」と言ったら「そうか?」と返されましたが、やはり色々ある様子。
「Ursula K. Le Guin: Gedo Senki, a First Response」
(http://www.ursulakleguin.com/GedoSenkiResponse.html)
以下私の意訳した要約。間違ってはないと思いますが、気になる方は上記の原文なり、以下のExcite翻訳なりをどうぞ。
「エキサイト翻訳:Ursula K. Le Guin: Gedo Senki, a First Response」
(http://www.excite.co.jp/world/english/web/body/?wb_url=http%3A%2F%2Fwww.ursulakleguin.com%2FGedoSenkiResponse.html&wb_lp=ENJA&wb_dis=3)
Preliminary Note(はじめに)
- 映画は映画監督が作るもので原作者が介入するものではない
- よって、映画の内容については私(原作者)に聞かないでください。
Brief history(簡単な経緯)
The Film(映画について)
- 東京に行けなかったのでフィルムを持ってきてもらった
- 帰りぎわ、宮崎吾朗監督に「Did you like the movie?」と聞かれて答えに困った
- 「Yes. It is not my book. It is your movie. It is a good movie.」とその場で答えたが、これは公的見解ではない
- しかし、監督日誌に掲載されたのでここに公的見解を書くことにする
- 個々の表現には良いところがあった(動物とか農耕のシーンとか)けれどぶつ切りで支離滅裂な感じを受けた
- 原作に従う必要は必ずしもないけれど、変に引きずられるとわけが分からなくなる。かといってアメリカ版(実写ドラマ)のようにめちゃめちゃにされても困る
- 今回の映画は良く分からないところが多かった
- 説教臭いところ(私の原作そんなに説教臭くないよとコメント)
- アレンの父殺しの動機
- アレンの影
- 魔法の剣で闇が振り払える安易さ
- 他にも色々
The issue of color(肌の色(人種)の問題)
When can we see "Gedo Senki" or "Tales of Earthsea" in America?(アメリカで『ゲド戦記』か『アースシーの物語』をいつ見れるのでしょうか)
- 少なくとも2009年以降
経緯のところで、返事が鈴木Pから来たってのがミソですね。これ以降下手すると騙されてた(笑)かも。肌の色の問題はアニメがそういう色使いだというのと、日本テレビでいずれ放送するでしょうから後の憂いは払っておきたいからかと邪推してます。
肝心の映画の感想は「個々の表現いいところもあるけど、話が分かりにくいよね」といったところでしょうか。原作者の感想だから錦の御旗になるわけではありませんが、同じような感想で「まあ、そうか」と思いました。
「ゲド戦記」監督日誌の方はお盆ということもあってかこれに対する更新はありません(2006/08/15現在)この記事のアップは現地時間で8月13日なので日本では14日とまだコメントが固まっていないのかもしれませんが、事前に何かしらの連絡取りそうなもんですが。ともあれ、これを受けた宮崎吾朗監督の反応が楽しみです。